2015年07月17日

「奇跡の2000マイル」女性一人、砂漠を行く ワシコウスカ熱演

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 1975年、オーストラリア中部の田舎町、アリス・スプリングス。都会での生活に空しさを感じたロビン・デヴィッドソンは、ある目的を持ってこの町にやってくる。「砂漠2000マイル(約3000キロ)を、たった一人で踏破する」無謀な冒険への挑戦だった――。

 デヴィッドソン自身の手になる回顧録「TRACKS」の映画化である。主人公のロビンが、旅に必要なラクダや資金を得るために、牧場や農家で働く序盤。彼女の撮影係を務めるカメラマンと定期的に合流し、案内役のアボリジニ(先住民)が同行する中盤。インド洋に面した西海岸を目指し、いよいよ一人きりで旅をする終盤。準備から決行、そして結末まで時系列に沿ってストーリーが進む。

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 嵐で荷物が吹き飛ばされる。ラクダが逃走してしまう。磁石を落としてしまう。物語が進行する中で、さまざまなトラブルや事件が起こる。ロビンはそれらを克服しながら、人間として成長していく。そのプロセスが、いくつもの印象的なエピソードとともに描かれる。

 もちろん、悪いことばかりではない。たとえば、最初はうっとうしく思ったカメラマンのリックとの関係。ロビンとリックとの距離が徐々に縮まっていく経緯は興味深く、本作の見どころの一つとなっている。

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 ロビンに扮するのは、「イノセント・ガーデン」(13)などで注目された若手の実力派ミア・ワシコウスカ。7カ月の旅でロビンが経験する孤独、不安、恐れ、悲しみ、喜び、絶望、希望……ありとあらゆる感情を、繊細かつリアルに表現してのけるワシコウスカの演技は、観客の目を釘付けにするだろう。

 朝、昼、夜と多彩に表情を変える砂漠の光景。フィルムで撮影された映像の美しさに、思わず息をのむ。砂漠を背景に愛犬とラクダ4頭を引き連れさすらうロビンの姿も、まるで絵画のようである。ワシコウスカの熱演とともに、卓越した映像美も堪能してほしい。

(文・沢宮亘理)

「奇跡の2000マイル」(2013年、オーストラリア)

監督:ジョン・カラン
出演:ミア・ワシコウスカ、アダム・ドライバー
2015年7月18日(土)、有楽町スバル座、新宿武蔵野館ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.kisekino2000mile.com

作品写真:(c)2013 SEE-SAW (TRACKS) HOLDINGS PTY LIMITED, A.P. FACILITIES PTY LIMITED, SCREEN AUSTRALIA, SOUTH AUSTRALIAN FILM CORPORATION, SCREEN NSW AND ADELAIDE FILM FESTIVAL
posted by 映画の森 at 09:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | オーストラリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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