2017年10月15日

第22回釜山国際映画祭2017、今年も盛大に 日本から有村架純らも参加

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 アジア最大級の映画祭「第22回釜山国際映画祭2017」が、韓国・釜山市で開催されている。同市海雲台地区の「映画の殿堂」で行われたオープニング・セレモニーでは、国内外のスターが次々にレッドカーペットを歩いて祭りに華を添えた。21日まで76カ国・地域の約300本の映画を上映する。

 レッドカーペットには開幕作「ガラスの庭園」のシン・スウォン監督と主演のムン・グニョン、司会を務めるチャン・ドンゴンと「少女時代」のユナらが登場。秋雨が降る肌寒い気候のなか、観客の熱い歓声が響いた。「ナラタージュ」の行定勲監督と有村架純、「彼女がその名を知らない鳥たち」の白石和彌監督と蒼井優が姿を見せると会場からひときわ大きな声援が送られていた。

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 今年は日本映画が招待作品の5分の1を占め、外国映画では最大の本数となる。「あゝ、荒野」(岸義幸監督)や「アウトレイジ」(北野武監督)など話題作も上映される。

 釜山映画祭は、2014年の政権批判のドキュメンタリーの上映をきっかけに映画祭と釜山市が対立し、昨年は組織改編を経て中断の危機を免れた。今年のセレモニーには昨年不参加だったソ・ビョンス釜山市長が出席して和解をアピールした。

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ソ・シネ.JPG ムン・ソリ.JPG ソン・イェジン.JPG

ムン・グニョン、大人への脱皮
 開幕作「ガラスの庭園」は、葉緑体を使った人工血液を研究する女性が、後輩の女性に研究テーマと愛する男性を奪われ、森の中に閉じこもる物語。スランプ中の作家が偶然知った彼女に興味をもち、森での暮らしを盗み見て連載小説を書きはじめるが、やがて作家は衝撃的な光景を目撃する。

 2010年の東京国際映画祭で「虹」が最優秀アジア映画賞を受賞したシン・スウォン監督の新作。幻想的な森を舞台に、ファンタジーとミステリーの要素を巧みに織り込んだ。韓国で「国民の妹」と呼ばれる子役出身のムン・グニョンが愛らしい子役のイメージから脱皮し、ひたむきな女性の強さと危うさを繊細な感性で演じた。

(文・芳賀恵、写真・岩渕弘美) 
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2017年10月03日

「パーフェクト・レボリューション」困難に挑む“最強のふたり” 愛は障害を乗り越えるか

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 幼少時に患った脳性麻痺のせいで、手足が思うように動かせない男、クマ(リリー・フランキー)。体こそ不自由だが、性欲は旺盛だ。エロ本を買いに書店へ行けば、女性店員のスカートの中や胸の谷間を凝視。自宅には自慰に使う“テンガ”がゴロゴロ。クマはそんな自分のスケベさを恥じるどころか、積極的に公表し、障害者への偏見をなくす啓蒙活動をしている。

 クマに共感し、恋心をいだくのが、風俗嬢のミツ(清野菜名)だ。直情径行型のミツは、講演会で話すクマに一目惚れし、その場で猛烈アタック。最初は迷惑がるクマだったが、やがて情にほだされ、相思相愛に。

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 長年クマの介助を担ってきたヘルパーの恵理(小池栄子)、親代わりにミツの世話をしてきた占い師の晶子(余貴美子)。少数ながらよき理解者のサポートを得て、交際を続ける二人だったが、現実は甘くない。

 実はミツには人格障害があり、感情が不安定。ちょっとしたことで、自分や他人を攻撃し傷つける危険性を秘めている。世間の無理解や、好奇の目に加え、彼女の暴発も、二人にとっては高いハードルだ。これらの障壁を二人は乗り越えられるのか。幸せをつかむことができるのか――。

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 脳性麻痺をかかえる市民活動家、熊篠慶彦の実話をベースにしたフィクションである。クマとミツとのラブストーリーを軸に、彼らを取り巻くさまざまな人々との関わりも描かれる。その中で垣間見えてくるのが、彼らの人生の闇の部分だ。テレビ局からの取材に「両親から愛されて育った」と嘘をつくミツ。クマの父親の法事の席で、「クマの世話に明け暮れ人生を犠牲にした」と告白する親族。

 天真爛漫に見える二人だが、実は心に屈託をかかえており、葛藤にもだえている。全体にポップでユーモラスな演出が貫かれているからこそ、随所に露呈するリアルな現実が、見る者の心に突き刺さる。「ぐるりのこと。」(2008年)、「凶悪」(2013年)のリリー・フランキー、「TOKYO TRIBE」(2014年)の清野菜名。ともに全身全霊の熱演で、深い感動を誘う。

 監督は「まだ、人間」(92年)、「最後の命」(2014年)の松本准平。シリアスな作風から一変した印象だが、追求されているテーマは一貫しているように思える。すなわち「人間はみな平等で、互いを分け隔てる壁など存在しない」という信念だ。本作中の「生まれも、性別も、職業も、能力も、お金も、年齢も、幸せには関係ない」というミツのセリフに、それは集約されている。

 障害者だからと手心を加えるのではなく、同じ人間として対等に向き合い、接すること。同情は無用。必要なのは、共感すること、共鳴すること。重要なのは、同じ高さで見つめ合うこと。クマとミツのラブストーリーは、そんな信念の上に成立しているのである。

(文・沢宮亘理)

「パーフェクト・レボリューション」(2017年、日本)

監督:松本准平

出演:リリー・フランキー、清野菜名、小池栄子、岡山天音、余貴美子

2017年9月29日(金)、TOHOシネマズ新宿ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://perfect-revolution.jp/

作品写真:(C)2017「パーフェクト・レボリューション」製作委員会
タグ:レビュー
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2017年09月27日

「ユリゴコロ」初日舞台あいさつ 吉高由里子「引きずられ、摩耗した作品。涙を絞り出した」

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 沼田まほかるのベストセラー小説を映画化した「ユリゴコロ」が2017年9月23日公開され、東京・新宿で主演の吉高由里子、松坂桃李、佐津川愛美、清野菜名、清原果耶、熊澤尚人監督が舞台挨拶した。

 松坂桃李演じる亮介が、父の部屋であるノートを発見。記された「殺人者の告白」の真相に迫る。過去と現在、愛情が絡み合い、真実にたどり着くサスペンスだ。絶望的な喪失感を抱えながら生きる主人公の美紗子を、吉高由里子が体当たりで演じている。

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 吉高は上映後「自分が引きずられ、摩耗した作品。多くの人に見てもらいたい」とあいさつ。最後のシーンは「2日かかって撮影した。こめかみが切れるんじゃないかと思うくらい涙腺を絞り出して、ずっと泣いていた。毎カット、毎カット、本当に大変だった」と振り返った。

 一方、現在のパートで亮介を演じた松坂。出来上がった作品をみて「過去のパートにも出演したかった。過去と現在は静と動。静かな流れの中で動いていく過去パート。感情と空気感を肌で感じたかった」と話した。

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 熊澤監督は「見終わって言葉にできない人、揺さぶられてる人がいると思う。主人公は矛盾と葛藤しながら生きていく。見終わって一日引っ張ると思う」と熱く語った。

 さらに熊澤監督は「吉高さんなくしては『ユリゴコロ』は作れなかった。血と涙を流しながら熱演してくれた。彼女の100年残る代表作だと思っている」と締めくくった。

(文・写真 岩渕弘美)

「ユリゴコロ」(2017年、日本)

監督:熊澤尚人
出演:吉高由里子、松坂桃李、松山ケンイチ、佐津川愛美、清野菜名

2017年9月23日(土)、新宿バルト9ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://yurigokoro-movie.jp/

作品写真:(C)沼田まほかる/双葉社 (C)2017「ユリゴコロ」製作委員会
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2017年09月20日

「望郷」貫地谷しほり、大東駿介ら舞台あいさつ それぞれの葛藤乗り越え「多くの人に届けたい」

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 湊かなえ原作の映画「望郷」が2017年9月16日公開され、東京・新宿で貫地谷しほり、大東駿介、木村多江、緒方直人、菊池健雄監督らがそろって舞台あいさつした。

 瀬戸内に浮かぶ島を舞台に、2人の主人公、2つの物語を描いた作品。「光の航路」の主役を演じた大東は「皆さんに見ていただけて感謝している。そういうことを改めて考えさせられる作品」と語った。「夢の国」の主役・貫地谷は「今まで、明るく、前向きな役柄を演じることが多かったので、新しい一歩となるいいチャンスになった」と振り返った。

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 閉鎖的な島に生まれた主人公が、それぞれ親との葛藤やわだかまりに向き合う作品。大東は「自分の内側から今まで出したことがないような気持ちを引っ張り出してこないといけない。ひとつの挑戦ができるのかと思った」と話した。貫地谷の母親を演じた木村は「重い役。絶対に苦しいと思った。幸薄い役はやってきたけれど、毎回苦しい。自分を削って苦しい時間を過ごさなければいけない。一歩踏み出す勇気がいった」と苦労を口にした。

 監督は「(主演2人とは)初めてだったが、因島で撮影すると決めていた。大東君は地元の人の中に入り込み、一緒に飲みに行ったりするほどなじんでくれた」。大東は「造船が盛んだった時の面影が残っていて、建物からも過去の息づかいを感じた。子どもたちとも話した経験は、今後の役者人生を作るうえで貴重な体験になった」と話した。

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 緒方は「大東君は『ふらついている野心家』。撮影中もふらふらと人の現場に来たり、スタッフにちょっかいだしたり。でも、そこから得るものは大きい。生活感がにじみ出ている。それは彼がふらついているからです(笑)」とエピソードを披露。大東は「いろいろな人の思いがあって一つの映画になる。この船(映画)が多くの人に届けばいいなと思う」と、船出を祝うような初日となった。

(文・写真 岩渕弘美)

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「望郷」(2017年、日本)

監督:菊地健雄
出演:貫地谷しほり、大東駿介、木村多江、緒形直人、森岡龍

2017年9月16日(土)、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://bokyo.jp/

作品写真:(C)2017 avex digital Inc.
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2017年09月16日

「望郷」一つの島、二人の主人公、二つの物語 親子の葛藤と絆 丁寧に掘り下げ

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 「告白」(10)の原作者・湊かなえの短編集「望郷」。一つの島を舞台にした6編の中から、「夢の国」と「光の航路」の2編を交差させ、1本の作品として完成させた。監督は「ハローグッバイ」(17)の菊池健雄。

「夢の国」

 古いしきたりを重んじる家庭に育った夢都子(貫地谷しほり)は、故郷にしばられ生きていた。幼い頃から本土にある遊園地“ドリームランド”を自由の象徴として憧れていたが、祖母(白川和子)や母(木村多江)と暮らす現実とは縁遠かった。

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 しきたりに固執する祖母と、祖母に言いなりの母。二人を見て育った夢都子の憤りが、ある事件を起こしてしまう。事件は人生に重くのしかかり、事件を見過ごした自分を責め、母と修復できない亀裂が生まれる。後に母となった夢都子は、自分を束縛していた内面と向き合う。

「光の航路」

 本土から9年ぶりに島へ転勤してきた教師の航(大東駿介)。ある日、教師だった父(緒形直人)の教え子を名乗る畑野が訪ねてくる。畑野は航が知らない父の姿を語り始める。

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 航の亡き父に対する思いが、航の主観と他者の客観で埋められ、父への誤解が解けていく。父と同じ教職に就いた航だったが、クラスで起きる陰湿ないじめに憔悴していた。畑野は学生時代にいじめられ、航の父に救われたという。畑野が語る話に航は驚き、ある真実を知る。

 一つの島、二人の主人公、二つの物語。成長過程を描きながら、それぞれ親へ抱いた葛藤やトラウマに向き合う。「夢の国」は暗く重苦しい空気で、親子の心のすれ違いと絆を描く。「光の航路」は父と息子のドラマを通じ、ミステリーのように過去と未来をつなぐ家族の絆を描いていく。

 独立する二つの話に連続性を持たせるため、主人公同士を友人に設定し、最初と最後で二人を交差させた。島の一大イベントである豪華客船の進水式。華々しく出航する船に人間の一生を重ねて語る。感動的な描写だ。

 重苦しく始まった物語は、曲折を経て最後は晴れやかに終わる。俳優たちの好演、じっくり練られた脚本。人物の心情も丁寧に掘り下げられ、感動を呼ぶ作品となった。

(文・藤枝正稔)

「望郷」(2017年、日本)

監督:菊地健雄
出演:貫地谷しほり、大東駿介、木村多江、緒形直人、森岡龍

2017年9月16日(土)、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://bokyo.jp/

作品写真:(C)2017 avex digital Inc.
タグ:レビュー
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