2015年12月05日

「中国インディペンデント映画祭2015」独立&自由な表現目指す 14作品一挙上映 監督らのトークショーも

k.jpg

 「中国インディペンデント映画祭2015」が2015年12月12〜27日、東京・ポレポレ東中野で開催される。今回で5回目。会期中は小栗康平監督らが参加するトークショーも予定されている。

 同映画祭は民間の有志によって運営され、2年に1度開催されている。当局の検閲が厳しい中国で、より自由な表現を志向する「独立電影(インディペンデント映画)」のみを集めている。今年は計14作品を上映し、うち10作品が日本初上映となる。

 「罪の手ざわり」(13)などで知られるジャ・ジャンクー(賈樟柯)監督が製作し、英国人とモンゴル系監督二人の共同作品「K」は、カフカの小説「城」の舞台を内モンゴル自治区に置き換えた。今年のベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品された。

トラップストリート.jpg

 「トラップストリート」(13)は、ベルリン国際映画祭最高賞(金熊賞)「薄氷の殺人」(14)を製作したウェン・イェン(文晏)の初監督作品。測量士の青年の恋愛物語に社会性の高いテーマを絡めている。ベネチア国際映画祭出品作。

 「凱里ブルース」のビー・ガン監督は、11月にあった中華圏最大の映画賞・台湾「金馬奨」で最優秀新人監督賞を獲得。監督の故郷の貴州省がノスタルジックに、幻想的に描かれている。ロカルノ国際映画祭でも最優秀新人監督賞を獲得した。

 また、デビュー作の「安陽の赤ちゃん」(01)など4作品が特集上映されるワン・チャオ(王超)監督が、旧知の間柄である小栗康平監督(「FOUJITA」)とのトークショーに参加する。ほか上映作品の監督の多くが来日し、観客との質疑応答に出席する予定だ。

 「中国インディペンデント映画祭2015」は2015年12月12〜27日、ポレポレ東中野で開催。作品の詳細や上映スケジュールは公式サイトまで。

http://cifft.net/
タグ:イベント
posted by 映画の森 at 15:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月31日

「SOUND OF SILENCE 中国無声映画と音楽の会」最古の現存作品など8本 阮玲玉、凌波ら人気女優も生き生き

女神.jpg

 特集上映「SOUND OF SILENCE 中国無声映画と音楽の会」が2015年9月7、8日の2日間、東京・阿佐ケ谷で開かれる。現存する中国最古の映画を含め、1920〜30年代に製作された8作品を一挙紹介。中国映画の歴史に触れる貴重な機会となりそうだ。

 上映されるのは「漁光曲」、「八百屋の恋」、「西廂記」、「盤絲洞」、「紅い剣士」、「女神」、「桃花泣血記」、「おもちゃ」の8作品。中国最古の現存映画「八百屋の恋」は、下町の八百屋の男と医者の娘による身分違いの恋がテーマ。当時の庶民生活に触れられるラブコメディー調短編だ。

桃花泣血記.jpg

 また、人気女優・阮玲玉(ロアン・リンユー)主演作も。代表作「女神」は娼婦に身を落としたシングルマザー役。仕事がばれて息子が学校から追放され、新天地での再出発に挑む。「桃花泣血記」もやはり身分違いの恋物語。小作人の娘を襲う不幸、悲恋を描く。

 同じく人気女優の凌波(リン・ポー)主演作「西廂記」は、元代の同名戯曲の映画化。アクション、恋愛、コメディーと盛りだくさんな作品。「盤絲洞」は「西遊記」のエピソードを抜粋。三蔵法師が旅の途中、洞窟でクモの妖怪にとらえられる。

 中国武侠映画の誕生を告げた「紅い剣士」。ならず者に家族を殺された村娘が、復讐を誓い白猿老人に弟子入り。武術を習得して反撃ののろしを上げる。「漁光曲」は貧しい兄妹の奮闘記。主題歌も大ヒットした作品だ。

 上映には活動弁士の片岡一郎のほか、大友良英、上屋安由美(ピアノ)、藤高理恵子(筑前琵琶)らの音楽が華を添える。特集上映「SOUND OF SILENCE 中国無声映画と音楽の会」は9月7日(月)、8日(火)、東京・ザムザ阿佐谷で。作品の詳細、上映スケジュールは公式サイトまで。

http://www.laputa-jp.com/zdata/data/samsa/150907.html

作品写真:中国電影資料館提供

posted by 映画の森 at 10:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月13日

「So Young 過ぎ去りし青春に捧ぐ」 中国の懐かしき時代描き大ヒット ヴィッキー・チャオ初監督作 

so young.jpg

 ジョン・ウー(呉宇森)監督の「レッドクリフ」(08)2部作、チャウ・シンチー(周星馳)主演の「少林サッカー」(01)などに出演した中国の人気女優、ヴィッキー・チャオ(趙薇)。初監督作となったのが「So Young 過ぎ去りし青春に捧ぐ」だ。

 1990年代の中国。18歳の女子学生チョン・ウェイ(ヤン・ズーシャン=楊子[女冊])は、期待に胸をふくらませてキャンパスに足を踏み入れた。好きだった先輩を追い、同じ町の別の大学に進学したのだ。ところが、先輩はすでに米国留学に旅立っていた。はしごを外され落ち込む彼女を、優しい友人や先輩が元気づける。

so young2.jpg

 持ち前の明るさで大学生活を謳歌するチョン・ウェイはある日、真面目で無口な男子学生シアオチョン(マーク・チャオ=趙又廷)と出会う。性格は正反対、顔を合わせればけんかの二人だったが、チョン・ウェイの気持ちは次第に恋心に変わる。やがて二人は恋人同士となり、幸せな大学生活は瞬く間に過ぎる。卒業の季節。二人は人生の転換点に差しかかる──。

 ヴィッキー・チャオの北京電影学院監督科修士課程卒業作品。同学院で過去最高の評価を得たという。中国の若者世代、いわゆる「七十後」「八十後」(70、80年代生まれ)の青春をみずみずしく描き、興行収入7億元(約120億円)を突破する大ヒット。ハリウッド大作がひしめく13年の中国興収番付で3位に食い込んだ。

so young3.jpg

 舞台となった90年代、中国は改革開放の波にもまれ、社会的価値観や市民生活が急激に変化していた。香港スターの写真、英国バンドのヒット曲。海外から流れ込む文化に、若者たちは心躍らせていた。ロケ撮影は当時の雰囲気が残る場所を探し、中国各地の大学10カ所以上で行われたという。

 人気、実力とも中国を代表する女優の一人、ヴィッキー・チャオの初監督作だけに、俳優やスタッフも豪華だ。製作は「ルージュ」(88)、「藍宇 情熱の嵐」(01)などの香港出身スタンリー・クワン(關錦鵬)監督。シアオチョン役には「モンガに散る」(12)で注目を集めた台湾のマーク・チャオを起用した。

 中国経済が上昇気流に乗り始め、誰もが未来に夢を抱いていた時代。急速に変わる中国社会では、90年代も懐かしむべき古き良き「あのころ」のようだ。シンプルでストレートな青春恋愛映画が、なぜ今中国で大ヒットしたのか。背景を考えつつ観ても面白い。

(文・遠海安)

「So Young 過ぎ去りし青春に捧ぐ」(2013年、中国)

監督:ヴィッキー・チャオ
出演:マーク・チャオ、ハンギョン、ヤン・ズーシャン、ジャン・シューイン、チャン・ヤオ、リウ・ヤーソー、ジョン・カイ、バオ・ベイアル

2014年9月13日(土)、新宿シネマカリテほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.alcine-terran.com/soyoung
 
作品写真:(C)2013 HS Media (Beijing) Investment Co., Ltd. China Film Co., Ltd. Enlight Pictures. PULIN production limited. Beijing Ruyi Xinxin Film Investment Co., Ltd. Beijing MaxTimes Cultural Development Co., Ltd. TIK FILMS. Dook Publishing Co., Ltd. Tianjin Yuehua Music Culture Communication Co., Ltd. All rights reserved.

タグ:レビュー
posted by 映画の森 at 07:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月27日

「ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪」 ツイ・ハーク監督 「誰も見たことのないもの作りたい」

ツイ・ハーク.jpg

 香港のヒットメーカー、ツイ・ハーク(徐克)監督の怪奇冒険アクション「ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪」が、2014年8月2日公開される。監督は公式インタビューで「誰も見たことのないものを作りたかった」と語った。

 アンディ・ラウ主演「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」(10)の前日譚。知力・体力兼ね備えた判事・ディーが、海の神・龍王(シードラゴン)の謎に挑む物語。中国映画史上最高の製作費2億元(約32億円)を費やし、興行収入6億元(約96億円)を稼ぎ出した大作だ。

r1.jpg


 前作でアンディ・ラウが演じたディーの若き日を、台湾映画「モンガに散る」(10)のマーク・チャオ、ドラマの鍵の握る悲劇の男・ユエンを若手韓流スターのキム・ボムが演じている。中国で人気上昇中のウィリアム・フォン(ドラマ『蘭陵王』)、ケニー・リン(ドラマ『宮廷女官 ジャクギ』)ら、アジアの若手俳優が競演する作品となった。

 ──個性的な武器が魅力的です。どこからアイデアを得るのですか。

 物語や人物の必要性によってデザインしました。登場人物が自身の重要性を強調するために必要なのです。たとえば悪人は棒を使いますが、役柄に合わせて力強さをイメージしました。武器をデザインした理由は二つ。一つ目は登場人物の行動で観客に性格を印象付けること。二つ目はアクションシーンで、武器によって人柄を表すこと。通常の私の映画にはないかもしれません。

r2.jpg

 ──今回は過去最高のセット数で、新たな街を建設するように大規模な撮影だったそうですね。監督の世界観を作るため、特にこだわった点は。

 実は新しい街を作ったのではなく、古いセットを使いました。ほとんど一つの地方か小さな街のように大きいもので、装飾して作品の背景に合わせ、壮大なイメージを作りました。

 ──監督にとってディーの魅力は。

 最も大きいのは背景です。ディーがいた7世紀の唐王朝は、後の時代と大きく異なります。唐は東西文化が入り交じり国際色豊か。さまざまな人が首都に住んでいました。女性と学者は現代よりも自由だったぐらいです。それがこの時代に関心を持った点です。

 ディーはほぼこの時代(唐王朝)にいたので、私は中国の7世紀を探索する必要がありました。私にとって最も魅力的な点でした。シリーズ化で重要なポイントは時代背景と文化。誰も思いつかない、観客を驚かせる、誰も見たことのないもの。それらが現実となり、製作につながることを望んでいます。

r3.jpg

 ──中国、台湾、韓国とアジア圏の俳優が集結しました。次回作に日本の俳優が出演する可能性は。気になる日本の俳優はいますか。

 起用する可能性は十分にあります。実は以前、日本人俳優をキャスティングしたことがあるのですが、うまくいきませんでした。日本映画をたくさん観て、日本人俳優の演技も観ているので、彼らを起用することに興味があります。

 気になる日本人俳優は大勢います。が、一緒に仕事をするチャンスがあるか分からないので、今言うのは難しいです。好きな俳優はたくさんいます。経験のある俳優にも、若くて新しい俳優にも興味を持っています。

「ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪」(2013年、中国・香港)

監督:ツイ・ハーク(徐克)
出演:マーク・チャオ(趙又廷)、キム・ボム、ウィリアム・フォン(馮紹峰)、ケニー・リン(林更新)、アンジェラベイビー(楊穎)、カリーナ・ラウ(劉嘉玲)

2014年8月2日(土)、シネマート六本木ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.u-picc.com/SEADRAGON/

作品写真:(C)2013 HUAYI BROTHERS MEDIA CORPORATION ALL RIGHTS RESFRVED.

posted by 映画の森 at 11:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月16日

「収容病棟」 原一男監督トーク 中国精神病院に密着「私たちが生きる世界の写し絵」

原一男.jpg

 中国の精神病院に密着したドキュメンタリー映画「収容病棟」(ワン・ビン=王兵監督)の公開に合わせ、ドキュメンタリー作家の原一男監督がこのほど、東京・渋谷で開かれたトークイベントに参加した。原監督は「ワン・ビンが描いたのは、私たちが生きる世界の写し絵だ」と語った。

 天皇の戦争責任を追及する過激なアナーキスト・奥崎謙三を追ったドキュメンタリー「ゆきゆきて、神軍」(87)で世界に衝撃を与えた原監督。「収容病棟」について「中国という国家が収容病棟のようともいえる。権力に抑圧された空間はどの国にもある。だから『収容病棟』は、私たちが現実に生きている世界の写し絵ではないか」と語った。

 また、ワン監督との共通点について「ぼくも彼も写真から入り、映画に転身した。写真の経験があると、被写体にどうカメラを向けるか具体的に考える。ワン・ビンの画(え)を見て、ぼくと似ているなと思った」と話した。

収容病棟.jpg

 今年2月には来日したワン監督と対談した原監督。本人の印象を「風貌もあか抜けなくて、まるで田舎のあんちゃんのよう。私も都会的ではないので親近感が湧いた(笑)」と振り返った。

 さらに過去に対談した米のマイケル・ムーア監督(『ボウリング・フォー・コロンバイン』)、ジョシュア・オッペンハイマー監督(『アクト・オブ・キリング』)との比較も。米国の闇に迫る作品を数々発表してきたムーア監督は「ただの典型的なアメリカ人。アホちゃうかと思った」とばっさり。

 インドネシア大虐殺を描き、今年日本でも大きな話題を呼んだオッペンハイマー監督も「やはり典型的なアメリカ人。だからあのような発想が出る。大した映画じゃない」と一刀両断。「観客が圧倒されるおぞましさは、虐殺の数の多さ、虐殺した側が英雄視されている現実。作品のすごさではない」と持論を展開し、会場を笑いの渦に包んだ。

 最後に「ワン・ビンとはまた話したいなあ。実に気持ちのよい男でした」と締めくくり、再会への期待を示した。「収容病棟」は全国順次公開中。

(文・遠海安)
タグ:イベント
posted by 映画の森 at 09:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする