2018年05月23日

「妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII」山田洋次監督、得意の人情喜劇 シリーズ最新作

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 「男はつらいよ」の山田洋次監督新作は、喜劇シリーズ「家族はつらいよ」の第3弾。1作目は「熟年離婚」、2作目は「無縁社会」、今回は「主婦賛歌」がテーマだ。ひとり家事を担う専業主婦の苦労と偉大さを描く。

 「東京家族」(13)から始まった山田監督の家族もの。シリーズ通じてキャストが共通の喜劇だ。当初感じた平田家のぎくしゃくした感じは消え、前2作の中心だった父・周造(橋爪功)は脇に回り、長男の妻・史枝(夏川結衣)に光を当てる。

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 3世代家族で長男の嫁として家事をこなしてきた史枝は、夫・幸之助(西村まさ彦)の給料から少しずつへそくりを貯めていた。ところがある日、居眠りのすきに泥棒に40万円盗まれる。高額ぶりに幸之助は怒り、史枝は嫌味に耐え兼ね家を飛び出した。平田家の日常生活は機能不全に陥り、家族はそれぞれ試練を味わう。

 松竹映画で家族の物語を描き続けて半世紀。山田監督の「家族」を演じるのは、家長夫婦(橋爪功、吉行和子)、長男一家、結婚して別に暮らす長女夫婦(中嶋朋子、林家正蔵)と次男夫婦(妻夫木聡、蒼井優)だ。家族という面倒な関係を、恒例の家族会議を交えて面白おかしく描き、昭和の香りがする作品に仕上げている。

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 平成の時代になって「泥棒」が家に入り込む作品は減り、アニメの「サザエさん」ぐらいになってしまった。あえて「振り込め詐欺」など現代の犯罪を使わないところも監督らしい。しかし、泥棒がつかまって一件落着にしないところに脚本の技を感じる。

 「東京家族」以降同じキャストで4作目。息の合ったアンサンブルも楽しく、作品ごとに違う役で登場する小林稔侍、笹野高史、笑福亭鶴瓶も期待を裏切らずうまい。ジブリ作品とは一味異なり、しゃれた劇伴に徹した久石譲の音楽。タイトルデザインとポスターを手掛けた横尾忠則。豪華な隠し味にも注目の松竹伝統の人情喜劇だ。

(文・藤枝正稔)

「妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII」(2018年、日本)

監督:山田洋次
出演:橋爪功、吉行和子、西村まさ彦、夏川結衣、中嶋朋子

2018年5月25日(金)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://kazoku-tsuraiyo.jp/

作品写真:(C)2018「妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII」製作委員会

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posted by 映画の森 at 16:01 | Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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