韓国の映画俳優カン・スヨンさんが5月7日、ソウル市で死去した。55歳。5日に同市内の自宅で倒れて病院に搬送。脳出血と診断されて治療を受けていた。現地報道によると、8~10日に「映画人葬」が行われる。
カンさんは1966年生まれ。68年から子役としてテレビや映画で活躍した。87年公開の「シバジ」(イム・グォンテク監督)では、後継ぎの男児を産むために名士の家に雇われた女性の演技が高く評価され、同年のベネチア国際映画祭でアジアの俳優として初の主演女優賞を受賞した。同じイム監督の「波羅羯諦 ハラギャティ」(89)でもモスクワ映画祭の主演女優賞を受賞し、世界に韓国映画の存在を知らしめた。
80~90年代は数多くの作品に主演。「墜落するものには翼がある」(90、チャン・ギルス監督)、「競馬場に行く道」(91、チャン・ソヌ監督)などがヒットし、韓国を代表する俳優となった。日本の映画界でも知名度が高い。
2015~17年に釜山国際映画祭の共同執行委員長を務めた。同映画祭は14年に行政が作品選定に介入し、俳優や監督らが参加をボイコット。混乱した映画祭を立て直すため駆り出されたのがカンさんだった。
11年公開の「月の光をくみ上げる」(イム・グォンテク監督)以降は商業映画への出演を休止していたが、年内にNetflixで配信される映画「JUNG_E ジョンイ」(ヨン・サンホ監督)で復帰予定だった。同作では脳のクローン技術を開発する研究チーム長を演じている。ヨン監督はSNSで「韓国映画そのものだった人。ご一緒したこの1年間は永遠に忘れられないでしょう」と追悼した。
(文・芳賀恵)
写真:釜山国際映画祭に参加した共同執行委員長のカン・スヨンさん(当時、左)とイ・ヨングァン執行委員長=釜山市で2015年10月、岩渕弘美撮影
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