2020年03月01日

「レ・ミゼラブル」“花の都パリ”の闇 貧困と格差を描く衝撃作

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 フランス、パリ郊外のモンフェルメイユ。ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」の舞台は、危険な犯罪地域と化していた。犯罪防止班に加わった警官のステファン(ダミアン・ボナール)はパトロールするうち、複数のグループが緊張関係にあると察知する。ある日、少年イッサが起こしたささいな出来事が大騒動に発展。取り返しのつかない方向へと進み始める──。監督、脚本は初長編となるラジ・リ。

 カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した「レ・ミゼラブル」。フランスの貧困や格差社会リアルに浮かび上がらせる作品だ。

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 2018年夏。サッカーW杯優勝に歓喜するパリ市民たちの実写映像で物語は幕を開ける。一転、舞台はパリ郊外の古ぼけた団地へ。ベテラン警官のクリスとグワダが率いる犯罪防止班に、新しくステファンが加わった。ステファンはパトロール先で、緊張状態のギャングと、市民に横暴に接するクリスの姿だった。街で暮らす少年イッサがある日、サーカス団から子どものライオンを盗み、ギャングたちが一触即発に。やがて街全体を揺るがす大惨事に発展する。

 舞台となるモンフェルメイユは1960年代、分譲団地として建設されたが、パリや空港に直結する高速道路計画がとん挫・陸の孤島となり、貧しい人々や移民が暮らす地域となった。治安は悪化し、複数のギャングが一帯を牛耳る無法地帯。取り締まる警官も街の流儀にならい、違法行為に手を染めていた。イッサによるライオン盗難事件は、かろうじて保たれていた地域の均衡を崩すことになる。

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 “花の都パリ”とかけ離れたモンフェルメイユの実態。退廃的な負の空気に包まれた街が、小さな事件を着火点に、少年たちのうっぷんを爆発させるクライマックスを呼ぶ。ラジ・リ監督は地元出身。シビアな実情をあぶりだす衝撃作だ。

(文・藤枝正稔)

「レ・ミゼラブル」(2019年、仏)

監督:ラジ・リ
出演:ダミアン・ボナール、アレクシス・マネンティ、ジェブリル・ゾンガ、イッサ・ペリカ、アル=ハサン・リ

2020年2月28日(金)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://lesmiserables-movie.com/

作品写真:(C)SRAB FILMS LYLY FILMS RECTANGLE PRODUCTIONS
posted by 映画の森 at 15:57 | Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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