ゆうばり映画祭、グランプリに韓国の「アネモネ」3年ぶり現地上映

映画祭

 「第32回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2022は8月1日、「ファンタスティックゆうばりコンペ」部門のグランプリにチョン・ハヨン監督(韓国)の「アネモネ 子どもが見てはいけない童話」を選んで閉幕した。

 「映画も、メロンも、食いつくせ!」をテーマに、7月28日から動画配信サービスHuluと映画祭公式サイトで74作品を上映。夕張市内の特設会場では16作品を上映した。現地上映は3年ぶりとなった。

「アネモネ 子どもが見てはいけない童話」

 「アネモネ」は宝くじ「ロト」をめぐるブラックコメディ―。無職の夫と娘のために働いて家計を支えているヨンジャが、ロトの高額当選券のありかをめぐって夫を徹底的に追い詰めていく。鬼気迫る形相のヨンジャを、お笑い芸人出身のチョン・イランが体当たりで演じている。

 チョン・ハヨン監督は1978年生まれ。「鬼神」(20)がゆうばりの姉妹映画祭である韓国の富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭で上映された。

 クロージングセレモニーにオンライン参加したチョン監督は「(シネガーアワードの受賞で)終わりだと思ったので驚いた。皆さんに感謝したい」とあいさつ。主演のチョン・イランは「ずっと怒り続けているキャラクターで、気持ちを盛り上げるのが大変だった。俳優業を続けていいのか自信がなかったが、受賞で希望と夢をもらった」とコメントした。

 審査委員長の佐藤佐吉監督は「今見るべき映画なのかどうか、新しさがあるか、キャラクターが躍動しているかなどの審査ポイントを、すべて完璧に満たしていた。完成度が高い」と絶賛した。

 インターナショナル・ショートフィルム・コンペティション部門のグランプリには松岡芳佳監督の「ただの夏の日の話」が選ばれた。松岡監督はCMディレクター出身。初監督した映画で最高賞を受賞した。

ゲストを歓迎する夕張市民=同市で7月29日、映画祭事務局提供

■夕張にも賑わい戻る
 夕張会場には「線香花火」の黒木瞳監督、「夜へ…」「追跡」主演の加藤雅也、「雨降って、ジ・エンド。」主演の古川琴音らが駆け付け、市民らの歓迎を受けた。

 同映画祭は開催時期が冬から夏に変わることが決まった2020年、コロナ禍で全面オンライン上映となり、現地開催が2年間中断された。今年は上映規模こそ以前より大幅に縮小されたものの、国内外から集まった映画関係者やファンが映画談義を楽しむ光景が戻ってきた。

(文・芳賀恵)

<受賞一覧>
・ファンタスティック・ゆうばり・コンペティション部門
グランプリ「アネモネ 子どもが見てはいけない童話」(韓国)チョン・ハヨン監督
北海道知事賞「#ピリオド打ったらカタルシス」(日本)CRAZY JOE監督
審査員特別賞「えんまさん」(日本)鈴木智貴監督
フィルミネーション賞「さようなら」(日本)野村有志監督
シネガーアワード(批評家賞)「アネモネ 子どもが見てはいけない童話」(韓国)チョン・ハヨン監督

「ただの夏の日の話」(c)松岡芳佳

・京楽ピクチャーズ.PRESENTS インターナショナル・ショートフィルム・コンペティション部門
グランプリ「ただの夏の日の話」(日本)松岡芳佳監督
優秀芸術賞「サンナクチ 生きたタコ」(韓国)フランソワ・ガエル監督
「アンハイムリッヒ」(メキシコ)ファビオ・コロンナ監督
「現代版 城崎にて」(日本)太田信吾監督

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