2019年03月17日

「探偵なふたり リターンズ」推理オタクとベテラン刑事、難事件に挑戦 人気シリーズ第2弾

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 英の名探偵シャーロックホームズに憧れ、優れた推理力を持ちながら、しがない漫画喫茶の店主で恐妻家のカン・デマン(クォン・サンウ)が、ベテラン刑事ノ・テス(ソン・ドンイル)と難事件を解決していく。

 2016年に公開された「探偵な二人」のシリーズ第2弾。テスはかつて「広域捜査隊のレジェンド」と呼ばれたベテランだが、左遷されてヒラ刑事に降格。性格は水と油の推理オタク、デマンとコンビを組み、探偵事務所を開く。

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 しかし、事務所は順風満帆とはいかず、開店休業状態。恐妻家のため、仕事を辞めて探偵になったと妻に打ち明けられず、焦りは募るばかり。そこへ最初の依頼主がやってくる。巨額の報酬を目当てに引き受けたものの、関係者が次々と不可解な死を遂げる難事件に。新たに元サイバー捜査隊のヨチ(イ・グァンス)が加わり、3人は持ち前の能力を発揮して事件の核心へ迫る。

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 前作に引き続き恐妻家ふたりのダメ夫ぶりに加え、バラエティーでも活躍するイ・グァンスも加わり、面白さもパワーアップした。個性豊かな3人の軽妙なやりとり、思わぬ展開が絶妙に絡み合う。凄惨な事件を扱いながら、個性あふれるキャラクターとユーモアで見応えのある娯楽作品となった。

(文・岩渕弘美)

「探偵なふたり リターンズ」(2018年、韓国)

監督:イ・オンヒ
出演:クォン・サンウ、ソン・ドンイル、イ・グァンス

2019年3月16日(土)、シネマート新宿ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://tantei-movie2.com/

作品写真:(C)2018 CJ E&M CORPORATION, CREE PICTURES, ALL RIGHTS RESERVED

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2019年01月31日

「バーニング 劇場版」村上春樹の原作、韓国イ・チャンドン監督が映画化 探究心くすぐる濃密推理劇

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 運送会社アルバイトのジョンス(ユ・アイン)はある日、幼なじみのへミ(チョン・ジョンソ)と再会した。二人は一度だけ肉体関係を持ち、へミはアフリカへ旅行に行き、ジョンスは猫の世話を頼まれる。帰国したヘミは青年ベン(スティーブン・ユァン)を連れていた。裕福で日々遊んでいるとうそぶくベンは、ジョンスに秘密の趣味を打ち明ける──。

 村上春樹の短編小説「納屋を焼く」を脚色し、映画化した「バーニング 劇場版」。韓国の巨匠、イ・チャンドン監督が「ポエトリー アグネスの詩」(10)以来、8年ぶりにメガホンを取った。昨年末、NHKで95分版の「ドラマ バーニング」が放送され、今回の「劇場版」は148分に拡大されている。地方から小説家を夢見て都会に出たジョンス、幼なじみのヘミ、謎多きベンの奇妙な関係を、ジョンスの視点で描いた。

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 非常にミステリアスで難解な話だ。いくつかのセリフや小道具が伏線のように散りばめられている。ジョンスとヘミが再会した時に景品としてもらった「女物のチープなピンク腕時計」。ヘミがジョンスに見せる「見えないミカンを食べるパントマイム」。ヘミが飼っている「姿を見せない猫」。ほかにも多くのキーワードが配置されている。

 後半に最も重要なキーワード「ビニールハウス」が登場する。原作の「納屋」が「ビニールハウス」へ変えられ、話は核心に近づく。ジョンスの実家を訪れたベンとヘミは、ワインと大麻を楽しみ、開放的な夕暮れのベンチでまったり過ごす。ベンはジョンスに秘めた趣味を語り出す。それは「他人の古いビニールハウスを、2カ月に1度焼く」ことだった。ベンは「下見に来た」と言い、それを境にヘミが姿を消す。

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 ジョンスの心理と行動をもてあそぶように、ベンは謎かけをする。ヘミのアパートの部屋は主を失い、ジョンスの想像と創作の場所となる。ジョンスの妄想は膨らみ続け、衝撃のラストが導かれる。テレビ版ではヒントを投げただけで終わったが、劇場版は行く末をきっちりと描いた。

 思わせぶりな描写とセリフが積み重ねられ、観客の探究心と好奇心がくすられる。映画ファンをうならせる濃密なミステリーだ。

(文・藤枝正稔)

「バーニング 劇場版」(2018年、韓国)

監督:イ・チャンドン
出演:ユ・アイン、スティーブン・ユァン、チョン・ジョンソ

2019年2月1日(金)、TOHO シネマズシャンテほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://burning-movie.jp/

作品写真:(C)2018 PinehouseFilm Co., Ltd. All Rights Reserved

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2018年10月09日

釜山国際映画祭 2018 ヒョンビン、チャン・ドンゴンら登場に歓声

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 韓国・釜山市で「第23回釜山国際映画祭 2018」が開かれている。4日に同市内の「映画の殿堂」で行われたオープニングセレモニーには多くの映画ファンが詰めかけ、レッドカーペットを歩くスターに歓声を上げた。

 開幕作「ビューティフルデイズ」の主演のイ・ナヨン、司会のキム・ナムギルとハン・ジミン、公開を控えた新作「猖獗(しょうけつ)」のヒョンビンとチャン・ドンゴンらがレッドカーペットを歩いて会場を盛り上げた。日本勢は東出昌大、井浦新、安田顕らが相次ぎ登場。にこやかに手を振って声援に応えた。

イ・ナヨン.JPG 司会のキム・ナムギル ハン・ジミン.JPG 

坂本龍一、平和のメッセージに喝采
 セレモニーは数々の映画音楽を手掛ける坂本龍一のピアノ演奏で幕を開けた。会場を埋めた観客は「戦場のメリークリスマス」に大喝采。坂本は「天命の城」(17)で初めて韓国映画の音楽を担当し、今回の映画祭で「今年のアジア映画人賞」を受賞した。表彰式に続くスピーチでは「いま朝鮮半島に平和が訪れようとしていますが、同じアジア人としてうれしく思います。世界から暴力による支配がなくなることを祈っています」と平和のメッセージを送って会場を感動させた。

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 13日まで、79か国・地域の323本を上映する。日本映画は合作を含め20本が上映予定だ。

4年ぶり「正常化」への第一歩
 釜山映画祭は、表現の自由をめぐる映画祭と政権の対立で映画人のボイコットが3度にわたり続いていたが、今年はようやく華やかさが戻ってきた。

 2014年、ドキュメンタリー「ダイビング・ベル セウォル号の真実」の上映を阻止しようとした釜山市側と上映を強行した映画祭側の対立から混乱は始まった。行政からの圧力に国内外から批判の声が噴出し、韓国の映画団体の半分ほどが映画祭をボイコット。昨年5月、映画祭を育てたエグゼクティブ・プログラマーのキム・ジソク氏がカンヌ国際映画祭を訪問中に急死するなど、映画祭は求心力を失ったとも評された。

 しかし、革新の文在寅政権が誕生し、釜山市長も革新派に交代。映画祭正常化への期待が高まった。「ダイビング・ベル」問題の後に解任されたイ・ヨングァン執行委員長は、理事長となって映画祭に復帰。これを機に、何ものにもしばられない自由な表現の場としての釜山映画祭が復活するのか、国内外の映画人の注目が集まっている。

(文・芳賀恵、写真・岩渕弘美)

東出昌大.JPG 藤竜也.JPG 柳楽優弥 (2).JPG 
國村準.JPG スエ.JPG ナム・ジュヒョク.JPG
パク・ヘイル.JPG ハン・イェリ.JPG ユ・ヨンソク.JPG 
愛しのアイリーン(安田顕).JPG 左からソ・ヒョヌ、チャン・ドンユン、イ・ユジュン.JPG 
青木崇高 (2).JPG 田中俊介、 チェ・スヨン(少女時代).JPG 唐田えりか.jpg 



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2018年09月08日

「1987、ある闘いの真実」チャン・ジュナン監督に聞く 民主化前夜のうねり「美しく純粋だった時代を振り返ってほしい」

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 韓国民主化闘争を描いた映画「1987、ある闘いの真実」が公開中だ。全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領(当時)率いる軍事政権下の韓国で、当局による大学生の拷問死に端を発した民主化運動のうねりを、キム・ユンソク、ハ・ジョンウら実力派俳優で描く意欲作だ。チャン・ジュナン監督は「作品があの時代を考える鏡になってほしい。美しく純粋だった時代を、振り返ってほしい」と語る。

 1987年1月。ソウル・南営洞警察のパク所長(キム・ユンソク)は、反体制派の取り調べを激化させていた。ある日、尋問の途中でソウル大学生が死亡し、慌てた警察は隠ぺいのため火葬を申請する。しかし、不審に思ったチェ検事(ハ・ジョンウ)が解剖を命令、拷問致死と判明。隠ぺいの動きを知った新聞記者らも真相究明に動き出す。大学生の死を機に民主化の動きが高まり、韓国全土を巻き込む社会運動に発展する。

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 監督との主なやり取りは次の通り。

 ──韓国では現在も、政治問題や負の歴史を映画で描くのは難しいのでしょうか。

 そうですね。朴槿恵(パク・クネ)前大統領政権下では、脚色を秘密裏に行う必要がありました。この映画の話が広まると、不利益を被る人が出るからです。生存者の話を聞く必要もありましたが、妨害を受けるかもしれないので、紙の資料をたくさん集めました。完成しても「公開できるだろうか」と思っていました。

 製作の過程で奇跡のような出来事がたくさんありました。朴前大統領の友人をめぐる疑惑が起き、政権が交代するまで、政治的にダイナミックな動きが続きました。出演した俳優たちも勇気を出し、一緒に作業する意志を表明してくれました。

 作品を完成させ、観客のもとに届けられたのは奇跡だと思います。私は迷信を信じませんが、上から何かが見守ってくれているのではないか、と思うことがありました。公開後、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は事件の遺族と一緒に作品を観たのですから。

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 ──日本では報道の自由が侵され始めていると言われます。この作品が日本へのメッセージと感じました。

 そうなんですか? 人がそれぞれ置かれた立場で、良心を守ることがいかに重要か、いかに大きな力を発揮するかが分かってもらえたと思います。そのことが歴史をどう作り、変えていくかを、この映画は伝えていると思います。

 ──監督は1970年生まれ。事件当時は高校生で、デモに参加するより、催涙弾が撃たれる中で授業に出ていたと聞きました。肌で民主化運動を知っている世代と立ち位置が違うことが、登場人物を描く時に関係しましたか。

 韓国国民は1987年、大統領を直接選挙で選ぶ権利を勝ち取りました。しかし、(民主派の候補は選挙に出られず)軍事政権をそのまま受け継いだ盧泰愚(ノ・テウ)氏が大統領になった。当時の人たちは、勝利を勝ち取った手ごたえと、敗北感を同時に感じていました。そんな時代に私は大学生活を送ったのです。私の大学にも、催涙弾を浴びて亡くなった学生はいました。不利益の真ん中に自分がいたわけではありませんが、十分にそれを感じていました。

 作品に芸術的な雰囲気が出過ぎなかったことで、うまく時代の空気をつかめたのではないでしょうか。あの時代、過酷な状況を生き抜いた人たちに「私は本当に厳しい中を生きてきたので、今も時代に閉じ込められている。映画はそこから解放してくれた」と感謝されました。ありがたいことです。

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 ──朴前政権でも反対派への圧力がありました。なぜ弾圧は起きるのでしょう。なぜ歴史は繰り返されるのだと思いますか。

 歴史は一歩一歩前へ進む時、多くの足跡を残し、後の人たちに影響を与えます。韓国は分断され、人々は戦争を経験しました。朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の独裁があり、金大中(キム・デジュン)元大統領の拉致事件があり、学生による民主化運動がありました。大きなエネルギーが足跡を残しながら、時代は今に至ります。

 1987年に大統領の直接選挙制が導入され、憲法裁判所が作られました。朴前大統領もここで審判を受け、法的に権利を剥奪されました。脚本を書いている時、市民による「ろうそく革命」が起きました。人々は民主化へ向けてまた半歩進んだのです。遅いかもしれないが踏み出せました。歴史が前に進んだと信じたいです。

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 ──人々は劇中で「あの日がくれば」という歌を歌っています。「あの日」は理不尽なことがない理想的な社会だと思います。監督は実現を前向きにとらえていますか。

 そう信じたいです。1987年当時は純粋でした。過酷な戦いを通して、独裁政権から権利を勝ち取りました。しかし、彼らが歌った「あの日がくれば」は、今も有効でしょうか。彼らはその後どう生きてきたでしょう。現在、マンションの値段が上がっているのは、運動の中心だった世代のせいではないでしょうか。

 私はこの映画が、あの時代について考える鏡のような役割を果たしてほしいと思います。鏡をのぞき込むことで、美しく純粋だった時代を、もう一度振り返ってほしいと思うのです。

(文・遠海安 写真・岩渕弘美)

「1987、ある闘いの真実」(2017年、韓国)

監督:チャン・ジュナン
出演:キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ユ・ヘジン、キム・テリ、ソル・ギョング

2018年9月8日(土)、シネマート新宿ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://1987arutatakai-movie.com/

作品写真:(C)2017 CJ E&M CORPORATION, WOOJEUNG FILM ALL RIGHTS RESERVED
posted by 映画の森 at 18:34 | Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月21日

「天命の城」ファン・ドンヒョク監督に聞く 清に攻められ苦悩する朝鮮「韓国の現状によく似ている」

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 韓国映画「天命の城」が2018年6月22日公開される。17世紀、清が朝鮮半島に攻め入った「丙子の役」を題材に、朝鮮の王と家臣の苦悩を描く。「トガニ 幼き瞳の告発」(11)、「怪しい彼女」(14)と一作ごとに異なる作風を打ち出すファン・ドンヒョク監督。「今の韓国によく似た状況だった。しっかり時代考証し、当時の様子を忠実に再現した」と語った。

 1636年12月。清が12万の大軍で朝鮮半島に攻め込む「丙子の役」が勃発した。李氏朝鮮の王・仁祖(パク・ヘイル)は南漢山城(現在のソウル南東部)に籠城するが、極寒の中で包囲され、窮地に陥る。物資調達もままならず、民と兵の苦しみは募り、朝廷内の意見は二分。和平交渉を求める大臣(イ・ビョンホン)と、徹底抗戦を主張する大臣(キム・ユンソク)の間で、王の苦悩は深まる。

 韓国でベストセラーとなったキム・フンの小説を映画化。イ・ビョンホン、キム・ユンソク、パク・ヘイルら実力派俳優の演技合戦も見ごたえある作品だ。

 ファン監督との主なやり取りは次の通り。

 ──当時の状況は、韓国の現状によく似ているということです。具体的にどんな点が似ていますか。

 「丙子の役」の当時 朝鮮は明の「家臣」でした。さらに清という新勢力が現れ、明との対立が激化したため、朝鮮は明を重視し、清を野蛮な国として排除しようとしました。間に立たされて大変な立場だったのです。

 一方、現代では朝鮮戦争後、韓国は米国と同盟関係を維持していますが、中国が大国に成長して力を付けました。米国からは高高度防衛ミサイル(THAAD)ミサイルを配備しろと圧力をかけられ、中国は配備を受けるなら経済的な報復をするといってきます。当時と今はよく似ているでしょう。

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イ・ビョンホンは生まれながらの俳優
 ──主演俳優3人、イ・ビョンホン、キム・ユンソク、パク・ヘイルについて、それぞれの魅力はどんな点にありますか。

 イ・ビョンホンは生まれながらの俳優。天賦の才があり、頭脳も明晰です。両方持ち合わせている人はあまりいません。彼は持っているものが多く、どう引き出せばいいか、自分なりに頭で判断し、しっかり計算できます。まさにプロの俳優で、隣で見ていてもたびたび驚かされました。どんな役にも合わせて変身できる人ですね。

 キム・ユンソクは本能的な俳優です。内に秘めたエネルギーがものすごい。じーっと何かを待っている野獣、虎のような印象です。いつエネルギーがあふれ出すか分からないのですが、あふれた時は大変な力を発揮します。

 パク・ヘイルはミステリアス。顔立ちや眼差し、声。かよわい少年のようで、優しい印象もあるけれど、見方によっては悪の部分も持っている。多様な側面があり、一つの姿に限定できない俳優です。

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 ──イ・ビョンホン、キム・ユンソクの二人が掛け合うクライマックスは見ごたえ十分でした。

 二人は演出の指示必要としない俳優なので、大きな介入はしませんでした。直前に論争するシーンをたくさん撮っており、二人は役になりきり、完ぺきに解釈してくれました。私はできるだけ何も言わず、自由に、気楽に演じてもらえるようにしました。カメラを数台用意し、ワンテイクで切らずに流れを大事に撮りました。

寒さを見せる必要があった
 ──極寒の時期のロケでした。苦労はありましたか。

 寒さを見せる必要があり、常に寒くなければなりませんでした。雪、つらら、氷、白い息。視覚的なものが必要だったので、寒い方がありがたかったんです。逆に寒くならず困ったことの方が多かった。雪のシーンで雨が降ったり、川を渡るシーンで氷が薄かったり。撮ろうとしたら氷が割れる音がして、消防隊に「落ちたら遺体も探せない。流されて春になってやっと見つかることになりますよ」と言われました。氷が厚く張るまで、はらはらしながら1カ月待ちました。韓国も温暖化のせいで、気温の変化が激しくなりました。急に温かくなったり、寒くなったりするんです。

 ──原作小説を映像として再現するにあたり、苦労したことはありましたか。

 世界遺産(に指定された史跡・南漢山城)で撮影できたことが助けになりました。当時着ていた服の色、道具、武器など、しっかり時代考証して作ることにこだわりました。当時の服の色も、これまでの時代劇のようにカラフルではなく、資料に忠実に再現しました。

 特に「鳥銃」舞台が登場する作品は初めてだと思います。(16世紀に豊臣秀吉が朝鮮と戦った)文禄・慶長の役の時、日本側が残していったもので、そのまま朝鮮軍がもらい受けて使っていました。これもしっかり考証して再現しました。

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 ──3作品まったく異なるタイプが続いています。次はどんなものを撮りたいですか。

 今は何も決まっていません。休んでいます。製作を務める作品のため、シナリオを書いていますが、コミカルな作品なので、セリフを書いていて楽しい。次はコミカルな作品もいいですね。

(文・写真 遠海安)

「天命の城」(2017年、韓国)

監督:ファン・ドンヒョク
出演:イ・ビョンホン、キム・ユンソク、パク・ヘイル、コ・ス、パク・ヒスン

2018年6月22日(金)、TOHOシネマズ シャンテほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://tenmeinoshiro.com/

作品写真:(C)2017 CJ E&M CORPORATION and SIREN PICTURESALL RIGHTS RESERVED
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