2018年02月21日

「The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ」ソフィア・コッポラ監督、女性心理を深く繊細に

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 南北戦争3年目の1864年、米南部のバージニア州。世間から隔絶された女子寄宿学校に、美しい女性7人が暮らしていた。ある日、負傷した北軍の兵士に遭遇し、運んできて手当てをする。紳士的な兵士に、女性たちは心奪われていく──。

 1971年、クリント・イーストウッド主演、ドン・シーゲル監督で映画化された「白い肌の異常な夜」と同じトーマス・カリナンの原作を、ソフィア・コッポラ監督が女性の視点で描き直した。2017年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞している。

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 男子禁制の女の園を仕切るのは、園長のミス・マーサ(ニコール・キッドマン)だ。教師エドウィナ(キルスティン・ダンスト)は、好奇心旺盛なアリシア(エル・ファニング)ら女子生徒5人と暮らしている。ある日、生徒がキノコ採りに出かけ、負傷した敵軍のマクバニー伍長(コリン・ファレル)を連れ帰る。

 「白い肌の異常な夜」は、登場人物の内なる声を使い、夢や幻想を使ったスリラーだった。マクバニーは女性たちを女として見ており、男性の観客に向けて作られた印象があった。

 一方、「ビガイルド」では、女性たちがマクバニーに色めき立ち、おしゃれを始めるなど、女性心理を掘り下げている。濃密な雰囲気だった「白い肌」に比べ、シンブルでストレートな印象だ。自然光、ろうそくの光など照明を重視。手作りのドレスには「マリー・アントワネット」(06)にも共通する監督のこだわりが見える。

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 マクバニー役のファレルは、イーストウッドに比べて小粒の印象。逆に堂々たる風格のキッドマン、ダンスト、今が旬のファニング。女優は適材適所で愛憎劇を盛り上げる。シーゲル監督が「ダーティハリー」(71)と同年に作った「白い肌」と対照的に、寡黙で繊細な女性の心を見つめ、静かに観客の心に刺さるスリラーとなった。

(文・藤枝正稔)

「The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ」(2017年、米国)

監督:ソフィア・コッポラ
出演:コリン・ファレル、ニコール・キッドマン、キルステン・ダンスト、エル・ファニング、オオーナ・ローレンス

2018年2月23日(金)、TOHOシネマズ六本木ヒルズほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://beguiled.jp/

作品写真:(C)2017 Focus Features LLC All Rights Reserved

タグ:レビュー
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「8年越しの花嫁 奇跡の実話」佐藤健、大ヒット御礼舞台挨拶「上映されている時間が幸せ」

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 「8年越しの花嫁 奇跡の実話」の大ヒット御礼舞台挨拶がこのほど東京都内で開かれ、主演の佐藤健が出席した。佐藤は「素敵な物語をそのまま伝えることができれば、感動してもらえるし、映画もヒットする」と話した。

 佐藤はこの日、客席から登場。観客から「おめでとう」とヒットを祝う声がかかり、「うれしかった」と感動した様子を見せた。もとになったのは動画サイト「YouTube」の映像が話題になり、書籍化された実話。土屋太鳳との主演で映画化された。

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 佐藤は「(原作の主人公である)尚志さんと麻衣さんが素敵な奇跡を起こしてくれたおかげ。改めて感謝を伝えたい」と語った。

 また、第41回日本アカデミー賞で優秀主演男優賞を受賞したことに「役者の力はちっぽけなもの。どんな作品、役に出合い、どんなクリエイターと仕事をするかで生かされもするし、その逆もある。今回は瀬々監督のおかげだと思っている」と話した。

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 さらに、相手役の土屋も優秀主演女優賞を獲得。W受賞になったことに「賞を獲っても驚かない力を持っている。出会いがあれば今回のような素敵なことが起こるとずっと思っていた」と称えた。

 最後に「この映画が上映されているこの時間が、とても幸せ。少しでも続けばいいと思う。映画を応援、愛して下さって感謝しています」と話し、舞台挨拶をしめくくった。

(写真・文 岩渕弘美)

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「8年越しの花嫁 奇跡の実話」(2017年、日本)

監督:瀬々敬久
出演:佐藤健、土屋太鳳、北村一輝、浜野謙太、中村ゆり

全国公開中。作品の詳細は公式サイトまで。

http://8nengoshi.jp/#/boards/8nengoshi

作品写真:(C)2017映画「8年越しの花嫁」製作委員会
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2018年02月09日

「コンフィデンシャル 共助」水と油の南北刑事、極秘捜査でタッグ ヒョンビン、体当たりアクション

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 北朝鮮の特殊部隊に所属するエリート刑事イム・チョルリョン(ヒョンビン)は、米ドル偽造組織の摘発任務にあたっていた。チャ・ギソン隊長(キム・ジュヒョク)の待機命令を無視して突入したものの、謎の武装集団が現場を制圧。偽造用の銅板を盗み出していた──。

 「コンフィデンシャル 共助」は、北朝鮮のエリート刑事と韓国の庶民派刑事がタッグを組み、北朝鮮から盗まれた銅板を回収するため、史上初の極秘任務「南北共助捜査」に挑む姿を描いたアクション映画だ。主演は「王の涙 イ・サンの決断」(14)のヒョンビン、「ベテラン」(15)のユ・ヘジン。監督は「マイ・リトル・ヒーロー」(13)でデビューしたキム・ソンフン。

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 平昌五輪への南北合同チーム参加が話題となる中、非常にタイムリーな題材といえる。北朝鮮から銅板が盗まれ、国際社会に知れれば一触即発の緊急事態に。極秘に結成された南北合同「刑事チーム」の任務を、韓国らしい骨太アクション、コミカル描写で娯楽作として見せる。

 分断された朝鮮半島。南北のカラーの違いがキャラクターに投影されている。ヒョンビン演じる北朝鮮の刑事は戦闘・運動能力に長け、超人的に優秀だ。逆にユ・ヘジン演じる韓国の刑事は、妻の尻に敷かれるダメ男。水と油の二人が任務を通じ、国を超えた絆を育む。

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 実現不可能な「南北共助捜査」に、融和を望む監督の思いが込められているようだ。ヒョンビンの接近戦、カースタントに臨む体を張った演技は見事の一言。ユ・ヘジンの三枚目に徹した人間臭い演技が、緊張感あるドラマのガス抜きになっている。

 犯罪がらみのリアル描写から、ホームドラマ場面のコミカルな演出まで、バランスが取れた監督の手腕が光る。五輪で友好ムードがわく今、非常にタイムリーな作品だ。

(文・藤枝正稔)

「コンフィデンシャル 共助」(2017年、韓国)

監督:キム・ソンフン
出演:ヒョンビン、ユ・ヘジン、キム・ジュヒョク、ユナ、チャン・ヨンナム

2018年2月9日(金)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://kyojo-movie.jp/

作品写真:(C)2017 CJE&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED

タグ:レビュー
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2018年02月08日

「マンハント」白い鳩、二丁拳銃、スローモーション ジョン・ウー監督、大阪舞台にアクション自在 

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 実直な国際弁護士ドゥ・チウ(チャン・ハンユー)が目を覚ますと、女の死体が横たわっていた。状況証拠はドゥが犯人と示しており、殺人事件に巻き込まれる。何者かに陥れられたと逃走するドゥ。一方、孤高の敏腕刑事の矢村(福山雅治)は独自捜査でドゥを追う──。

 中国で大ヒットした高倉健主演の「君よ憤怒(ふんど)の河を渉れ」(佐藤純彌監督、76)。西村寿行の原作小説を再映画化したのが「マンハント」だ。日本版のリメイクではなく、ジョン・ウー監督が原作を現代流に大胆に解釈。日中韓のキャスト、大阪など日本でロケ撮影した中国アクション映画だ。

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 高倉健版の「君よ憤怒の河を渉れ」と物語の骨格は同じだが、全体像はかなり違う。日本版では、高倉演じる罪を着せられた検事が、真犯人を探して日本中を逃げ回る。一方、「マンハント」は派手なアクション満載で、ウー監督のカラーを前面に押し出した。大阪ロケはリドリー・スコット監督で高倉も出演した「ブラック・レイン」(89)に通じる。

 幕開けは港町の小料理屋。女将(ハ・ジウォン)とドゥが談笑している。二人のひと時の心の交流は、のちの展開で重要になる。意外な仕掛けであっと驚くアクションシーンへ。二丁拳銃にスローモーション、ウー監督得意のアクションが素晴らしい。バックには「君よ憤怒の河を渉れ」のテーマ曲が流れる。しびれるような演出で、観客の心をわしづかみにし、日本版との方向性の違いをはっきり提示する。

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 ドゥは陰謀に巻き込まれ、逃亡を始める。長尺だった日本版と違い、構成がかなり簡略化されている。日本版で男くさい原田芳雄が演じた矢村は、福山雅治がスマートで洗練された刑事に変えた。矢村の登場シーンは、テロリストを相手に「ダーティハリー」(71)ばりに男気あふれている。

 香港からハリウッドへ、そして中国へ。トム・クルーズ主演の「ミッション・インポッシブル2」(00)、中国の歴史二部作「レッドクリフ」と大作が続いたが、「マンハント」はフットワークの軽さが際立つ。監督のシンボルでもある白い鳩、二丁拳銃、スローモーション。ヒッチコックばりの推理劇。手腕健在でうれしく、荒唐無稽さも圧巻だ。

 音楽・岩代太郎、美術・種田陽平に加え、國村隼、池内博之、竹中直人、桜庭ななみ、倉田保昭ら日本人キャストも大活躍する。アジアの才能が集結した注目の中国アクション映画だ。

(文・藤枝正稔 写真・岩渕弘美)

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「マンハント」(2018年、中国)

監督:ジョン・ウー
出演:チャン・ハンユー、福山雅治、チー・ウェイ、ハ・ジウォン、國村隼

2018年2月9日(金)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://gaga.ne.jp/manhunt/

作品写真:(C)2017 Media Asia Film International Ltd. All rights Reserved

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「サニー 32」実際の事件モチーフに 白石和彌監督の犯罪サスペンス

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 「ずっと会いたかったよ、サニー……」。そう言って柏原(ピエール瀧)と小田(リリー・フランキー)は女性を拉致し、雪深い山の廃屋に監禁した。連れ去られたのは24歳の中学校教師・藤井赤理(北原里英)。「サニー」は「史上最も可愛い殺人犯」と呼ばれた11歳の少女の名で、ネットで神格化されていた。柏原と小田はサニーの狂信的な信者だった──。

 アイドルグループ「NGT48」から卒業を発表した北原里英が映画初主演。俳優やスタッフは白石和彌監督の「凶悪」(13)のメンバー再集結。脚本・高橋泉、主演のピエール瀧、リリー・フランキーで、衝撃的なサスペンス映画だ。

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 まずは「サニー事件」の説明から始まる。11歳の小学生女児が、同級生の女児の首をカッターナイフで切り付けて殺害した。加害者少女のかわいい容姿、3本指と2本指の決めポーズから“32=サニー”と名付けられ、ネットで神格化された。事件から14年。狂信的サニー・ファンの柏原と小田は、女性を拉致監禁する。

 「サニー 32」は、北原主演のアイドル映画を装っているが、紛れもなく白石監督による犯罪映画の流れをくむ。監禁には途中から参加者も増え、予想外のいざこざも発生。監禁場所が何者かに突き止められたため、廃屋から海の家に女性を移す。集団心理は悪い方向に動き、「自己批判」や「集団リンチ」などの陰惨な暴力にエスカレートしていく。

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 そんな中、ごく一般的な女性だった藤井が「サニー」と祭られて教祖へと神格化していく。監督と脚本家は1970年代以降に起きた実際の凶悪事件をなぞりながら、新たなドラマとして再構築した。

 作品のスーパーバイザーを務めた秋元康が要求した「北原主演映画を撮る」ことから企画が始まったという。白石作品ファンの北原は、劇中の藤井のように、白石組に放り込まれ、一皮むけた演技を見せる。ピエール瀧とリリー・フランキーの立場は「凶悪」と逆。力関係が面白い。

 中学生のいじめ、ネットの闇などさまざまなネタを使い、現代社会の暗部を大胆に料理した。白石組のぶれない姿勢が素晴らしい。アイドル映画と経験するのも、うっかり手を出すのも難しい。実際の事件をモチーフにした衝撃の犯罪サスペンスだ。

(文・藤枝正稔)

「サニー 32」

監督:白石和彌
出演:北原里英、ピエール瀧、門脇麦、リリー・フランキー、駿河太郎

2018年2月17日(土)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://movie-32.jp/

作品写真:(C)2018「サニー 32」製作委員会
タグ:レビュー
posted by 映画の森 at 15:48 | Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする