2017年07月20日

「彼女の人生は間違いじゃない」震災で傷を負った人々 福島出身・廣木隆一監督、渾身の1本

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 東日本大震災で母親を亡くし、今は仮設住宅で父親(光石研)と二人暮らしのみゆき(瀧内公美)。平日は市役所で働きながら、週末は東京でデリヘル嬢として働いている。父親は原発事故のあおりで職を失い、保証金でパチンコに通う毎日だった──。

 「さよなら歌舞伎町」(15)の廣木隆一監督が、処女小説を自ら映画化した「彼女の人生は間違いじゃない」。福島県郡山市出身の廣木監督にとって、作品として向き合うべきテーマなのだろう。82年、ポルノ映画でキャリアをスタートさせた監督。「800 TWO LAP RUNNERS」(94)で頭角を現し、「ヴァイブレータ」(03)で作家性を確立。「余命1ヶ月の花嫁」(09)、「雷桜」(10)、「娚の一生」(15)など職業監督としてあらゆるジャンルに取り組んできた。今回は震災を肌で感じた監督渾身の1本だ。

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 みゆきの毎日にさまざまな人生が交錯する。デリヘル店の従業員・三浦(高良健吾)は、風俗嬢となる女性たちの面接から送迎、警護までこなす頼りになる男。人知れず夢を抱き、家族も抱えていた。震災で母を亡くしたみゆきへの一言で、距離ができたかつての恋人・山本(篠原篤)。月日は流れて二人は再会する。みゆきの市役所の同僚・新田(柄本時生)も震災を経てもがいていた。

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 震災で心に傷を負い、それぞれに満たされない心。みゆきの場合、それがデリヘル嬢という極端な形で表れた。父親も被災者だが、保証金で酒とパチンコにおぼれる。震災から6年。多くの命が奪われ、残された人々の苦しみは続いている。居場所を失った人々の葛藤を、刹那的に描いた作品だ。

(文・藤枝正稔)

「彼女の人生は間違いじゃない」(2017年、日本)

監督:廣木隆一
出演:瀧内公美、光石研、高良健吾、柄本時生、篠原篤

2017年7月15日(土)、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://gaga.ne.jp/kanojo/

作品写真:(C)2017「彼女の人生は間違いじゃない」製作委員会

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posted by 映画の森 at 11:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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