2020年02月26日

「地獄の黙示録 ファイナル・カット」ベトナム戦争の狂気 コッポラ不朽の名作、デジタル修復で再登場

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 1960年代、ベトナム戦争が激化する中、米陸軍のウィラード大尉(マーティン・シーン)に特殊任務が命じられる。軍規にそむき、カンボジア奥地のジャングルで王国を築くカーツ大佐(マーロン・ブランド)の暗殺指令だった。ウィラードは4人の部下と哨戒艇でヌン川をさかのぼる──。

 フランシス・フォード・コッポラ監督のカンヌ国際映画祭のパルムドール(最高賞)受賞作「地獄の黙示録」(79)が製作40周年を記念し、監督自身の手で再編集、デジタル修復された。

 「地獄の黙示録」は現在、大きく分けて2つのバージョンが存在する。オリジナルである79年の劇場公開版、上映時間は153分。オリジナルには2つのバージョンがあり、一部の劇場で先行上映された70ミリ版はエンドロールがない。通常上映された35ミリ版は、ラストに村の爆破シーンとエンドロールがある。

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 さらに、2001年に公開された「地獄の黙示録 特別完全版」は、上映時間が最長の202分。劇場公開版より30分長く、ウィラードたちがヌン川をさかのぼる途中でフランス人入植者たちに出会うエピソードなどが追加された。35ミリ劇場公開版同様、村の爆破とエンドロールがある。今回IMAX上映される「地獄の黙示録 ファイナル・カット版」は、「特別完全版」より20分短く、デジタル修復されている。

 「地獄の黙示録」が描くのは戦争の狂気だ。カーツ大佐暗殺の任務を負ったウィランドたちが、川をさかのぼる途中で見たのは、戦争で狂った米兵たちだった。サーフィンをするため村ごと焼き払うギルゴア中佐(ロバート・デュバル)。慰問に訪れたプレイメイトに熱狂する兵士。ドラッグに溺れ正気を失っていく乗務員。それまで米映画が描いた英雄とは正反対の米軍兵士が登場する。

 ヘリコプターがベトナムの村を襲撃する戦闘シーンに始まり、中盤から後半にかけて登場人物の狂気は加速する。カーツ大佐のいる秘境は、さまざまな人種と死体の放つ死臭漂うカオスな場所だ。

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 王国に君臨するマーロン・ブランドは、スキンヘッドの異様な出で立ち。登場シーンは影や逆光を多用した映像で、怪物と化したカーツ大佐を象徴する。CG(コンピューター・グラフィクス)のない時代、物量作戦でベトナム戦争を再現したコッポラの破壊力もさることながら、米アカデミー賞を受賞した撮影監督、ヴィットリオ・ストラーロの映像美を再確認できる。

 ドアーズの「ジ・エンド」、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」など、既存の音楽の使いた方が非常にうまく、作品と切っても切れない印象を残した。40年を超えて復活した「ファイナル・カット版」は、IMAXの迫力映像と音響により、改めて作品世界にどっぷりひたれるだろう。

(文・藤枝正稔)

「地獄の黙示録 ファイナル・カット」(2019年、米国)

監督:フランシス・フォード・コッポラ
出演:マーロン・ブランド、マーティン・シーン、ロバート・デュバル、ローレンス・フィッシュバーン、ハリソン・フォード、デニス・ホッパー

2020年2月28日(金)、IMAX全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://cinemakadokawa.jp/anfc/

作品写真:(C)2019 ZOETROPE CORP. ALL RIGHTS RESERVED.
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「パラサイト 半地下の家族」ポン・ジュノ監督、ソン・ガンホ来日「世界は同じ苦痛を抱えている」

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 米アカデミー賞で外国映画として史上初の作品賞を含む最多4部門を制した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督、主演のソン・ガンホが2020年2月23日、東京・千代田区の日本記者クラブで記者会見した。格差社会を巧みな演出で描いたポン監督は「世界のさまざまな国が同じ苦痛を抱えている。社会の二極化の事実を暴くより、未来に対する恐れを描きたかった」と語った。

 日本でも公開中の「パラサイト 半地下の家族」は、2月22日までに興行収入30億円(動員約220万人)を突破。韓国映画として「私の頭の中の消しゴム」を超え、歴代興行収入1位を記録した。ポン監督は「劇場で熱く反応してくれた日本の観客に感謝したい」と語った。

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ソン「監督の『ねっとりしたところ』が好き」
 さらに、ソンは開口一番、日本語で「ソン・ガンホです」とあいさつ。日韓の映画交流が盛んだった2000年代初頭を振り返り「残念なことにその後は減ってしまった。『パラサイト』を機に韓国の素晴らしい監督の作品、日本の優れた芸術家の活動が関心を呼び、互いの文化に共感が持てればいいと思う」と話した。

 二人は「殺人の追憶」(03)、「グエムル 漢江の怪物」(06)、「スノーピアサー」(13)を経て4作目のタッグ。ソンはポン監督の魅力を「ねっとりしたところ」と表現。カンヌ国際映画祭のパルムドール(最高賞)受賞ではうれしさのあまりポン監督の胸を強く叩き、骨にひびが入ってしまったという。監督との仕事は「祝福であり苦痛。監督が芸術家として持つ野心を、私が俳優として達成するための苦痛。現場では監督とあまり話さず、何を撮ろうとしているか探るのが好きだ。俳優としては難しく、楽しく、興味深い行為で、あえて尋ねずに見つけようと心がけている」と明かした。

 一方、ポン監督は、ソンについて「演技が本当に素晴らしい」と絶賛。脚本をあて書きする時は「うきうき草原をはねる子馬のような気分になる」と高い信頼を寄せている様子を見せた。

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ポン監督「匂いを語ることで、一線を越える状況描いた」
 また、作品の重要なポイントとなる「匂い」について、ポン監督は「匂いは礼儀に関することなので、たとえ感じても口に出せない。生きる環境、生活条件、置かれた状況を表すもの。映画では意図せず匂いについて聞いてしまうことで、人間の礼儀に対して一線を越えてしまう状況を描いた」と語った。

 これに対し、視覚の上には表れない匂いを繊細な演技で表現したソンは「目に見えない線や匂いは、映像で見せにくい。演技する時は、漠然と観念的な方法ではなく、ドラマの構造の中に入り込み、心理的に理解するよう心がけている」と話した。

 全米俳優組合(SAG) 賞の作品賞にあたるキャスト賞受賞について、ソンは「俳優のアンサンブルに与えられる賞。題名は『パラサイト』だが、私たちのこの社会をどう生きるか、寄生ではなく共生を描いている。(演技のアンサンブルを評価する)賞が獲れて、意図がきちんと伝わったと考えている」と述べた。

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ポン監督「ウイルスより過度な反応、国家的・人種的な偏見が恐ろしい
 新型コロナウイルスが拡大する現状について、ポン監督は「浦沢直樹さんの『20世紀少年』を思い出す。人間心理が作る不安や恐怖が大きく、巻き込まれると災害を克服するのが難しくなる。過度な反応や国家的・人種的な偏見で、より恐ろしいことが起きる。我々は問題を乗り越えられると希望的に考えている」と前向きに語った。

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 作品を通じて伝えたかったことについて、ポン監督は「世界のさまざまな国は同じ状況、苦痛を抱えている。二極化と呼ばれるその事実を暴くより、未来に対する恐れを描きたかった。未来の私たちは二極化を克服しうるのか。たやすいことではない。私は悲観主義者ではないが、今後どうすべきなのか。私の不安や恐れは、この時代を生きるすべての人が抱えているのではないか。メッセージやテーマを真顔で伝えるのが得意ではない。冗談交じりで伝えるのが好きだ。声高に主張するより、映画的な美しさの中、映画的方法で、俳優の豊かな表現とともに、映画的な活気をもって伝えたかった」

ポン監督「クラシックを作りたい。『七人の侍』のような」
 最後に今後の目標についてポン監督。「恥ずかしいが……クラシックを作りたい。作品が時間を超えてほしい。ほぼ妄想のようなものだ。キム・ギヨン監督の『下女』や黒澤明監督の『七人の侍』、ヒッチコック監督の『めまい』のように」と話した。

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 また、翌24日に東京・六本木で開かれた舞台あいさつには、二人の20年来のファンという草なぎ剛が登場。カンヌ最高賞、米アカデミー賞など世界で評価されたことを祝福した。

(文・遠海安 写真・岩渕弘美)

「パラサイト 半地下の家族」(2019年、韓国)

監督:ポン・ジュノ
出演:ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク、パク・ソダム、イ・ジョンウン、チャン・ヘジン

全国公開中。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.parasite-mv.jp/

作品写真:(C)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED
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2020年02月18日

「RED」夏帆と妻夫木聡、大人向けの恋愛映画 島本理生原作

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 誰もがうらやむ夫、かわいい娘。何不自由ない生活を過ごしていたはずの塔子(夏帆)は、10年ぶりにかつて愛した鞍田(妻夫木聡)に再会する。ずっと行き場のなかった塔子の気持ちを、鞍田は少しずつほどいていく──。直木賞作家・島本理生による同名小説の映画化。監督は「幼な子われらに生まれ」(17)の三島有紀子。

 一流商社に勤める夫・真(間宮祥太朗)と結婚し、義父母と長女と一緒に郊外のおしゃれな一軒家で暮らす主婦。人もうらやむ暮らしぶりだが、塔子はそんな暮らしに窮屈さを感じていた。そこへかつて不倫関係だった鞍田が現れ、物語が急展開する。

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 塔子の目を通して、男の嫌な面や理想が描かれる。3人の男が登場する。一人は夫の真。エリートで非常にプライドが高く、理想を追いすぎて自己中心的。妻は性処理の道具で、娘の母親に過ぎず、恋愛対象として見ない。女性から見て嫌な男の代表として描かれる。間宮祥太朗が「殺さない彼と死なない彼女」(19)のニヒルな主人公から一転、思いやりが欠如した自己中心的な男を演じる。

 正反対なのが鞍田だ。10年前、鞍田の設計事務所でバイトしていた学生の塔子は、妻のいる鞍田と不倫していた。10年ぶりに再会した鞍田の登場シーンはミステリアス。ブライアン・デ・パルマ監督「殺しのドレス」(80)の美術館のシーンを彷彿とさせる。鞍田は塔子を女性として受け入れ、ブランクを埋めるよう二人は激しく愛し合う。妻夫木が寡黙さと情熱を合わせ持つ男性を体現した。

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 二人の間で揺れる塔子の前に、もう一人の男が現れる。鞍田の勤務先で働き始めた塔子に言い寄る遊び人風情の同僚、小鷹(柄本佑)だ。自由のない塔子の心を開くムードメーカー。柄本が珍しく二枚目半の遊び人キャラを好演する。

 恋愛に対する男女の温度差を濃密に描いている。夏帆は内面演技と体当たりの濡れ場をこなし、女優としてターニングポイントになる作品だろう。演出も実にたくみだ。耐え続けた塔子の心の沸点を直接描くのではなく、トラックの積載量オーバーを表す赤い旗を暗喩に使った。酸いも甘いも噛み分けた大人に向けた恋愛映画だ。

(文・藤枝正稔)

「Red」(2020年、日本)

監督:三島有紀子
出演:夏帆、妻夫木聡、柄本佑、間宮祥太朗

2020年2月21日(金)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

https://redmovie.jp/

作品写真:(C)2020「Red」製作委員会
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2020年02月15日

「嘘八百 京町ロワイヤル」中井貴一、佐々木蔵之介が丁々発止 広末涼子「プレッシャー感じた」

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 映画「嘘八百 京町ロワイヤル」の初日舞台挨拶が1月31日東京六本木で行われ、中井貴一、佐々木蔵之介、広末涼子らキャストが登壇した。

 幻のお宝をめぐり、中井貴一と佐々木蔵之介扮する古物商と陶芸家がだまし合いの大騒動を繰り広げるコメディのシリーズ第2作。

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 主演の中井は「去年の今ごろ撮影して、1年間寝かせてきた子を世に放つ感じ。ここからお客様に育てていただく」とあいさつ。佐々木は晴れ晴れとした笑顔で「初日はこんなにドキドキするのかと思っている。まさかの続編、2本目なんて100にひとつ。地元・京都で(撮影)なんて、こんなに幸せなことはない」と喜びをにじませた。

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 今回マドンナ役の広末涼子は「ハリウッドみたいに宇宙を相手にしたり、AI(人工知能)を相手にした大作ではないけれど、私はこれこそ、日本の喜劇、日本のエンターテインメントなのかな、と幸せな気持ちになった」と話した。
 口の立つ古物商、則夫を演じた中井は「僕が口、佐々木さんが作陶。役割分担ができていた。セリフが多いのはやむを得ない。多さをあまり感じさせないよう芝居に専念した。良い脳トレになった」と話すと、陶芸家を演じた佐々木は「口八丁、手八丁の手の方。陶芸家に見えなきゃいけない。嘘八百というタイトルだが、絶対うそはだめ。蹴ろくろを回した翌日は筋肉痛で大変だった」と苦労を語った。

 また、広末は「本読みでも中井さん、佐々木さんはテンポもよく、スピーディーな言い回しが圧巻。初日現場に行って、テストしてすぐ本番。練習したり、悩んだりする暇がないので、毎日舞台に立っているようだった。久しぶりに朝3時に起きて、ひとりで練習して、自分を温めてから現場に入った。おふたりがNGを全く出さないので、プレッシャーで緊張した」と振り返った。

(文・写真 岩渕弘美)

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「嘘八百 京町ロワイヤル」(2020年、日本)

監督:武正晴
出演:中井貴一、佐々木蔵之介、広末涼子、友近、森川葵、山田裕貴、坂田利夫

2020年1月31日(金)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

https://gaga.ne.jp/uso800-2/

作品写真:(C)2020「嘘八百 京町ロワイヤル」製作委員会
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2020年02月09日

チベット映画「巡礼の約束」ソンタルジャ監督&主演のヨンジョンジャに聞く「国や地域を問わず、人間の情や愛は変わらない」

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 チベットの聖地・ラサ巡礼を目指す家族の道のりを描いた映画「巡礼の約束」が2020年2月8日から公開されている。チベット人監督として初めて日本で作品が劇場公開された「草原の河」のソンタルジャ監督が、チベット人歌手・ヨンジョンジャを主演に迎えた人間ドラマだ。監督は「国や地域を問わず、人間の情や愛は変わらない」と語った。

 チベット文化圏の四川省ギャロン地域。女性ウォマは、夫のロルジェ、義父と暮らしている。病院で医師にあることを告げられたウォマは、ロルジェに「ラサへ五体投地で巡礼する」と宣言する。4反対を押し切り出発したウォマを、ロルジェが追い、前の夫との息子のノルウも会いに来た──。

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 主なやり取りは以下の通り。

 ──ヨンジョンジャさんの故郷・ギャロンの文化の特徴を教えて下さい。

 ソンタルジャ監督:ギャロンは村ではなく、広い地域を指します。四川省所属しており、その地域一帯に住むギャロン語を話す人たちがギャロンと呼ばれています。

 ヨンジョンジャ:私の実家はギャロンにあります。チベット民族として、ギャロンの村からラサへ巡礼に行く風習は古くからありました。全員が行けるわけではなく、仕事や体の具合などの都合で一部の人々しか行けません。

 私の故郷にいた小学校の先生が、五体投地でのラサ巡礼を長い時間をかけて実現しました。その話を監督にしたことが、企画のきっかけです。映画のストーリーとはかなり異なっています。監督が映画的に脚色してくれました。

 ソンタルジャ監督:共通しているのは(途中で巡礼に加わる)ロバの存在ですね。

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 ──映画のキーワードである「約束」「運命」「縁」は、チベットの人たちの生活の中では重要な意味を持つのでしょうか。

 ソンタルジャ監督:はい、その通りです。私たちが信じる仏教の考え方と一致します。漢民族は比較的、縁を宿命的で、悲観的にとらえる傾向がありますが、私たちチベット人は、豊かな人間関係の一つと考えます。「約束」「運命」「縁」は、チベットの人々の普遍的な価値観の象徴と思いますね。

 また、チベット人は、世の中のいろいろな場所に魂が宿ると信じています。人間関係について考える時も、簡単には判断を下しません。「縁」を大事にするのです。

 ──死についてはいかがですか。一般的に日本人は死ぬことに対して悲観的です。チベットの人たちはどうでしょう。

 ソンタルジャ監督:チベット人は死は生まれ変わりと考え、それほど悲観的にはとらえません。北京に一時期に住んでいた時、お年寄りが毎日身体を鍛えるのを見ました。老いへの抵抗ですね。チベットでは歩きながらお経を唱えたりします。都市の人は死にあらがおうとしますが、チベット人は普段の生活から死に向けて準備し、死に向かうことを当たり前と考えますね。

 ──お二人もそうですか。

 ソンタルジャ監督:まだその時期ではないですが、そう死にたいとは思います。その時になってみないと分からないです(笑)。

 ヨンジョンジャ:仏教徒として輪廻を信じています。死は新たな生の始まりだと考えます。

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 ──「巡礼の約束」を見て、チベットの人たちの間にはさまざまな言語、文化があると知りました。ギャロンの特徴はどんなところでしょうか。

 ヨンジョンジャ:宗教や信仰はほかの地域と一緒ですね。

 監督:建築や服飾が独特です。建物は石造りなんですよ。

 ヨンジョンジャ:そう、私もちょうど家を建てている最中で、すべて石で作るギャロン式です。チベットでもラサとギャロンは農耕文化。定住するので石造りの家。アムドやカンバなどは移動する遊牧民の土地で、人々はテントに住んでいます。

 監督:(チベット高原の)アムドやカンバの人たちは、モンゴル草原と同じようにゲルを住んでいます。

 ──映画を見てチベット文化に触れる外国人の観客に、どんな部分に注目してほしいですか。

 監督:「巡礼の約束」はチベットの映画ですが、どこの国であろうと、生きている人間の関係、親子の情は変わらないことを感じてほしいです。

 ヨンジョンジャ:政治的なレッテル、宗教の違いを取り払えば、残るのは人と人の心の通い合いです。「巡礼の約束」はギャロンの話ですが、民族や地域に関係なく、人間は愛が大事だと伝えています。包容力、豊かな広い心で、人を受け入れることや、約束を守ることが、とても大事だと感じてもらえればいいな、と思います。

(文・写真 遠海安)

「巡礼の約束」(2018年、中国)

監督:ソンタルジャ
出演:ヨンジョンジャ、ニマソンソン、スィチョクジャ、ジンバ

2020年2月8日(土)、岩波ホールほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://moviola.jp/junrei_yakusoku/

作品写真:(C)GARUDA FILM
posted by 映画の森 at 14:17 | Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする