2019年04月25日

「パパは奮闘中!」妻が突然出て行った 不器用ながらも絆を強める家族

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 インターネット販売の倉庫で働くオリビエ(ロマン・デュリス)は、妻のローラと幼い二人の子と、幸せに暮らしていた。ところが突然、ローラが家を出て行ってしまう。慣れない子供たちの世話に追われるオリビエ。なぜ妻は去ったのか。探し続ける彼のもとに、フランス北部のヴィッサンからハガキが届く──。

 初長編作「Keeper」(15)が各国の映画祭に招待・受賞したベルギーの新鋭ギョーム・セネズ監督の最新作。「タイピスト!」(12)のデュリス、「若い女」(17)のレティシア・ドッシュらが出演している。

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 妻がいなくなり、仕事と子育てがオリビエの肩にのしかかる。職場では商品管理担当のリーダーとして部下に慕われる一方、上司からは人員整理を命じられ、中間管理職として板ばさみ。解雇を告げられた部下が自殺し、職場に動揺が広がる中、家では妻が無断欠勤。長男エリオット、長女ローズを残して姿を消した。警察に勤める友人に相談するも、妻の行方はつかめない。

 不慣れな子育て、忙しい仕事、労働組合の業務まで重なるオリビエのもとに妻からハガキが届く。苦労に水を差すような文面に怒りがこみ上げたオリビエは、その場でハガキを破り捨ててしまう。反発したエリオットは紙片を拾い集め、テープで張り合わせる。窮地を知った妹ベティ(ドッシュ)が助けに来てくれることになり、オリビエは消印を頼りに妻の故郷ヴィッサンに向かう。

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 フランスの労働者の現実と、家族の成長を描いた物語。妻がいなくなり、夫はさまざまな困難に直面する。葛藤を続ける姿が胸に迫る。子ども二人も自立を強いられ、少しずつ成長していく。ベティや周りの人々の協力を受け、家族は不器用にぶつかり合いながら、絆を強めていく。なにげない日常生活に、温かい思いが伝わってくる。

 一方、オリビエの働く倉庫では、暖房もない劣悪な環境で、長時間労働が課せられている。低所得者たちの苦悩も描いたことこそ、作品の要に感じた。非常に現実的な空気の中、最後は希望を残して幕が引かれ、救われる思いだ。普遍的なテーマを時代に反映させた家族のドラマである。

(文・藤枝正稔)

「パパは奮闘中!」(2018年、ベルギー・仏)

監督:ギョーム・セネズ
出演:ロマン・デュリス、ロール・カラミー、レティシア・ドッシュ、ルーシー・ドゥベイ、バジル・グランバーガー

2019年4月27日(土)、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.cetera.co.jp/funto/

作品写真:(C)2018 Iota Production / LFP - Les Films Pelleas / RTBF / Auvergne-Rhone-Alpes Cinema

posted by 映画の森 at 22:05 | Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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