2013年01月10日

「ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝」 “飛び出す”初の3Dカンフー ツイ・ハーク&ジェット・リー、14年ぶりタッグ

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 砂漠にたたずむ辺境の宿「龍門」に、60年に一度の巨大砂嵐が迫っていた。言い伝えでは砂漠に眠る財宝と都市が地上に姿を現すという。龍門には絶対的権力を持つ悪の宦官ユー(チェン・クン)率いる武装集団、秘宝強奪をもくろむ盗賊団、謎めいた美しき女侠客リン(ジョウ・シュン)が集結。打倒ユーに執念を燃やす孤高の義士ジャオ(ジェット・リー)も駆けつけ、一触即発の殺気が張りつめる。ついに決戦の火ぶたが切られた時、想像を絶する竜巻が襲来。天が荒れ狂い、大地が揺れる激闘の果て、誰が伝説の秘宝を手にするのか──。

 大ヒット作「ワンス・アポン・タイム・イン・チャイナ」シリーズのツイ・ハーク監督とジェット・リーが、14年ぶりに組んだ3Dアクション映画だ。ツイ・ハークが製作・脚本を担当した「ドラゴン・イン」(92)の3年後の後日談となる。

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 “香港のスピルバーグ”と呼ばれるツイ・ハーク監督らしく、人間が飛ぶ姿を派手なワイヤーアクションで見せる。3D映像を効果的に見せるためデジタルCG(コンピューター・グラフィックス)で作られた剣、矢、樽、丸太が、画面から飛び出してくる。「見る」ことに「体感」を加えたアトラクションだ。初の3D武侠映画とあって、ハリウッドから「アバター」のスタッフを招いたという。

 権力者による弾圧や不正が横行する明代の中国。皇帝の子を身ごもり、都を脱出した官女スーを女侠客リンが救い、砂漠に建つ「龍門」にたどり着く。宿には300年前に砂に埋まった財宝を狙い、王女チャン、女剣客グー、情報屋フォンと盗賊団が集まっていた。そこへリンと恋仲だったジャオ、ジャオの宿敵ユーも集結。居合わせた人々が敵と味方に分かれ、全面戦争が繰り広げられる。

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 奥行き方向にポイントを置くハリウッド作品と異なり、物体が前に飛び出すシーンが多い。勧善懲悪の世界観をもとに、カンフー&ワイヤーを駆使。飛翔アクションを派手に見せ、中盤は宿を舞台に集団抗争劇が展開。後半は秘宝探しのアドベンチャーへ変貌する。クライマックスはCGで作られた竜巻の中のバトル。前代未聞の特撮アクションとなる。

 しかし、多くの要素を詰め込んで大風呂敷を広げたのはいいが、収拾がつかなくなり、幕引きは強引で投げやりになってしまった。とはいえ3Dエンターテインメント武侠映画として、大いに楽しめる作品だ。

(文・藤枝正稔)

「ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝」(2011年、中国)

監督・製作・脚本:ツイ・ハーク
出演:ジェット・リー、ジョウ・シュン、チェン・クン、リー・ユーチュン、グイ・ルンメイ、メイビス・ファン、リュー・チャーフィー

1月11日、TOHOシネマズ六本木ヒルズほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://dragongate-movie.jp/

作品写真:(C)2011 Bona Entertainment Company Limited, All Rights Reserved
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2012年11月13日

「2012-13 冬の香港傑作映画まつり」12月15日からトニー・レオン、チャン・ツィイー、ニック・チョンら最新作3本

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 香港映画の最新作3本を連続上映する「2012-13 冬の香港傑作映画まつり」が12月15日、東京・シネマート六本木でスタートする。

 上映されるのは「最愛」(11、顧長衛=クー・チャンウェイ監督)、「大魔術師“X”のダブル・トリック」(11、爾冬陞=イー・トンシン監督)、「狼たちのノクターン 夜想曲」(12、周顯揚=ロイ・チョウ監督)の3作品。

 「最愛」は郭富城(アーロン・クオック)、チャン・ツィイーが共演。1990年代の中国山間部を舞台に、売血でHIV感染した男女の悲恋を描く。

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 「大魔術師“X”のダブル・トリック」は梁朝偉トニー・レオン、劉青雲(ラウ・チンワン)、周迅(ジョウ・シュン)の顔合わせ。20年代中国で、軍閥から元恋人の奪還を狙うマジシャンの活躍を描く娯楽アクション。

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 「狼たちのノクターン 夜想曲」は、張家輝ニック・チョン、任達華(サイモン・ヤム)主演の犯罪映画。殺人罪で服役した男が、出所後ある少女を監視する。ベテラン刑事は男を追ううち、20年前の殺人事件との関連性に気付き、やがて衝撃の事実が浮かび上がる。

 いずれも中華圏を代表する俳優、実力派監督による力作だ。上映スケジュールなど詳細は公式サイトまで。

http://www.cinemart.co.jp/theater/roppongi/lineup/20121027_10220.html

(文・遠海安)

「最愛(原題:最愛)」 12月15日から公開

監督:顧長衛(クー・チャンウェイ)
出演:郭富城(アーロン・クォック)、章子怡=チャン・ツィイー

「大魔術師“X”のダブル・トリック(原題:大魔術師)」 2013年1月5日から公開
監督:爾冬陞(イー・トンシン)
出演:梁朝偉(トニー・レオン)、劉青雲(ラウ・チンワン)、周迅(ジョウ・シュン)

「狼たちのノクターン 夜想曲(原題:大追捕)」 同1月26日から公開
監督:周顯揚(ロイ・チョウ)
出演:張家輝(ニック・チョン)、任達華(サイモン・ヤム)

12月15日よりシネマート六本木、12月29日よりシネマート心斎橋で公開。

作品写真:
「最愛」(c)2012, Irresistible Delta Limited, Edko Films Limited, Sil-Metropole Organisation Limited. All Rights Reserved.
「大魔術師“X”のダブル・トリック」(c)Emperor Motion Picture Limited Bona Entertainment Company All Rights Researved.
「狼たちのノクターン 夜想曲」(c)2012, Irresistible Delta Limited, Edko Films Limited, Sil-Metropole Organisation Limited. All Rights Reserved.
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2012年08月10日

「ニュー香港ノワール・フェス」 2000年代傑作犯罪映画、3本一挙紹介

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 2000年代香港犯罪映画の傑作3本を集めた特集上映「ニュー香港ノワール・フェス」が8月11日、新宿武蔵野館でスタートする。

ツイ・ハーク、リンゴ・ラム、ジョニー・トー合作
 上映されるのは、ツイ・ハーク、リンゴ・ラム、ジョニー・トー監督がリレー形式で仕上げた「強奪のトライアングル(原題:鐵三角)」、人気歌手でもあるレオン・ライがイメージをがらりと変えた「コンシェンス 裏切りの炎(原題:火龍 FIRE OF CONSCIENCE)」、アンソニー・ウォンとリッチー・レンが顔を合わせた「やがて哀しき復讐者(原題:報應 PUNISHED)」。

 中でも「強奪のトライアングル」は、1980〜90年代香港映画黄金期を支えた3監督が、それぞれの持ち味を生かしつつ一つの物語をつないでいく。主演のルイス・クー、サイモン・ヤム、中国を代表する演技派のスン・ホンレイのアンサンブルにも注目だ。

レオン・ライ、イメージ一新
 「コンシェンス 裏切りの炎」は、妻を亡くした失意の刑事をレオン・ライが好演。無精ひげにもっさりした風貌で、従来のスマートなイメージを返上。激しいアクションにも挑戦している。監督は「ビーストストーカー 証人」、「密告・者」のダンテ・ラム。スピーディーで骨太な演出が光る。

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 「やがて哀しき復讐者」は、香港映画界きっての個性派、アンソニー・ウォンと、ジョニー・トー作品などで独特の存在感を見せるリッチー・レンが共演。親子愛と因果応報が焦点の犯罪映画となっている。

(文・遠海安)

「強奪のトライアングル(原題:鐵三角)」(2007年、中国・香港)

監督:ツイ・ハーク、リンゴ・ラム、ジョニー・トー
出演:ルイス・クー、サイモン・ヤム、スン・ホンレイ

「コンシェンス 裏切りの炎(原題:火龍 FIRE OF CONSCIENCE)」(2010年、中国・香港)

監督:ダンテ・ラム
出演:レオン・ライ、リッチー・レン、ビビアン・スー、リウ・カイチー、ミシェル・イエ

「やがて哀しき復讐者(原題:報應 PUNISHED)」(2011年、中国・香港)

監督:ロー・ウィンチョン
出演:アンソニー・ウォン、リッチー・レン、キャンディ・ロー、ジャニス・マン

8月11日、新宿武蔵野館で一挙公開。作品の詳細、上映スケジュールは公式サイトまで。

http://3hknoirfes.net/

作品写真:
「強奪のトライアングル」(C) 2007Milkyway Image(HK)Ltd
「コンシェンス 裏切りの炎」(C) 2010 Media Asia Films(BVI)Ltd.All Rights Reserved.
「やがて哀しき復讐者」(C) 2011 Media Asia Films(BVI)Ltd.All Rights Reserved.
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2012年05月02日

「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」 ツイ・ハーク、本領発揮! これぞ香港アクションの精髄

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 紀元689年、唐の時代。中国史上初の女帝誕生を前に、奇怪な殺人事件が続発する。いずれも突如として人体が炎上し、全身が焼き尽くされ、残るは灰と骸骨のみ。すさまじい死に方だった。犠牲者は政権の中枢を担う要人ばかり。則天武后(カリーナ・ラウ)の即位を阻もうとする反逆者の仕業であることに、疑いの余地はなかった。犯人は誰なのか? 殺害のトリックは? 武后は、かつて自分に逆らった罪で入獄した判事ディー(アンディ・ラウ)を解放し、事件の解明に当たらせる――。

 ツイ・ハーク監督が久々に手がけた武侠映画「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」。目を射るスペクタクル、洗練をきわめたワイヤーアクション、俊敏かつ的確なカット割り、縦横無尽のカメラワーク。これぞツイ・ハークというべき、映画の面白さにあふれた、極上のエンターテインメントに仕上がっている。

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 まず目を奪うのが、武后の権力の象徴として建設中の仏塔“通天仏”だ。途方もない巨大建築物を、実物大のセットで組まれた内側から見せる映像は圧巻の一語。堂々たる造形と絢爛たる色彩にため息が出る。

 もちろん最大の見どころは、アクション・シーンだ。並外れた頭脳の持ち主である判事ディーは、武術の達人でもある。ディーの監視を命じられる美女チンアル(リー・ビンビン)、補佐役の司法官ペイ(ダン・チャオ)も、卓越した武芸者。凄腕の3人が、捜査を妨害する刺客たち相手に繰り広げるバトルの激しさ、美しさは、ツイ・ハークならではと言える。特に通天仏内で演じられる決闘シーンのクライマックスは素晴らしい。

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 キャストも豪華だ。主役のアンディ・ラウ、事件の鍵を握るシャトーに扮したレオン・カーフェイ、則天武后役のカリーナ・ラウ、そしてリー・ビンビン、ダン・チャオ。それぞれがスターのオーラを放ち、スクリーンに色艶を与えている。

 また、繰り出される超人的な技と術、政府転覆の陰謀、建築物への細工といった要素からは、横山光輝の忍者漫画「伊賀の影丸」を想起させられた。しかし、残念ながら日本にはこのような映像作品を作れる映画人は見当たらない。アクション映画というジャンルにおける香港映画の優位を改めて思い知らされる1本。

(文・沢宮亘理)

「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」(2010年、中国・香港)

監督:ツイ・ハーク
出演:アンディ・ラウ、リー・ビンビン、ダン・チャオ、レオン・カーフェイ、カリーナ・ラウ

5月5日、シネマート新宿ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.dee-movie.com/

作品写真:(c)2010 Huayi Brothers Media Corporation Huayi Brothers International Ltd. All Rights Reserved.
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2012年04月16日

「捜査官X」 金城武×タン・ウェイ×ピーター・チャン監督語る 「武侠映画は中国文化の一部」

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2011年10月9日、第16回釜山国際映画祭の招待作品部門「ガラ・プレゼンテーション」で、中国の時代劇アクション「捜査官X(原題:武侠)」が上映され、主演の金城武、湯唯(タン・ウェイ)、陳可辛(ピーター・チャン)監督が記者会見した=写真。初の本格アクション挑戦に、チャン監督は「武侠映画は中国文化の一部。私も子供のころから見て育ち、影響を受けてきた」と語った。

※編集部注:2011年11月13日付記事を再掲載します。

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清朝末期の中国雲南省を舞台とした「捜査官X」。侠客の過去を隠して生きる男(甄子丹=ドニー・イェン)とその妻(タン・ウェイ)、村で起きた殺人事件を調べる捜査官(金城武)、犯罪組織のボス(王羽=ジミー・ウォング)を巡り、アクションとサスペンスが絡み合う時代劇大作だ。「片腕ドラゴン」(72)などで一世を風靡した往年のカンフー・スター、ジミー・ウォングの“怪演”も見どころとなっている。

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監督生活をスタートさせた香港時代、「君さえいれば 金枝玉葉」(94)、「ラブソング」(97)などの名作を生み、現在は中国に拠点を移し活動するチャン監督。初の本格アクション挑戦について「私はカンフー映画を見て育った。“武侠映画”は中国文化の一部で、中国人の共通体験。過去に観た作品には、間違いなく影響を受けている」と説明。1960〜70年代に一時代を築いた張徹(チャン・ツェ)監督、姜大衛(デビッド・チャン)、狄龍(ティ・ロン)の名を挙げ、「意識したのは彼らの作品。子供時代の記憶にはいつも彼らの映画がある」と話した。

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日本でも公開された「イップ・マン 葉問」(10)など、ここ数年主演作が目白押しのドニー・イェンが、今回はアクション監督も兼任している。現場での様子について、金城武は「ドニーは主演俳優、アクション指導、一人の“武侠家”の1人3役をこなした。非常に念入りに、丁寧に準備して臨む姿が印象的だった」と振り返った。今回は「ウィンター・ソング」(05)、「ウォーロード 男たちの誓い」(07)に続き、3度目のピーター・チャン作品出演となる。これまでの俳優人生を振り返り、「いつも現場で表れるもの、アイデアや動きを享受できるよう、自分のすべきことに全力を尽くしたい。一本一本撮り終えるごとに、違った感覚をつかんでいきたい」と意欲を示した。

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チャン監督「中国映画界は大作が席巻。今後は作品の地域化が進むだろう」

最近では「孫文の義士団」(09)など、中国資本による大作の製作も手掛けるチャン監督。アジア映画界の今後について「中国の映画館へ行くと、10スクリーンのうち8つはハリウッドの同じ超大作をかけている。小さくてもいい作品がヒットする動きも出てきているが、巨大資本の大作が圧倒的に強い。それは問題でもあり、それぞれの国の作り手には厳しい状況で、変化を期待してもいる。しかし、将来的には映画のローカル化、地域化が一層進むと思う」と述べた。

また、10年に続き釜山映画祭参加となったタン・ウェイは「今年も釜山で誕生日(10月7日)を迎えられてうれしい」と話していた。

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(文・写真 遠海安)

「捜査官X」(2011年、香港・中国)

監督:ピーター・チャン
出演:ドニー・イェン、金城武、タン・ウェイ

4月21日、新宿ピカデリーほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://sousakan-x.com/

作品写真:(C)2011 We Pictures Ltd. Stellar Mega Films Co., Ltd. All Rights Reserved.
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