2015年11月19日

「放射線を浴びたX年後2」第五福竜丸の悲劇から今へ 父はなぜ死んだのか 真相追う執念の記録

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 1954年3月1日、太平洋中部のビキニ環礁で、米国が核実験を行った。操業中のマグロ漁船「第五福竜丸」は、大量の放射性物質を浴び、半年後に無線長だった久保山愛吉氏が死亡。ほかの乗組員も重度の肝機能障害を起こした。

 誰もが知っている第五福竜丸の悲劇である。1959年に作られた新藤兼人監督の同名映画も見た人も多いだろう。怪獣映画「ゴジラ」(54)にインスピレーションを与えたことも有名だ。

 だが、放射線が降り注いだのは第五福竜丸だけではない。太平洋上での核実験は100回以上あった。当然ほかにも多数の漁船が被曝した。しかし政府の対応はおざなりで、メディアも深く追及しようとはしなかった。風評を恐れてか、漁師たちも声を潜めた。こうして真相は覆い隠された。

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 そんな歴史の闇に光を当てたのが、ローカルテレビ局のディレクター、伊東英朗だった。事実を探るべく、高知県の港町で地道な調査を続けていた教師や高校生たち。伊東は彼らの足跡を追い、ついに放射能汚染の全貌を記した機密文書へとたどり着く――。

 そのプロセスを記録した作品は、テレビのドキュメンタリー番組で放送され大きな反響を呼び、「放射線を浴びたX年後」(2012)として映画化。「放射線を浴びたX年後2」は続編である。

 今回スポットが当てられているのは、36歳で急逝した漁師の娘である川口美砂氏。幼い頃から父は「酒の飲み過ぎで早死にした」と言い聞かされていたが、「放射線を浴びたX年後」を見て、死因に疑念を抱く。父親もマグロ漁船に乗っていた。もしや……。川口氏は元乗組員や遺族たちと会い、一歩一歩真相に迫っていく。そして判明するおそるべき事実。

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 前作に登場した高校教師から、川口氏が「X年後」のバトンを引き継ぐ形となった。作品が人を覚醒させ、行動に駆り立てる――。ドキュメンタリー映画の一つの理想形をここに見る。

(文・沢宮亘理)

「放射線を浴びたX年後2」(2015年、日本)

監督:伊東英朗

2015年11月21日(土)、ポレポレ東中野ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://x311.info/part2/

作品写真:(C)南海放送
posted by 映画の森 at 08:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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