2016年09月02日

「アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)」クロード・ルルーシュ監督と音楽家フランシス・レイ、「男と女」の最終章

anne_main.jpg

 映画音楽家アントワーヌ(ジャン・デュジャルダン)は、自由に人生を謳歌して生きてきた。まるで自分が書いた音楽のように。ボリウッド版「ロミオとジュリエット」の製作のため訪れたインドで、フランス大使夫人のアントワーヌ(エルザ・シルベルスタイン)と出会う──。

 名作「男と女」(66)から半世紀。クロード・ルルーシュ監督と作曲家フランシス・レイが再び組んだ作品だ。原題は「UN+UNE」。日本語に訳すと「男プラス女」。「男と女」の流れを組む恋愛模様だ。アントワーヌは「男と女」の主人公の息子と同じ名前だが続編ではない。

anne_sub1.jpg

 舞台はインド。宝石店強盗の男が逃亡中に女を車ではねる。大けがを負った女を見捨てられず、病院へ担ぎ込んだところ、警察に逮捕されてしまう。加害者と被害者の二人だが恋に落ちて結ばれる。このエピソードがインド版「ロミオとジュリエット」だと評判になり、映画化されることになる。音楽担当として白羽の矢が立ったのが、アントワーヌだった。

 レコーディングのため訪れたインドの晩餐会で、アントワーヌはアンナと出会って意気投合。フランスに恋人のアリス(アリス・ボル)を残したアントワーヌと、フランス大使の夫サミュエル(クリストファー・ランバート)がいるアンナ。パートナーがいる身ながらひかれ合う。子供ができないアンナは聖者に合うためインド南部へ。頭痛に悩まされていたアントワーヌも、休暇を兼ねてアンナの旅に同行する。

anne_sub2.jpg

 さまざまな男女の愛を描いてきたルルーシュ監督。「男と女」はスタイリッシュでみずみずしい映像で、世界の観客を魅了した。20年後の続編「男と女U」(86)は行き詰まったか、製作のジレンマが作品に投影され、中途半端になってしまった。

 時はさらに流れ、盟友レイと再び組んだ今回。どこか吹っ切れたのか、監督の心情が表れたのか。異国インドを達観したように見つめながら、中年期の恋愛をアグレッシブに描き出した。聖者のくだりはやや宗教色を感じるが、人生の岐路に立つ二人にとって、背中を押す大事な役目を担っている。レイの甘美なメロディーに導かれ、たどり着く愛の形。運命のいたずらともいえる心地よい幕引きだ。ルルーシュとレイによる「男と女」、最終章にふさわしい作品といえよう。

(文・藤枝正稔)

「アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)」(2015年、フランス)

監督:クロード・ルルーシュ
出演:ジャン・デュジャルダン、エルザ・ジルベルスタイン、クリストファー・ランバートサミュエル
アリス・ポル、マーター・アムリターナンダマイー

2016年9月3日(土)、Bunkamura ル・シネマほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://anna-movie.jp/

作品写真:(C)2015 Les Films 13 - Davis Films - JD Prod - France 2 Cinema

posted by 映画の森 at 19:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/441572189
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック