2016年10月25日

釜山国際映画祭(2)日本映画多彩に、祭りに華添える

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 韓国の第21回釜山国際映画祭(10月6〜15日)では、「表現の自由」をめぐる問題の余波で参加を見合わせる韓国の映画人が少なくなかった。話題作の舞台あいさつに監督や主演俳優が現れないのはいささか寂しい。その物足りなさを埋めて祭りに華を添えたのは、日本など各国の映画だったと言えるかもしれない。
 
「君の名は。」監督・俳優が参加

 日本で大ヒット中の「君の名は。」は、新海誠監督と声の出演の神木隆之介、上白石萌音が記者会見に出席し、大勢の取材陣が詰めかけた=写真1。「ハッピーエンドが描けない作家と言われてきた」と新海監督。今回は幸せな結末を描いたことについて「日本では3.11(東日本大震災)が人やものの形を変えた。あの時に何かできたのではないか、という思いを日本中が抱いた。自分自身も、あの時の祈りの結晶を込めたい思いがあった」と、作品が生まれた背景を語った。

君の名は。.jpg

 男女が入れ替わる難しい設定の役柄を声で演じた神木と上白石は、それぞれ役作りのエピソードを披露。神木は「異性のことはわからないので、(女性のように)内またで立って演技してみた」、上白石は「私はその姿を見て、男らしい体勢にした。街で男子高校生の会話を盗み聞きして研究もした」と話し、記者たちの笑いを誘っていた。韓国では来年1月に劇場公開予定。

<「怒り」の二人は映画祭にエール

 「怒り」からは李相日監督と主演の渡辺謙が参加した=写真2。映画のテーマは「他人への信頼と不信」だが、同席したカン・スヨン執行委員長は「(映画祭の開催が危ぶまれる)大変な時期にこの映画を見た。市と観客、映画人、海外の映画人がどこまで信頼し合えるのかと考えた」と回想した。

「怒り」会見.jpg

 二人とも過去に釜山映画祭を訪れており、渡辺謙は司会を務めたこともあるほど縁が深い。それだけに、映画祭を取り巻く今回の事態には思うところが多い。渡辺は「一度休止するという選択肢もあっただろうが、映画人と観客と街が一体となって作り上げる映画祭はいろんなものを飲み込みながら続いていく。そこに情熱を感じた」と感慨深げに語った。李監督は「力の大きいものが何かを押さえつけることが死ぬほど嫌いなので、釜山映画祭には共感している」と、映画祭にエールを送った。

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ゴジラ、ロマンポルノ、ホラー&ロマンス……多彩な日本映画

 オープニングのレッドカーペットに真っ先に登場したのは、日活ロマンポルノ「ジムノペディに乱れる」の行定勲監督と板尾創路ら俳優たち。樋口真嗣監督と長谷川博己が参加した「シン・ゴジラ」は満員の観客を集めて貫禄を見せつけた。黒沢清監督はフランスで撮影した新作「ダゲレオタイプの女」をひっさげて登場。ホラーとラブストーリーの融合は韓国のファンも魅了したようだ。

 このほか「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督、「オーバー・フェンス」の山下敦弘監督と蒼井優、オダギリジョーが釜山を訪れ、ファンの熱狂的な歓迎を受けた。

(文・芳賀恵 写真・岩渕弘美、芳賀恵)

作品写真:「君の名は。」(C)2016「君の名は。」製作委員会/「怒り」(C)2016 映画「怒り」製作委員会

写真:
1:「君の名は。」記者会見=(左から新海誠監督、上白石萌音、神木隆之介)
2:「君の名は。」
3:「怒り」(左から李相日監督、渡辺謙)
4:「怒り」
posted by 映画の森 at 10:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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