2014年04月24日

「バチカンで逢いましょう」 マリアンネ・ゼーゲブレヒトに聞く 「私にとって運命の映画。再び世界へ連れ出してくれた」

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 ローマ法王に会うため、カナダから単身バチカンを訪れたマルガレーテ。念願かなって謁見に臨むが、大失態を犯して窮地に陥る。救いの手を伸ばしてくれたのは、老詐欺師のロレンツォだった。マルガレーテはひょんなことから、ロレンツォのレストランを手伝うことになるが――。

 「バグダッド・カフェ」(87)のマリアンネ・ゼーゲブレヒトが久々にヒロイン役を演じた「バチカンで逢いましょう」。ゼーゲブレヒトは「この映画は、私をもう一度世界へと連れ出してくれた運命の映画です」と語った。

女優として再スタート 「ちょうどいい機会」

 日本での主演作公開は、89年の「ロザリー・ゴーズ・ショッピング」以来25年ぶり。「バグダッド・カフェ」同様、パーシー・アドロン監督と組んだこの作品も世界中で大ヒット。ハリウッドに招かれ、マイケル・ダグラス主演の「ローズ家の戦争」(89)にも出演した。国際的な注目も高まったが、その後表舞台から遠ざかる。きっかけの一つとなったのが「ティシュペーパーの宣伝に『バグダッド・カフェ』の一部を使いたい」という広告会社の申し出だった。

 「私の魂がこもった大切な映画。切り売りするなんて許せなかった。世界中を“ティシュペーパーおばさん”になって駆け巡るのはごめんだった(笑)。契約していれば大金が転がり込んでいたはず。マネージメント側は激怒した。『何様だと思っているんだ』と。私の立場は悪くなった。それで一線から退くことになったんです」

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 かねて興味を抱いていた医療分野に関する本を書いたり、ハーブを育てたりしながら、年に1回テレビ映画に出演。時には独立系の映画に出ることも。そんな静かな日々を送っていたところ、原案者のクラウディア・カサグランデから「バチカンで逢いましょう」の企画を持ちかけられた。

 「彼女が自分のおばあさんについて書いた話。『私のおばあさんを演じられるのはあなたしかいない。ぜひやってほしい』と口説かれ、じゃあやらせていただこうと。女優として再スタートするちょうどいい機会だとも思ったんです」

地元のドイツではない 一番遠い日本から

 それ以前にもメジャーな作品への出演依頼はあった。アーノルド・シュワルツェネッガー主演の「エンド・オブ・デイズ」(99)、アルフォンソ・キュアロン監督の「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」(04)、クライブ・オーウェン主演の「トゥモロー・ワールド」(06)。どれも役柄が納得できないなどの理由で断っていた。

 「ウディ・アレンにもオファーされた。その時は『5日後に撮影に入るから』と無茶を言われ、無理だと」(笑)

 決してメジャーな映画を拒否したわけではない。心の準備はできていた。「バチカンで逢いましょう」は、満を持してのカムバックといえるかもしれない。

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 「1本1本の映画にそれぞれが持つ運命があると思う。この映画は私をもう一度世界へ連れて行ってくれる。そんな運命を持った映画なのでしょうね」

 今回宣伝で来日すると決まった時、脳裏に浮かんだことがある。ベルリン国際映画祭で上映された「シュガー・ベイビー」(84)を世界で最初に買い付けたのが、日本の配給会社だったこと。同作は日本を皮切りに世界中で上映されて大ヒットし、続く「バグダッド・カフェ」の大成功につながった。

 「地元のドイツからではなく、一番遠い日本から始まったことに、神秘的な力を感じる。あの時はだめだったけれど、今回は来日できた。やはり私を世界に連れ出してくれる映画なのだと思いますね」

ジャンニーニのイタリア語 自然に反応できた

 その運命的な映画で、ゼーゲブレヒトと運命的な出会いを果たすのが、イタリアの名優ジャンカルロ・ジャンニーニだ。ゼーゲブレヒト自身が共演を熱望したという。

 「ジャンニーニさんはちょうどボンド映画(『007 慰めの報酬』)に出演中だったので、実現は難しいかもしれないと思った。でも彼も私のファンで『マリアンネ・ゼーゲブレヒトが出るならぜひ』と引き受けてくれた。尊敬していた彼と共演できてうれしかった」

 イタリア人のジャンニーニと、ドイツ人のゼーゲブレヒト。コミュニケーションで困ることはなかったのか。

 「ジャンニーニさんは国際経験が豊富なので英語も達者。プライベートでは英語で話しました。演技中、彼がイタリア語で話している時も問題はなかった。私はイタリア語のリズムが好きだし、ごく自然に反応できる。2カ国語で演技しなければならない時、大きな目で相手を見つめながら、いつ話し出したらよいかタイミングをはかる人もいますが(笑)、私は自然体で反応できる。ジャンニーニさんも同じでしたね」

“愛と情熱”へのお目こぼし イタリアでは警察も

 2人が初めて出会うバチカンのシーン。マルガレーテ(ゼーゲブレヒト)が、詐欺師のロレンツォ(ジャンニーニ)に護身用のスプレーをかけようとするが、誤ってローマ法王の顔にかかってしまう。
 
 「これは実話。実際には顔にかからず、衣服を汚した程度。マルガレーテはすぐ警備員につかまりますが、なんとあれはバチカンの本物の警備員。捕まった時はドキドキしました(笑)」

 警察で尋問を受けるマルガレーテを、ロレンツォが救い出す。

 「ロレンツォが助けてくれるシーンは、本当に感動的でした。ジャンニーニさんの演技がとても情熱的で。イタリア人はみな愛と情熱に弱い。『愛のせいだ、嫉妬のせいだ』と言えば、警察もお目こぼししてくれる。そんな素晴らしいシーン。イタリアで初日に撮ったのでとても印象に残っています」

 撮影中は亡きマルガレーテの魂が自分と一緒にいてくれるようで、幸せな気持ちだったという。

 「スタッフや共演者とも仲よくさせてもらった。素晴らしい経験でした」

(文・写真 沢宮亘理)

「バチカンで逢いましょう」(2012年、ドイツ)

監督:トミー・ヴィガント
出演:マリアンネ・ゼーゲブレヒト、ジャンカルロ・ジャンニーニ、アネット・フィラー、ミリアム・シュタイン

2014年4月26日(土)、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.cinematravellers.com/

作品写真:(C) 2012 Sperl Productions GmbH, Arden Film GmbH, SevenPictures Film GmbH, Co-Produktionsgesellschaft “Oma in Roma” GmbH &Co. KG, licensed by Global Screen GmbH.
posted by 映画の森 at 08:02 | Comment(0) | TrackBack(1) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Tracked: 2014-12-27 21:27