2014年11月06日

「サボタージュ」円熟シュワルツェネッガー新境地 二転三転、重厚な推理劇

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 ハリウッドを代表するアクション俳優、アーノルド・シュワルツェネッガー。「ターミネーター」(84)のジェームズ・キャメロンらそうそうたる監督と組んできた彼が、最新作で指名したのがデビッド・エアーだ。ロスを舞台に警官ドラマを主観映像で描く「エンド・オブ・ウォッチ」(12)を見て、監督に声をかけたという。

 冒頭からシュワルツェネッガーは過去にない役作りを見せる。五分刈りの白髪頭。首に大きな刺青。老け込んだ外見にまず驚かされる。男はテレビを見ている。覆面犯人に拷問される女が映っている。シュワルツェネッガー演じる男、ジョン・ウーォトンは画面を見ながら苦悶の表情を見せる。短いカットの幕開けは、のちのドラマの重要な糸口になる。

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 8カ月後。麻薬取締局を率いるウォートンは、犯罪組織摘発で大きな功績を上げてきた。密売組織の味とを奇襲するため、部下を率いて乗り込むウォートン。手際よく敵を抑えるが、組織の隠し金1000万ドルが現場から消え、ウォートンのチームのメンバーの命が狙われる──。

 エアーは 「トレーニングデイ」(01)、「S.W.A.T.」(03)などの脚本を書いた後、犯罪映画「バッドタイム」(05、日本未公開)で初メガホンを取った。正面からではなく、裏からリアルな警官たちを描いてきた。今回は麻薬取締局の特殊部隊が主役となる。

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 ドラマは二転三転する。容疑者、被害者が入り乱れ、立場は逆転し、殺人事件が推理劇へ発展していく。死の恐怖、疑心暗鬼と人間心理をうまく取り込み、ウォートンと女性捜査官の犯人探しが進行する。

 エアーは「トレーニングデイ」でデンゼル・ワシントンのクリーンなイメージを返上し、悪役をあてて新たな一面を引き出し、米アカデミー主演男優賞獲得につなげた。今回はシュワルツェネッガーに二面性を与え、キャラクターを複雑にしている。観客が持つイメージを逆手に取ることで、異色のアクションドラマが仕上がった。

(文・藤枝正稔)

「サボタージュ」(2014年、米国)

監督:デビッド・エアー
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、サム・ワーシントン、オリビア・ウィリアムズ、テレンス・ハワード、ジョー・マンガニエロ

2014年11月7日(金)、TOHOシネマズみゆき座ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.sabotage-movie.jp/

作品写真:(C)2013 DEA Productions, LLC All Rights Reserved.

posted by 映画の森 at 07:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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