2013年04月22日

コラム「アジア電影放浪録」スタート 台湾のスーパーバンド・五月天(Mayday)、flumpoolと初共演 言葉の壁越え一つに

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 映画の森ではこのたび、コラム「アジア電影放浪録」をスタートします。「電影」は中国語で「映画」を意味します。映画だけでなく、音楽や舞台など広くアジアの文化を取り上げる予定です。

 筆者は遠海安。これまでに中国、香港、台湾、マレーシア、インドネシアに通算約7年在住。映画や音楽を追って各地を放浪した軌跡を、独断(!)と愛情と期待を込めてお伝えします。

 第1回は台湾のロックバンド「五月天(Mayday、メイデイ)」。東京・NHKホールで4月17日、環境保全を訴えるコンサート「EARTH×HEART(アース・バイ・ハート)2013」が行われ、日本の人気バンド・flumpoolと初共演しました。

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 五月天の人気のすごさを、どう伝えればいいか。

 台湾でも中国でも香港でも、コンサートのチケットは瞬時で完売だ。圧巻だったのは2012年4月末、北京五輪メーン会場“鳥の巣”で行われた2日連続公演。「約20万席が数分で売り切れた」と伝えられた。さらに昨年末の台湾・高雄公演。チケット発売窓口となったコンビニチェーンは、台北中の店舗という店舗に長い列ができた。

 中国の“つぶやき”サイト・微博(ウェイボー)で、ボーカル・阿信(アシン)のフォロワーは1400万人を超えている。阿信がフェイスブックに書き込めば、あっという間に数万件の「いいね!」がつく。中華圏、いや華人の住む世界中にファンを抱えるスーパーバンドなのだ。

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 五月天の何が、それほど人を引き付けるのか。

 デビューは1999年。メンバーは阿信、ギターの怪獣(モンスター)、石頭(ストーン)、ベースの瑪莎(マサ)、ドラムの冠佑(ミン)の5人で、これまでにオリジナルアルバム8枚を発表している。

 彼らの魅力はなんといっても、阿信を中心に生まれる楽曲の良さだろう。メンバーは三十代後半に入ったが、ファンの中心はいつも十代、二十代だ。阿信が書く詞は、若さゆえの悩みや葛藤を、分かりやすい言葉ですくい上げる。ツアー名が象徴している。07年の「離開地球表面 Jump! The World(地球を離れる)」、09年の「DNA創造(遺伝子を作り出す)」。鬱屈する若者たちは思うのかもしれない。「ここを離れてどこかへ行きたい。自分の道は自分で決めたい。この苦しみを、五月天は分かってくれる」と。

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 そんな五月天にとって、日本は近くて遠い場所だった。

 日本との縁は深い。レコーディングでメンバーは繰り返し来日し、阿信は日本旅行の思い出をまとめた書籍も出版している。日本の人気バンド、GLAYとは10年来の交流がある。しかし、中華圏ではスタジアムを連日満員にする五月天も、日本ではなかなか知名度が上がらなかった。06年以降は単独公演も行うが、ライブハウス規模の会場が続いていた。

 今回の「EARTH×HEART」参加は、階段を一歩上がるきっかけになっただろう。言葉の壁を破るため、二つのバンドはともに強い意志を見せた。flumpoolは3月、初の台北単独公演を成功。メンバーは壇上から流暢な中国語で語りかけ、詰めかけた台湾のファンを喜ばせた。初共演を前に五月天はflumpoolの「証(あかし)」を中国語で、flumpoolは五月天の「OAOA」を日本語でカバー。会場のスクリーンには、五月天の歌詞が日本語、flumpoolの歌詞が中国語で映し出された。

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 満席となったNHKホールは、日本語と中国語の声援が飛び交い、熱気に満ちていた。阿信は日本語で「緊張している」と、いつも以上に真剣な表情。flumpoolのボーカル・山村隆太は、阿信に中国語で一生懸命話しかけ、場をなごませる。最後は全員が中国語と日本語で「証」と「OAOA」。五月天、flumpoolのファンとも総立ちで声を合わせた。
 
 五月天を長く応援してきた日本のファンの一人は、ライブの後に涙ぐんだ。「阿信の歌を日本語で聴けるなんて」。音楽は国境を越える。実は簡単なようで難しい道のりかもしれない。しかしこの日は会場の誰もが、確かな手ごたえを感じただろう。

(文・遠海安)

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「EARTH×HEART 2013」のライブの模様は、4月22日(月)19:00〜21:00、TOKYO FMほかJFN全国38局のほか、台湾UFOなど海外FM局でも放送される。

「EARTH×HEART 2013」公式サイト

http://www.tfm.co.jp/ehl2013/index.html
posted by 映画の森 at 08:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 台湾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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