2019年06月24日

「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」坂口健太郎&吉田鋼太郎、父子の絆を絶妙な呼吸で

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 インターネットのオンラインゲームを通した父と息子の絆を描いた「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」が公開中だ。東京都内でこのほど開かれた関連イベントに主演の坂口健太郎、吉田鋼太郎が参加し、撮影を振り返った。

 互いに距離ができてしまった父親と息子が、素顔を隠して人気ゲーム「ファイナルファンタジー」でつながり、ともに戦いながら絆を取り戻していく物語。実話をもとにした人気ブログの映画化だ。

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 父親を演じた吉田は「セリフの少ない寡黙なお父さん。難しい役だったが、健太郎が受け止めてくれて、いい作品ができた」と感謝。息子役の坂口は「鋼太郎さんとせりふのやり取りが少なく、せりふに頼れなかった。目があった瞬間の微妙な距離感とか、瞬間、瞬間の反応を大事にしようと思った。鋼太郎さんが父親でいてくれて(役を)構築できた」と振り返った。

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 吉田は実生活でも20代の息子の父親。「一緒にゲームを買いに行ったりした小さな時代があって、大きくなって、いつの間にか話をしなくなった。その過程が胸にぐっときた。共感できるところが多かった」と話した。

 吉田について坂口は「紳士でダンディーな印象があった。(実際には)すごくチャーミングで驚いた。一緒に芝居して、好きになっちゃう。すごいと思う」。吉田は坂口を「優しく、穏やかな好青年。芝居の集中力はすごい。せりふのやり取りがあまりない中、一言に思いを込めて返してくれる。きっちりできる俳優」と絶賛した。

(文・写真 岩渕弘美)

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「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」(2019年、日本)

監督:野口照夫(実写パート)、山本清史(ゲームパート)
出演:坂口健太郎、吉田鋼太郎、佐久間由衣、山本舞香、前原滉

2019年6月21日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

https://gaga.ne.jp/hikarinootosan/

作品写真:(c)2019「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」製作委員会 マイディー/スクウェア・フェニックス
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2019年06月15日

「女の機嫌の直し方」男女脳の違い研究、トラブル解決 結婚式コメディー

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 大学で人工知能(AI)を研究する真島愛(早見あかり)は、「男女脳の違いによる女の機嫌の直し方」をテーマに卒業論文を執筆している。データを集めるため、結婚式場でアルバイトをスタート。上司のウェディングプランナー・青柳誠司(平岡祐太)とある結婚式を担当し、控室に顔を出すと、新郎・北澤茉莉(松井玲奈)と新郎・悠(佐伯大地)の間にトラブルの予感──。

 黒川伊保子の同名ベストセラーが原案のコメディー作品。全3回のテレビドラマを、劇場映画版として再編集した。監督は日本テレビでバラエティー番組を中心に担当する有田駿介。

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 結婚式場を舞台に、式直前にトラブルを抱えた新郎新婦。火種は招待客、新郎の母らに飛び火し、最悪な状態に陥るが、「男女脳の違い」を最新AIで研究した愛が次々と問題を解決していく。

 時間を上手に前後させ、ほぼ全編式場内だけで話を進める構成が秀逸だ。結婚式が進む様子をメーンに、トラブルの原因が回想として織り込まれる。トラブルのエピソードはそれぞれよく練られている。

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 披露宴の直前に汚れてしまったウェディングドレス。新郎の同僚・小早川梓(水沢エレナ)の突然の余興拒否。めでたい席で熟年離婚の危機に陥る新婦の叔父(金田昭雄)と叔母(原日出子)。優柔不断な新郎・悠のせいで起きる新婦・茉莉と新郎の母・晴美(朝加真由美)の女性同士のバトル。さまざまなパターンで男女脳の違いを示す。

 バラエティー番組で培われた有田監督の演出は、ツボを押さえて小気味良く、笑いと涙のバランスもいい。アイドルグループ「ももクロ」の早見あかり、「SKE48」の松井玲奈が、女優としてめざましい成長を見せる。朝加真由美、原日出子、金田明夫らベテランがドラマをうまく引き締めている。

(文・藤枝正稔)

「女の機嫌の直し方」(2019年、日本)

監督:有田駿介
出演:早見あかり、平岡祐太、松井玲奈、佐伯大地、水沢エレナ

2019年6月15日(土)、ユナイテッドシネマアクアシティ台場ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://kigen-movie.official-movie.com/

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2019年05月21日

「貞子」中田秀夫監督、14年ぶりに貞子の恐怖を描く 「リング」シリーズ原点回帰

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 心理カウンセラーの秋川菜優(池田エライザ)のもとに、記憶喪失の少女が入院してくる。少女は、1週間前の公営団地放火事件の容疑者・祖父江初子(ともさかりえ)が、人知れず生み育てた子供だった。少女と真摯に向き合う菜優だったが、次第に周囲で奇妙なことが起き始める──。

 鈴木光司原作の映画「リング」シリーズ最新作「貞子」。「リング」(98)、「リング2」(99)、ハリウッド版「ザ・リング2」(05)の中田秀夫監督が14年ぶりに貞子の恐怖を描いた。原作は鈴木の「タイド」だが、映画版はほぼオリジナルストーリー。

 「そのビデオ映像を見た者は7日後に死ぬ」。都市伝説「呪いのビデオ」の恐怖を描いた「リング」シリーズ。時代が進み映像技術は進歩し、ビデオは姿を消して動画配信へ変化。「撮ったら呪われる」に変わった。さらに「見た7日後に死ぬ」もなくなり、一度貞子に見入られた者は死から逃れられない。呪いの「新ルール」のもとで物語は展開する。

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 注目すべきは中田監督の帰還に加え、「リング」、「リング2」で貞子の呪いを逃れた佐藤仁美が、同じ倉橋雅美役で20年ぶりに登場したことだ。「リング2」で雅美は呪いから逃れたものの、精神を病んで病院に幽閉された。今回は雅美のその後が描かれる。高校生だった雅美は中年になり、病院の心理カウンセラー・菜優に執着。ストーカー患者として現れる。新作が旧作とリンクする仕掛けだ。

 さらに、貞子と対になる少女(姫嶋ひめか)が登場する。放火事件で助かった少女は、貞子と同様に戸籍がなく、名前も言えぬ記憶障害。怒りの力で物を動かす超能力・テレキネシスを持っていた。怒りの念力で人を殺す子ども時代の貞子を彷彿させる。ここ数年の「リング」シリーズの焦点は、貞子の恐怖に特化していたが、久々にその原点になる超能力者が現れた。

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 少女が暮らした公営団地の部屋は、放火事件後にネットで心霊スポットと名指しされた。一攫千金を目論む菜優の弟でユーチューバーの和真(清水尋也)は、肝試し動画を撮るために放火現場に無断侵入。しかし、無人の部屋で自撮りする和真の背後に、髪が長く白いドレス姿の貞子が写り込んでいた。その後、和真は行方不明となり、菜優は和真の相談相手だった石田(塚本高史)と弟の行方を探す。

 98年にスタートした「リング」シリーズは、続編「らせん」(98)、映画版続編「リング2」と展開。前日譚「リング0 バースディ」(00)、ハリウッド・リメイク版3本も派生させながら、最近では「貞子3D」シリーズや「貞子vs伽耶子」(16)などイベント的な作品も生まれた。いわば貞子の独り歩き状態だったが、今回の「貞子」は中田監督が本領発揮。時代を象徴するSNSを物語に取り入れながら、派手なCGを使わず、アナログ的な王道演出。観客を恐怖に陥れる正統な作風だ。

 物語の根底に流れるのは家族愛だ。「リング」では家族の呪いを回避するため主人公があがいた。「貞子」では呪いで行方不明となった弟を救うため姉が苦しむ。一方、超能力を持ってしまった少女の苦しみと悲しみ、貞子生誕の地・伊豆大島の洞窟内“賽の河原”のクライマックスも必見。長きに渡る「リング」シリーズが本道に戻り、原点回帰を試みた作品である。

(文・藤枝正稔)

「貞子」(2019年、日本)

監督:中田秀夫
出演:池田エライザ、塚本高史、清水尋也、姫嶋ひめか、桐山漣

2019年5月24日(金)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

https://sadako-movie.jp/

作品写真:(C)2019「貞子」製作委員会
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2019年04月18日

「愛がなんだ」男女5人のねじれる思い 屈折した不毛の恋が心に刺さる

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 猫背でひょろひょろのマモちゃん(成田凌)に出会い、恋に落ちた時から、テルコ(岸井ゆきの)の世界は一変した。どこにいようと電話一本で駆け付け、デートに誘われれば会社をさぼる。大好きで優しいけれど、マモちゃんは自分を好きではなかった──。

 「紙の月」、「八日目の蝉」の原作者・角田光代の同名小説を映画化。NHK連続テレビ小説「まんぷく」(18)の岸井ゆきの、「スマホを落としただけなのに」(18)の成田凌が主演。監督・脚本は「サッドティー」(14)、「退屈な日々にさようならを」(17)の今泉力哉。

 テルコはマモちゃん(マモル)に盲目だ。「熱が出た」と呼び出され、喜び勇んでアパートへ向かい、鍋焼きうどんを作り、風呂掃除をしてウキウキ気分でいたところ、「そろそろ帰ってくれ」と冷たく深夜の街に放り出される。行き場を失って向かうのは、唯一の女友達・葉子(深川麻衣)の家だ。不憫な姿を見た葉子は、マモルと別れるように助言するが、テルコは聞く耳を持たない。そんな葉子は葉子で、自分に好意を抱く年下男ナカハラ(若葉竜也)をいいように扱っていた。

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 一方的な片思いが悪循環を生む。テルコはマモルが好きすぎて仕事が手に付かず、会社をクビになる。マモルが好きなのは、だらしない年上喫煙女・すみれ(江口のりこ)だ。テルコはすみれに気に入られ、すみれを利用してマモルに会おうとする。テルコと同じ道を行くのがナカハラだ。葉子に尽くしまくるナカハラに、テルコは自分を重ね、葉子への怒りを募らせていく。

 キャスティングが成功の鍵だ。テルコ演じる岸井は、観客が切なくなるほどの片思いぶり。女をいいように利用する俺様男・マモルに、成田は容姿が良すぎる気もするが、心のうちを見せぬ身勝手なキャラクターをうまく演じている。意外にいいのが深川だ。監督の前作「パンとバスと2度目のハツコイ」(18)のおとなしい主人公から一転、自分本位な「自己中」女。健気な年下男を演じた若葉に、思わず同情してしまう好演だ。江口のりこは、短い出演でも若手と格の違いを見せ付ける。

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 若い男女5人のねじれた恋を、監督は日常のさりげないすれ違いから掘り下げていく。片思いの相手に徹底的に尽くす者。相手の思いを利用してポイ捨てする者。ドライで不器用な若さがリアルで、屈折した不毛の愛が心に刺さる。

(文・藤枝正稔)

「愛がなんだ」(2019年、日本)

監督:今泉力哉
出演:岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、穂志もえか

2019年4月19日(金)、テアトル新宿ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://aigananda.com/

作品写真:(C)2019「愛がなんだ」製作委員会
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2019年04月10日

「多十郎殉愛記」巨匠・中島貞夫監督、20年ぶり長編は“ちゃんばら時代劇” 光る高良健吾の役者魂

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 幕末の京都。貧乏長屋に住む清川多十郎(高良健吾)は、親が残した借金から逃れるため長州を脱藩し、無為な日々を過ごしていた。かつて名うての侍だったが、今は鬼神のような剣の強さを持て余す毎日。何かと世話を焼く小料理屋の女将・おとよ(多部未華子)の思いに気付きながらも、孤独を貫こうとしていた──。

 東映映画の巨匠・中島貞夫、20年ぶりの長編作品は、ちゃんばら時代劇だ。1970年代に犯罪アクションの傑作「狂った野獣」(76)、ヤクザ映画大作「やくざ戦争 日本の首領」(77)のほか、多くの実録ヤクザ映画を監督。「にっぽん’69セックス猟奇地帯」(69)など一連の風俗ドキュメンタリー作品も手がけるなど、オールマイティーな監督だ。

 数々の作品を世に送り出した後、「極道の妻たち 決着」(98)を最後に監督業を離脱。後継の育成に力を注いでいたという。84歳での新作「多十郎殉愛記」には、教え子で「海炭市叙景」(10)を監督した熊切和嘉が“監督補佐”として名を連ねている。

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 東映忍者もの「くノ一忍法」(64)でデビューした中島監督にとって、古巣の「東映京都撮影所」で撮ったちゃんばら時代劇「多十郎殉愛記」は、原点回帰と受け取れる作品だろう。「くノ一忍法」に出演した三島ゆり子、斬られ役で有名な福本清三、地回りの親分役の堀田眞三、医師役の野口貴史ら、監督作品の常連俳優が顔をそろえた。

 京都見廻組に目をつけられた多十郎は、腹違いの弟・数馬(木村了)とおとよを守るためにおとりとなる。一人で溝口蔵人(寺島進)率いる抜刀隊と見廻り組を敵に回し、30分間に渡る壮絶な大捕り物がクライマックスに用意されている。長屋を背景に多十郎が大勢の敵と繰り広げる殺陣、大八車を使った捕り物シーンは、勝新太郎主演「座頭市」シリーズを彷彿させる。竹やぶを使ったざん新な殺陣は、往年の時代劇ファンのツボをくすぐるだろう。

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 肉体と剣術だけで戦い続ける多十郎の姿は、昨今のCG(コンピューター・グラフィックス)を駆使したアクションと正反対。ちゃんばら時代劇の真骨頂、活劇の醍醐味だ。立ち回りの最中、多十郎が人質を取り立てこもるシーンがある。監督の青春犯罪映画「ジーンズブルース 明日なき無頼派」(74)の立てこもりシーンを思わせる演出で、今も体の中に変わらぬ70年代の魂が息づいているのか。93分と短めな上映時間に加え、あっさりとした幕引きも、かつて2本立て興行がメインだったブログラム・ピクチャーを思い出させる。

 生と死をかけた見事な殺陣。ふんどし姿で男の色気を醸し出した高良の役者魂。意志の強さと母性を合わせ持つ演技の多部。いずれも小池一夫原作「子連れ狼」など、70年代の劇画から飛び出したようだ。中島監督の健在ぶりと、衰えぬ「活動屋魂」に改めて感服する作品だ。

(文・藤枝正稔)

「多十郎殉愛記」(2019年、日本)

監督:中島貞夫
出演:高良健吾、多部未華子、木村了、三島ゆり子、栗塚旭

2019年4月12日(金)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://tajurou.official-movie.com/

作品写真:(C)「多十郎殉愛記」製作委員会

posted by 映画の森 at 00:04 | Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする