2015年07月02日

「“記憶”と生きる」明かされる戦争犯罪 赤裸々に語る元慰安婦たち

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 韓国人元慰安婦たちの証言を記録したドキュメンタリーである。慰安婦にされた経緯と慰安所での過酷な日々が、彼女たち自身の口から生々しく語られる。

 「豊かな暮らしができるから」という甘言にだまされ、慰安婦として生きることを強いられた彼女たち。第1部では「ナヌム(分かち合い)の家」で共同生活を送る彼女たちが、それぞれの筆舌に尽くしがたい思いを吐露していく。

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 当時、大半がまだ十代だった彼女たち。工場労働や看護の仕事と信じて、実際に連れて行かれた先は、ビルマやラバウル、台湾などの慰安所だった。無理やり純潔を奪われた。妾(めかけ)にされた。思い出したくもない悪夢のような記憶。「日本人に真実を知ってほしい」との執念だろう、赤裸々に過去を明かしていく。

 第2部は、そんな元慰安婦の一人、姜徳景(カン・ドクキョン)に焦点を当て、その人間像に迫る。彼女は女子挺身隊として富山県の鋼材会社に勤務するが、重労働に耐え切れず脱走。軍人に捕まり、強姦され、慰安所に送られた。

 戦後は持ち前の画才を発揮し、凄絶な体験を絵画に描き発表する。歯に衣を着せぬ物言いで、日本の戦争犯罪を追及する彼女。その絵画もまた、直截(ちょくせつ)で容赦がない。戦争の最高責任者を糾弾する2枚の絵。そこに表現された憎悪の念の凄まじさと処罰感情の苛(か)烈さに、思わずたじろぐ。

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 「沈黙を破る」(09)、「異国に生きる 日本の中のビルマ人」(13)など、パレスチナやアジアに関するドキュメンタリーの秀作で知られる土井敏邦監督が、94年から96年にかけて撮影した百数十時間の映像を編集した作品。元慰安婦たちはすでにこの世にいないが、記録は不滅である。侵略戦争の実態に光をあてた貴重な資料として、万人必見の価値がある。

(文・沢宮亘理)

「“記憶”と生きる」(2015年、日本)

監督:土井敏邦

2015年7月4日(土)、渋谷アップリンクほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.doi-toshikuni.net/j/kioku/

作品写真:(c)安世鴻
posted by 映画の森 at 10:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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