2017年02月24日

「ラ・ラ・ランド」人生の夢と希望、甘さと苦さ 50年代ミュージカル形式で描く

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 女優の卵とジャズピアニストとの恋を、ミュージカル仕立てで描いた「ラ・ラ・ランド」。高速道路上で繰り広げられる冒頭の群舞シーンから、1950年代ミュージカルのテイストがあふれ、目を引き付ける。俳優たちの歌い踊る姿や表情も、古き良き時代の雰囲気たっぷりだ。「キャロル」(15)や「ブルックリン」(15)などと同じ、50年代を舞台にした“レトロムード”な作品かと一瞬思う。しかし、違った。

 時代は現代、場所はロサンゼルス。登場人物はケータイを所有し、ファッションもイマ風である。要するに、今日の男女の恋物語を、50年代ミュージカルのスタイルで撮った映画なのだ。

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 だが、50年代ミュージカルといえば、歌も踊りも超一流。圧倒的なテクニックを備えたスターたちが、最高のパフォーマンスで観客を魅了したもの。主演のライアン・ゴズリングとエマ・ストーンが、どこまでその境地に迫り得ているのか。

 フレッド・アステアやジーン・ケリー、シド・チャリシーやレスリー・キャロン。もちろん彼らの美技・神技には及ばない。とはいえ、数分間もの長回しに耐えるダンスの完成度は十分称賛に値する。ジャズピアニスト役のゴズリングの演奏シーンも吹き替えなし。たった3カ月の特訓でものにしたというから大したものだ。

 場面転換ごとに一変する服装。画面を彩るカラフルな色彩。いかにもミュージカルらしい楽しさ、華やかさが横溢(おういつ)している。若い男女が互いに夢を追いながら、励まし合い、愛し合う、青春の喜びに満ちたラブストーリー。

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 ところが、終盤から様相が変わる。2人の人生を揺るがす大きな転機が訪れ、物語にサスペンスの色合いが加わっていく。2人は夢を実現できるのか。幸福を手にできるのか。答えを出さないまま、映画は5年後のエピローグに飛ぶ。

 ここから本作は、ハッピーなミュージカルから厳しいリアリズムの世界に移行。2人の運命がドラマティックに紹介される。ともにゴールデングローブ賞を受賞したゴズリングとストーン。その視線の演技に注目したい。人生の苦味、酸味を凝縮したようなラストの数分間は圧巻だ。

 監督は、「セッション」(14)で脚光を浴びたデイミアン・チャゼル。単なる50年代ミュージカルへのオマージュに終わらせず、ずしりと心に響く人間ドラマに仕立て上げた手腕はさすがである。

(文・沢宮亘理)

「ラ・ラ・ランド」(2016年、米国)

監督:デイミアン・チャゼル
出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、ソノヤ・ミズノ、J・K・シモンズ

2017年2月24日(金)、TOHOシネマズみゆき座、TOHOシネマズシャンテほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://gaga.ne.jp/lalaland/

作品写真:(c)2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND. Photo courtesy of Lionsgate.
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posted by 映画の森 at 04:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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