捜査の最前線から警察音楽隊に異動した刑事の奮闘を描く「異動辞令は音楽隊!」(8月26日公開)の完成披露試写会がこのほど東京都内であり、主演の阿部寛、清野菜名、磯村勇斗、高杉真宙、見上愛、内田英治監督が舞台あいさつした。初めてドラム演奏に挑戦した阿部は「なかなか大変な役だった。久しぶりに部活に出た感じだった」と語った。
草なぎ剛主演の「ミッドナイトスワン」(20)が話題を呼んだ内田監督のオリジナル脚本。犯罪捜査一筋30年の鬼刑事・成瀬(阿部)が、突然音楽隊へ異動を命じられ、現実と向き合いながら再生する物語だ。仕事と家庭の板挟みとなる中年男の悲哀、高齢者詐欺や介護、育児など社会問題も絡め、音楽が心に残る作品となっている。
ドラム演奏に挑んだ阿部は、開口一番「なかなか大変な役だった」。「台本を読んで泣けないと思ったところで泣けたり、ささいなことが自分の涙のポイントになったりした。いい意味で皆さんの想像と違うかもしれない」と話した。成瀬に反発しつつ心を通わせる音楽隊員、来島を演じた清野はトランペットに初挑戦。「みんなで輪になって練習を重ねたので、クライマックスを楽しみにして」と語った。
唯一楽器演奏がない後輩刑事役の磯村は、撮影中の阿部が「ポケットにカブトムシを入れていた」エピソードを披露。阿部は「クワガタが飛んできたのでポケットに入れていたら、照明(スタッフ)さんから『カブトムシも飛んできた』と渡されたので、ポケットに入れた」と振り返り、観客を沸かせた。
サックス奏者役の高杉は「監督から『二枚目より三枚目が似合う』と言われた。今出演しているバラエティー番組に生かしたい」と話して笑いを誘った。成瀬の娘を演じた見上は、父親役の阿部や祖母役の倍賞美津子との共演に「すごく緊張した。二人とも優しく、役への向き合い方を姿勢で見せてくれて、刺激的な現場だった」と話した。
楽器演奏に吹き替えなしで挑戦した俳優陣。ドラムの阿部は「まったく初めて。3カ月練習した。家で1カ月、ゴムパットを木魚みたいに叩いた。それからドラムを叩いたらすごく叩きやすく、そこから火がついた」と説明。清野も「すごくかっこよかった。練習の時からどんどんアップデートされる阿部さんを見て、プロ根性と尊敬を感じた。私も上手く弾いてやるぞ、という気持ちで練習できた」と語った。高杉も「阿部さん、清野さんの演奏を聞いて自分も頑張れた」と言うと、阿部は「久しぶりに部活に出ている感じだった」。内田監督は「楽器を弾きながら成長する話。3人とも演奏できるようになっていて、正直びっくり。申し訳ない気がした」と打ち明けた。
(文・写真 岩渕弘美)
「異動辞令は音楽隊!」(2022年、日本)
監督:内田英治
出演:阿部寛、清野菜名、磯村勇斗、高杉真宙、板橋駿谷、モトーラ世理奈、見上愛、岡部たかし、渋川清彦、酒向芳、六平直政、光石研、倍賞美津子
2022年8月26日(金)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
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