2018年03月09日

「ザ・キング」チョ・インソン×チョン・ウソン、悪に染まった検事熱演 極上の韓国犯罪エンターテインメント 

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 けんか好きの貧しい青年パク・テス(チョ・インソン)は、権力で悪を制する検事に憧れ、猛勉強の末に夢を実現。新人検事として地方都市で多忙な日々を送るが、ソウル中央地検のエリート部長ガンシク(チョン・ウソン)と出会って人生が一変する。ガンシクは他人を踏み台に成り上がり、大統領選を利用して権力をつかんだ「1%の成功者」だった──。

 テス役に「露花店(サンファジョム)運命、その愛」(08)以来の映画出演となるチョ・インソン。ガンソクに「愛のタリオ」(14)、「アシュラ」(16)のチョン・ウソン。テスの先輩検事役にペ・ソンウ。監督・脚本は「観相師 かんそうし」(13)のハン・ジェリム。

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 1980年〜2010年の韓国現代史をバックに、テスの激動の半生を描く。監督の語り口は軽妙で饒舌。韓国事情にうとい日本の観客をうまく作品世界へいざなう。まず成功したテスの姿を見せる。さかのぼって貧しい少年が検事を目指す道のりを、スローモーションや静止画像、ナレーションを多用して紹介する。マーティン・スコセッシ監督「グッドフェローズ」(90)を思わせる。緑がかったスタイリッシュな映像は「セブン」(95)のデビッド・フィンチャー監督の影響か。

 歴史的事実の裏で、権力を握った検事たちが、裏工作で国民をあざむき、社会を動かしていく。史実と創作のさじ加減が絶妙でリアルだ。フィクションのはずが、見ているうちに真実味が増してくる。脚本と演出のなせる技だろう。

 ガンソクと出会い、悪事のうまみを知るテス。一方、テスの幼なじみのチェ・ドゥイル(リュ・ジョンユル)は、暴力団員として裏街道まっしぐら。スタートラインは一緒だった二人が交差する瞬間、運命が動き出す。

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 俳優たちが実に魅力的だ。10代から40代まで、髪型と衣装を変えて柔軟に演じ分けたチョ・インソン。ダンディーで渋い二枚目のチョン・ウソンは、怒りやダンス、歌と静と動を自在に使い分け、二面性ある腹黒い男を魅力的に演じている。欲に染まった男二人と対照的に、正義の道を突き進む女性検事のヒヨン(キム・ソジン)。達観した視点が物語のスパイスになっている。

 小刻みなテンポでリズムを作り、大きなうねりにつなげる監督のセンス。極上の韓国犯罪エンターテインメントだ。

(文・藤枝正稔)

「ザ・キング」(2017年、韓国)

監督:ハン・ジェリム
出演:チョ・インソン、チョン・ウソン、ペ・ソンウ、リュ・ジュンヨル、キム・ウィソン

2018年3月10日(土)、シネマート新宿ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://theking.jp/

作品写真:(C)2017 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & WOOJOO FILM All Rights Reserved.

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posted by 映画の森 at 00:09 | Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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