2016年02月17日

「ドラゴン・ブレイド」ジャッキー最新作 ローマ軍VS中国西域軍の死闘、壮大なスケールで

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 ジャッキー・チェン主演最新作「ドラゴン・ブレイド」。紀元前の中国で、ローマ帝国軍と西域連合軍が戦った史実をもとに、壮大なスケールで描く歴史アクションだ。監督は「三国志」、「項羽と劉邦」などのダニエル・リー。ジョン・キューザック、エイドリアン・ブロディが出演している。

 紀元前50年、前漢時代の中国。シルクロードの砂漠地帯を警備する西域警備隊長のフォ・アン(ジャッキー・チェン)は、金貨密輸の濡れ衣を着せられ、異民族と衝突の緊張高まる最前線へ送られる。

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 国境の砦修復を進めていたフォンの前に、謎の軍隊が現れた。ヘルメットをかぶった屈強な兵士の一軍は、はるか西方から来たローマ帝国軍。率いていたのは将軍ルシウス(ジョン・キューザック)だった。祖国での権力争いに巻き込まれ、暗殺された上官クラッススの幼い息子を連れ、東方へ逃れてきたという。

 ルシウスに敵意がないことを知ったフォ・アンは、ローマ軍を砦に招き歓待する。恩義を感じたルシウスは、先進的な「ローマの建築技術で砦を修復しよう」と申し出る。フォ・アンとルシウスに芽生えた友情。二人は過去を語り合う仲となる。

 一方、西方にはさらにローマから中国を目指す一軍がいた。同じくクラッススの息子ティベリウス(エイドリアン・ブロディ)。大軍を率いてシルクロード、果ては中国の侵略を狙っていた──。

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 東西の豪華キャストで描かれる「ドラゴン・ブレイド」。まず物語のスケールが大きい。紀元前の昔、シルクロードの砂漠地帯で、ローマ軍と西域軍が死闘を繰り広げた──歴史ファンでなくても胸躍るエピソードだ。中国では06年、実際に「甘粛省でローマ次帝国軍の末えいが今も暮らしている」とのニュースが伝えられ、学術的な検証が進められているという。

 砂漠での大規模なロケ撮影、国際色豊かなキャスト。急成長する中国映画界のパワーを感じる作品でもある。すでに60代になったジャッキー・チェンだが、監督、製作、アクション監督、主題歌まで、なお縦横無尽の働きぶりだ。

「ドラゴン・ブレイド」(2014年、中国・香港)

監督:ダニエル・リー
出演:ジャッキー・チェン、ジョン・キューザック、エイドリアン・ブロディ、リン・ポン、チェ・シウォン

2016年2月12日(金)、TOHOシネマズ 六本木ヒルズほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://dragon-blade.com/

作品写真:(C)2015 SPARKLE ROLL MEDIA CORPORATION HUAYI BROTHERS MEDIA CORPORATION SHANGHAI FILM GROUP CO., LTD. SHENZHEN TENCENT VIDEO CULTURE COMMUNICATION LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
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2016年01月18日

「最愛の子」ピーター・チャン監督に聞く 中国の幼児誘拐と親の葛藤「心で対話できる映画を」

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 中国で多発する幼児誘拐事件を題材に、親子の愛を描く映画「最愛の子」が2016年1月16日に公開された。一人の子供の誘拐をめぐり、生みの親と育ての親が出会い、葛藤する物語。ピーター・チャン監督は「観客一人一人が心で対話できる映画を撮りたい」と語った。

 中国広東省深セン市。3歳の男児が突然姿を消した。両親は警察に届け、ネットでも情報提供を呼びかけるが見つからない。3年後。遠く離れた中国北部の村で息子は発見されたものの、別の女性に育てられ、実の親を完全に忘れていた。生んだ両親と育てた女性。どちらにとっても「最愛の子」を間に子供も揺れ動く──。

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 年間約20万人の子供が行方不明になる中国。原因として経済成長で拡大する都市と農村の格差、一人っ子政策による農村の人手不足などが指摘されている。チャン監督は深センで起きた実際の事件をフィクションに仕立てた。なぜ悲惨な事件が起きるのか。

 「封建主義や男尊女卑、農村の人手不足。農村に男は欠かせない。女の子は嫁げば労働力は一人減るが、男なら嫁をもらえば一人増える。1万元(約18万円)で買えるなら男の子を買うことが、なんとも思われていない。その結果、年に20万人の子供が誘拐されている」

 「映画では子を誘拐された夫婦も問題を抱えていた。彼らは経済発展である程度豊かになった中流の人々だ。よりよい生活、チャンスを求め、(深センのような)大都会に出てきた。しかし、豊かになったことで結婚生活がぎくしゃくし、いい親でなくなる。その隙に子供が誘拐されてしまう」

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 香港映画界を代表する作り手で、最近は中国で大作を次々手掛けるチャン監督。文化の違う中国で作る難しさを今も感じている。今回はキャスティング段階から「香港との差」を感じたという。育ての親を熱演したビッキー・チャオも決定まで曲折があった。

 「最初に打診した時は即答でOKだったが、脚本を読んで断ってきた。話を聞いたところ、部分的に納得できないというので調整した。俳優が役を引き受けるか断るか、理由はよく分からないことがある。私の推測だがテーマが幼児誘拐だったことも関連しているのだろう」

 チャオが演じたのは、子供を誘拐した側の女性。つまり平たくいえば悪役である。しかし、彼女にも事情があり、追い詰められていた。生きるために子供を受け入れ、わが子として育てていた。しかし中国では「誘拐する側に立つ」視点は受け入れられないという。

 「中国と香港、中国と外国、中国の人々と私の考え方の違いかもしれない。ビッキーは『誘拐された側の話は素晴らしい。涙が出切った。感動した』と言った。しかし、彼女が演じるのは誘拐した側の女性だ。普通なら誘拐は悪い。批判すればいい。だが私はそれは意味はないと思った。彼らはなぜ悪いことをしなけらばならなかったのか。理解して知ることが大事だ」

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 しかし監督いわく、理由がどうあれ中国では「誘拐犯に同情するような映画」は共感を呼ばない。だから「ビッキーの考え方は中国では主流だと思う」と監督。これに対し「誘拐側の役を演じたい」と言った有名俳優もいたという。

 「つまるところ考え方、価値観の違いだ。中国の俳優でも人によって違う。一般的にいえるのは、都会に住んでいる人たちは農民にマイナスイメージを持っている。わがままで自己中心的で、ずるくて強引、などという。作品を見てもまだ『誘拐犯はうそを言っている』という人がいる」

 実際の事件を元にした社会性の高い「最愛の子」。過去に「ラヴソング」(96)、「君さえいれば 金枝玉葉」(94)など、良質なドラマを生んできた監督の演出も冴え渡る。子を思う親の気持ちが胸に迫り、涙を流さずにはいられない。しかし、監督はこうも言った。

 「ビッキーが電話ごしに言ったんだ。『監督は社会的責任を持っている人ですね』と。いや違う。私はただ映画を撮る人間だ。私の映画は、私自身と心で対話ができなければならない。さらに観客一人一人が対話できれば、私にとっていい映画だ。年齢、時代によって異なる映画を撮る。異なる段階で、異なる対話が観客とできればいいと思う」

(文・遠海安)

「最愛の子」(2014年、中国・香港)

監督:ピーター・チャン
出演:ビッキー・チャオ、ホアン・ボー、トン・ダーウェイ、ハオ・レイ、チャン・イー

2016年1月16日(土)、シネスイッチ銀座ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.bitters.co.jp/saiainoko/

写真は東京フィルメックス事務局提供・撮影:吉田留美
作品写真:(C)2014 We Pictures Ltd.

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2015年12月05日

「中国インディペンデント映画祭2015」独立&自由な表現目指す 14作品一挙上映 監督らのトークショーも

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 「中国インディペンデント映画祭2015」が2015年12月12〜27日、東京・ポレポレ東中野で開催される。今回で5回目。会期中は小栗康平監督らが参加するトークショーも予定されている。

 同映画祭は民間の有志によって運営され、2年に1度開催されている。当局の検閲が厳しい中国で、より自由な表現を志向する「独立電影(インディペンデント映画)」のみを集めている。今年は計14作品を上映し、うち10作品が日本初上映となる。

 「罪の手ざわり」(13)などで知られるジャ・ジャンクー(賈樟柯)監督が製作し、英国人とモンゴル系監督二人の共同作品「K」は、カフカの小説「城」の舞台を内モンゴル自治区に置き換えた。今年のベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品された。

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 「トラップストリート」(13)は、ベルリン国際映画祭最高賞(金熊賞)「薄氷の殺人」(14)を製作したウェン・イェン(文晏)の初監督作品。測量士の青年の恋愛物語に社会性の高いテーマを絡めている。ベネチア国際映画祭出品作。

 「凱里ブルース」のビー・ガン監督は、11月にあった中華圏最大の映画賞・台湾「金馬奨」で最優秀新人監督賞を獲得。監督の故郷の貴州省がノスタルジックに、幻想的に描かれている。ロカルノ国際映画祭でも最優秀新人監督賞を獲得した。

 また、デビュー作の「安陽の赤ちゃん」(01)など4作品が特集上映されるワン・チャオ(王超)監督が、旧知の間柄である小栗康平監督(「FOUJITA」)とのトークショーに参加する。ほか上映作品の監督の多くが来日し、観客との質疑応答に出席する予定だ。

 「中国インディペンデント映画祭2015」は2015年12月12〜27日、ポレポレ東中野で開催。作品の詳細や上映スケジュールは公式サイトまで。

http://cifft.net/
タグ:イベント
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2015年08月31日

「SOUND OF SILENCE 中国無声映画と音楽の会」最古の現存作品など8本 阮玲玉、凌波ら人気女優も生き生き

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 特集上映「SOUND OF SILENCE 中国無声映画と音楽の会」が2015年9月7、8日の2日間、東京・阿佐ケ谷で開かれる。現存する中国最古の映画を含め、1920〜30年代に製作された8作品を一挙紹介。中国映画の歴史に触れる貴重な機会となりそうだ。

 上映されるのは「漁光曲」、「八百屋の恋」、「西廂記」、「盤絲洞」、「紅い剣士」、「女神」、「桃花泣血記」、「おもちゃ」の8作品。中国最古の現存映画「八百屋の恋」は、下町の八百屋の男と医者の娘による身分違いの恋がテーマ。当時の庶民生活に触れられるラブコメディー調短編だ。

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 また、人気女優・阮玲玉(ロアン・リンユー)主演作も。代表作「女神」は娼婦に身を落としたシングルマザー役。仕事がばれて息子が学校から追放され、新天地での再出発に挑む。「桃花泣血記」もやはり身分違いの恋物語。小作人の娘を襲う不幸、悲恋を描く。

 同じく人気女優の凌波(リン・ポー)主演作「西廂記」は、元代の同名戯曲の映画化。アクション、恋愛、コメディーと盛りだくさんな作品。「盤絲洞」は「西遊記」のエピソードを抜粋。三蔵法師が旅の途中、洞窟でクモの妖怪にとらえられる。

 中国武侠映画の誕生を告げた「紅い剣士」。ならず者に家族を殺された村娘が、復讐を誓い白猿老人に弟子入り。武術を習得して反撃ののろしを上げる。「漁光曲」は貧しい兄妹の奮闘記。主題歌も大ヒットした作品だ。

 上映には活動弁士の片岡一郎のほか、大友良英、上屋安由美(ピアノ)、藤高理恵子(筑前琵琶)らの音楽が華を添える。特集上映「SOUND OF SILENCE 中国無声映画と音楽の会」は9月7日(月)、8日(火)、東京・ザムザ阿佐谷で。作品の詳細、上映スケジュールは公式サイトまで。

http://www.laputa-jp.com/zdata/data/samsa/150907.html

作品写真:中国電影資料館提供

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2014年09月13日

「So Young 過ぎ去りし青春に捧ぐ」 中国の懐かしき時代描き大ヒット ヴィッキー・チャオ初監督作 

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 ジョン・ウー(呉宇森)監督の「レッドクリフ」(08)2部作、チャウ・シンチー(周星馳)主演の「少林サッカー」(01)などに出演した中国の人気女優、ヴィッキー・チャオ(趙薇)。初監督作となったのが「So Young 過ぎ去りし青春に捧ぐ」だ。

 1990年代の中国。18歳の女子学生チョン・ウェイ(ヤン・ズーシャン=楊子[女冊])は、期待に胸をふくらませてキャンパスに足を踏み入れた。好きだった先輩を追い、同じ町の別の大学に進学したのだ。ところが、先輩はすでに米国留学に旅立っていた。はしごを外され落ち込む彼女を、優しい友人や先輩が元気づける。

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 持ち前の明るさで大学生活を謳歌するチョン・ウェイはある日、真面目で無口な男子学生シアオチョン(マーク・チャオ=趙又廷)と出会う。性格は正反対、顔を合わせればけんかの二人だったが、チョン・ウェイの気持ちは次第に恋心に変わる。やがて二人は恋人同士となり、幸せな大学生活は瞬く間に過ぎる。卒業の季節。二人は人生の転換点に差しかかる──。

 ヴィッキー・チャオの北京電影学院監督科修士課程卒業作品。同学院で過去最高の評価を得たという。中国の若者世代、いわゆる「七十後」「八十後」(70、80年代生まれ)の青春をみずみずしく描き、興行収入7億元(約120億円)を突破する大ヒット。ハリウッド大作がひしめく13年の中国興収番付で3位に食い込んだ。

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 舞台となった90年代、中国は改革開放の波にもまれ、社会的価値観や市民生活が急激に変化していた。香港スターの写真、英国バンドのヒット曲。海外から流れ込む文化に、若者たちは心躍らせていた。ロケ撮影は当時の雰囲気が残る場所を探し、中国各地の大学10カ所以上で行われたという。

 人気、実力とも中国を代表する女優の一人、ヴィッキー・チャオの初監督作だけに、俳優やスタッフも豪華だ。製作は「ルージュ」(88)、「藍宇 情熱の嵐」(01)などの香港出身スタンリー・クワン(關錦鵬)監督。シアオチョン役には「モンガに散る」(12)で注目を集めた台湾のマーク・チャオを起用した。

 中国経済が上昇気流に乗り始め、誰もが未来に夢を抱いていた時代。急速に変わる中国社会では、90年代も懐かしむべき古き良き「あのころ」のようだ。シンプルでストレートな青春恋愛映画が、なぜ今中国で大ヒットしたのか。背景を考えつつ観ても面白い。

(文・遠海安)

「So Young 過ぎ去りし青春に捧ぐ」(2013年、中国)

監督:ヴィッキー・チャオ
出演:マーク・チャオ、ハンギョン、ヤン・ズーシャン、ジャン・シューイン、チャン・ヤオ、リウ・ヤーソー、ジョン・カイ、バオ・ベイアル

2014年9月13日(土)、新宿シネマカリテほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.alcine-terran.com/soyoung
 
作品写真:(C)2013 HS Media (Beijing) Investment Co., Ltd. China Film Co., Ltd. Enlight Pictures. PULIN production limited. Beijing Ruyi Xinxin Film Investment Co., Ltd. Beijing MaxTimes Cultural Development Co., Ltd. TIK FILMS. Dook Publishing Co., Ltd. Tianjin Yuehua Music Culture Communication Co., Ltd. All rights reserved.

タグ:レビュー
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