2015年09月17日

「ハッピーボイス・キラー」イラン出身女性監督、ポップで奇妙なスリラー

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 ライアン・レイノルズ主演の「ハッピーボイス・キラー」。イラン出身の女性監督マルジャン・サトラピによるポップで奇妙なスリラー映画だ。

 主人公はおとなしい青年ジェリー(レイノルズ)。工場で働く一見普通の男だ。しかし、帰宅後にもう一つの顔が現れる。ペットの犬と猫と話し始めるのだ。破壊と暴力をささやく邪悪な猫のミスター・ウィスカース。慈悲深くジェリーを諭す犬のボスコ。2匹はいわば「天使と悪魔」的な存在だ。ジェリーはある理由から、裁判所の命令で精神科医(ジャッキー・ウィーヴァー)のカウンセリングを受けていた。

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 そんなジェリーはある日、憧れの女性フィオナ(ジェマ・アータートン)にデートをすっぽかされる。しかし偶然帰り道で彼女に遭遇。車で送り届ける途中、鹿をはねてしまう。そこで隠していた本性が顔を出してしまった。ジェリーの裏の顔を見たフィオナは殺され、放置された。

 翌日。ジェリーはフィオナの死体を家に持ち帰り、解体して首を冷蔵庫に保管。フィオナの生首は、孤独なジェリーの話し相手になった――。

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 心を病み、二面性を持った男の物語といえば、アルフレッド・ヒッチコック監督の「サイコ」(60)を思い出す。それまで好青年役が多かったアンソニー・パーキンスが、裏表の顔を見事に演じ分け、観る者に衝撃を与えた。

 今回のレイノルズも同様だ。他人に合わせるおとなしい表の顔。闇に転じた裏の顔。新境地の演技を見せている。フィオナを演じたアータートン、「マイレージ、マイライフ」(10)が印象的なアナ・ケンドリツクも、従来のイメージを覆す役を軽快に好演。凄惨な物語を浄化させている。

 かなり残酷なジェリーの脳内世界を、大胆なビジュアル化により美化した。凄惨さは打ち消され、ポップでシュールな味わいに変換。監督のセンスが際立つブラックな佳作に仕上がった。

(文・藤枝正稔)

「ハッピーボイス・キラー」(2014年、米国)

監督:マルジャン・サトラピ
出演:ライアン・レイノルズ、ジェマ・アータートン、アナ・ケンドリック、ジャッキー・ウィーバー、アディ・シャンカール

2015年9月19日(土)、シネマート新宿ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://happy-voice.jp/

作品写真:(c)2014 SERIAL KILLER, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

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posted by 映画の森 at 10:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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