2016年08月09日

夏の香港・中国エンターテイメント映画まつり 今人気の映画そろい踏み 質と勢い知る貴重な特集上映

モンスター・ハント.jpg

「モンスター・ハント」(15)中国

 その昔、妖怪と人間は共存していた。しかし人間が天下を独占すると妖怪は山奥に追いやられ、やがて妖怪の世界は内乱状態に。新王は先王一族を一掃。王子は妊娠中の王妃、忠臣たちと命からがら人間界へと逃げ、人里離れた小さな村の村長テンイン(ジン・ボーラン)に出会う。追いつめられた王妃は、テンインに自分の子供を託す。なんとテンインは男でありながら妖怪の王子をお腹に宿してしまう──。

 中国で過去最高の興行収入を記録した「モンスター・ハント」。監督は「シュレック3」(07)でクリス・ミラーと共同監督を務めたラマン・ホイ。美術総監督はクエンティン・タランティーノ監督「キル・ビルvol.1」(03)、「ヘイトフル・エイト」(15)の種田陽平が務めている。

 人間と妖怪の間に生まれる友情と絆を描く。最新の3DCGとワイヤーアクション、カンフーをミックスした娯楽作だ。核となる妖怪のキャラクターデザインが「かわいい系CGアニメ風」過ぎて現実感に乏しいが、逆にそこが中国の観客に受けたのかもしれない。子供から大人まで楽しめる作品だ。

作品写真:(C)2015 EDKO FILMS LIMITED, DREAM SKY PICTURES CO., LTD., SHENZHEN TENCENT VIDEO CULTURE COMMUNICATION LTD., HEYI PICTURES CO., LIMITED, BEIJING UNION PICTURES CO., LTD. ,ZHEJIANG STAR RIVER ARTISTE MANAGEMENT COMPANY LIMITED, SAN-LE FILMS LIMITED, ZHEJIANG FILMS & TV (GROUP) CO., LTD., EDKO (BEIJING) FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

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 「西遊記 孫悟空VS白骨夫人」(16)中国・香港合作

 孫悟空(アーロン・クォック)が五行山に閉じ込められて500年後。経典を得るため天竺へ向かう三蔵法師(ウィリアム・フォン)は道中虎に襲われる。危機を救うため封印を解かれた孫悟空は猪八戒、沙悟浄らと三蔵法師のお供をすることに。三蔵法師は恐ろしい妖怪・白骨夫人(コン・リー)に命を狙われていた──。

 「西遊記 孫悟空VS白骨夫人」は、同じ「西遊記」を題材にした「モンキーマジック 孫悟空誕生」(15)に続くシリーズ第2弾だ。前作が孫悟空が五行山に閉じ込められるまでを描いたのに対し、今回は孫悟空が三蔵法師のお供をして猪八戒、沙悟浄と天竺を目指す。

 監督は前作に引き続きソイ・チェン。アクション監督はジャッキー・チェン、ユン・ピョウらと「七小福」として活躍し、日本では「燃えよデブゴン」(78)で人気を得たサモ・ハンが務める。音楽には「ヘルレイザー」(87)などハリウッドでホラー、ファンタジー映画を得意とする大御所クリストファー・ヤングが担当している。

 日本人にはテレビドラマ「西遊記」(78〜80)と共通する親しみやすい物語。ハリウッドのスタッフを招いたVFX満載、迫力アクションの連続で楽しい。孫悟空役のアーロン・クォックの猿らしいコミカルな仕草、ダイナミックなアクション。コン・リーが冷酷非情な悪役で凄味をみせる。観音菩薩で日本でも人気ある女優ケリー・チャンまで登場。ビジュアル重視、豪華絢爛の21世紀版「西遊記」として楽しめる。

作品写真:(C)2016 FILMKO FILM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

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 「ドラゴン・クロニクル 妖魔塔の伝説」(15)中国
 
 1974年、崑崙山の洞窟。古代の巨獣とみられる未確認生物の骨が発見され、大規模な発掘調査が始まった。調査隊として洞窟の奥に進んだフー・バーイ(マーク・チャオ)とヤン・ピン(ヤオ・チェン)らは、1万年前に地球を支配しようとした異星人が封印されている宮殿“妖魔塔”に到達。しかし、突如現れた火炎コウモリの群れに襲われ、フー・バーイ以外全員が消息不明になる。

 SFミステリーとモンスター・パニックを融合させた「ドラゴン・クロニクル 妖魔塔の伝説」は、「ミッシング・ガン」(02)でデビューを果たしたルー・チューアン監督が初めて手掛けた娯楽作だ。脚本には米テレビドラマ「プリズン・ブレイク」「LOST」の演出で知られるボビー・ロス、その息子で俳優兼脚本家のニック・ロス。VFXアドバイザーに「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのジョン・シールズ、「シン・シティ 復讐の女神」(14)のマイケル・グローブが参加している。

 巨大未確認生物発掘の歴史をひも解く記録フィルムをつなげたタイトルで幕開け。「セブン」(95)のタイトルデザインを手がけたカイル・クーパー風のミステリアスなもので、断片的な記録フィルムを使い、観客のイマジネーションを刺激し、つかみとしてうまい。作品は大きく分けて3つのパターンで構成されている。

 フー・バーイが未確認生物調査隊として参加する冒頭は火炎コウモリ、巨大生物、妖魔塔が登場する冒険アクションミステリー風。調査から唯一生還したフー・バーイの現在を描いた中盤は一転、妖魔塔の謎を検証する濃厚なミステリードラマに変貌。途中コミカルな描写をはさみつつ、巨大生物が登場するシーンは、元祖「キングコング」をリスペクトした。後半は行方不明となったヤン・ピンとうり二つの女性シャーリーと共に、調査隊に参加したフー・バーイが魔族が放った巨大モンスターと壮絶な死闘を展開。モンスターパニックへと変貌する。

 冒険活劇、ミステリードラマ、VFXで作られた俊敏な巨大モンスターと調査隊の戦い。一つで何度もおいしい。サービス精神旺盛で、観客を楽しませる作家の心意気。ハリウッド映画を見慣れた観客も納得のCGモンスターが大暴れするクライマックス。ひねりを利かせた意表突いたオチまで見どころ満載だ。

 3本通して見ると、現在の中国、香港エンタメ映画のクオリティーと勢いを知れる貴重な特集上映だ。

(文・藤枝正稔)

作品写真:(C)2016 CHINA FILM CO., LTD. DREAM AUTHOR PICTURES (BEIJING) CO., LTD. LE VISION PICTURES (BEIJING) CO. LTD.

2016年8月6日(土)、シネマート新宿ほかで公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://asian-selection-movie.com/

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posted by 映画の森 at 09:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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