2018年02月08日

「サニー 32」実際の事件モチーフに 白石和彌監督の犯罪サスペンス

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 「ずっと会いたかったよ、サニー……」。そう言って柏原(ピエール瀧)と小田(リリー・フランキー)は女性を拉致し、雪深い山の廃屋に監禁した。連れ去られたのは24歳の中学校教師・藤井赤理(北原里英)。「サニー」は「史上最も可愛い殺人犯」と呼ばれた11歳の少女の名で、ネットで神格化されていた。柏原と小田はサニーの狂信的な信者だった──。

 アイドルグループ「NGT48」から卒業を発表した北原里英が映画初主演。俳優やスタッフは白石和彌監督の「凶悪」(13)のメンバー再集結。脚本・高橋泉、主演のピエール瀧、リリー・フランキーで、衝撃的なサスペンス映画だ。

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 まずは「サニー事件」の説明から始まる。11歳の小学生女児が、同級生の女児の首をカッターナイフで切り付けて殺害した。加害者少女のかわいい容姿、3本指と2本指の決めポーズから“32=サニー”と名付けられ、ネットで神格化された。事件から14年。狂信的サニー・ファンの柏原と小田は、女性を拉致監禁する。

 「サニー 32」は、北原主演のアイドル映画を装っているが、紛れもなく白石監督による犯罪映画の流れをくむ。監禁には途中から参加者も増え、予想外のいざこざも発生。監禁場所が何者かに突き止められたため、廃屋から海の家に女性を移す。集団心理は悪い方向に動き、「自己批判」や「集団リンチ」などの陰惨な暴力にエスカレートしていく。

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 そんな中、ごく一般的な女性だった藤井が「サニー」と祭られて教祖へと神格化していく。監督と脚本家は1970年代以降に起きた実際の凶悪事件をなぞりながら、新たなドラマとして再構築した。

 作品のスーパーバイザーを務めた秋元康が要求した「北原主演映画を撮る」ことから企画が始まったという。白石作品ファンの北原は、劇中の藤井のように、白石組に放り込まれ、一皮むけた演技を見せる。ピエール瀧とリリー・フランキーの立場は「凶悪」と逆。力関係が面白い。

 中学生のいじめ、ネットの闇などさまざまなネタを使い、現代社会の暗部を大胆に料理した。白石組のぶれない姿勢が素晴らしい。アイドル映画と経験するのも、うっかり手を出すのも難しい。実際の事件をモチーフにした衝撃の犯罪サスペンスだ。

(文・藤枝正稔)

「サニー 32」

監督:白石和彌
出演:北原里英、ピエール瀧、門脇麦、リリー・フランキー、駿河太郎

2018年2月17日(土)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://movie-32.jp/

作品写真:(C)2018「サニー 32」製作委員会
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posted by 映画の森 at 15:48 | Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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