釜山映画祭レポート(2) IU、イ・ジュヨンら「ベイビー・ブローカー」を語る

映画祭

 今月開かれた「第27回釜山国際映画祭2022」では、共催イベントとしてドラマなどの動画作品を表彰する「アジアコンテンツアワード」(ACA)が行われた。監督やキャストの上映後舞台あいさつや野外会場でのトークイベントも連日行われ、会場は久しぶりの対面イベントを楽しもうという人たちが詰めかけた。

コンテンツアワード、「ウ・ヨンウ」が2冠
 8日に行われた「アジアコンテンツアワード」は優れたテレビドラマや配信ドラマ、オンライン動画コンテンツなどを表彰するもので、今回が4回目。チョン・へインとキム・セヨンが司会を務めた。

 ベストコンテンツ賞を受賞したのは、日本でNetflixで配信されブームとなったドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」。主演のパク・ウンビンが主演女優賞に選ばれた。

 主演男優賞はTBS「TOKYO MER 走る緊急救命室」の鈴木亮平が受賞。Netflixドラマシリーズの「イカゲーム」には技術賞と助演男優賞(パク・ヘス)が贈られた。ニューカマー男優賞はNetflix「新聞記者」の横浜流星。芸能事務所ケイダッシュの川村龍夫会長が生涯功労賞を受賞した。日本からはガールズグループNiziUも参加。2曲を披露し、会場を盛り上げた。

「ベイビー・ブローカー」野外トーク
 「ベイビー・ブローカー」の是枝裕和監督、イ・ジウン(IU)、イ・ジュヨンが8日、メーン会場「映画の殿堂」野外会場のトークイベントに登場した。二人の俳優は“二刀流”だ。

 「赤ちゃんポスト」に子どもを置き去りにする母親を演じたイ・ジウン。是枝監督はドラマ「マイ・ディア・ミスター 私のおじさん」を見て、この難役に抜擢したという。トップクラスの人気歌手でありながらも俳優としても存在感を増し、今後の活動から目が離せない。

 また、ペ・ドゥナとともに刑事役を演じたイ・ジュヨンは、韓国のインディペンデント映画界では知られた存在だったが、ドラマ「梨泰院クラス」でトランスジェンダーのマ・ヒョニ役を好演しブレイク。日本でも注目されるようになった。

 実はイ・ジュヨンは今回の映画祭に監督としても参加している。短編コンペ部門に出品した「Leave at Door, Bell X」は、自転車でフードデリバリーのバイトをする女性が主人公。タイトルは「ドアの前に置いてベルは鳴らさない」の意味で、注文客の要望だ。しかし主人公は、暗証番号が分からず建物に入れなかったり、ようやく届けた食べ物が冷めていたと苦情を受けたり、大雨に降られたりと次々にトラブルに見舞われる。韓国の若者の就職難や労働環境の厳しさを下敷きにしているのはもちろんだが、デリバリー全盛時代を支える人たちの背景や内面にも目を向けさせてくれる作品だ。

(文・写真 芳賀恵)

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