2013年01月24日

「ナイトピープル」 本当のワルは誰だ!? 二転三転、予測不能サスペンス

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 盛り場の片隅にひっそりたたずむバー“Night People”。そこに一人の女が入ってくる。杉野萌子と名乗り、「働かせてほしい」と言う。正体不明ではあるが美人。マスターの木村信治は、ひと目で気に入り、雇うことにした。かつて愛した女の面影を宿す萌子。水商売の経験はなかったが、ほどなく店の雰囲気にもなじみ、常連客にも親しまれる存在になっていく。信治もそんな萌子へ徐々に情を移していった。

 ところが、ある日、曽根という刑事が来店し、萌子の驚くべき過去を信治に伝える。曽根によると、萌子は3年前、大石という男と共謀して大物議員の邸宅に押し入り、2億円の隠し財産を強奪した犯人とのこと。まだ発見されていない2億円は萌子が持っているはずだという。

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 問い質す信治に、「金のありかは知らない。罪はもう償った」と答える萌子。信治は萌子の言葉を信じる。だが、その後、再び曽根が現れ、客がいる前で「萌子が強盗犯だ」とわめきたてた。いたたまれず外に飛び出した萌子を信治は追った――。

 前科を持つ女、萌子。萌子の過去を知り、追及の手を緩めない刑事、曽根。前科者である萌子を愛してしまった信治。ありがちな相関図のもとで物語が展開していくと思いきや、次々と新しい事実が浮上。そのたびに3者の関係は揺れ動く。

 萌子が信治に告げる恐るべき計画。ナイーブな男に見えた信治の意外な過去。萌子を追う曽根の真の目的。いずれも、どこまで本当か分からない。相手をあざむくためのうそなのではないか。ハメようとしているのではないか。疑心暗鬼の心理戦。

 本当は誰がワルなのか。最後に笑うのは誰か。二転三転、いや四転五転のめまぐるしい展開に、何度も予想を裏切られたあげく、ラストに見せられる鮮やかな決着。アクロバティックな手並みには、ただうなるしかない。

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 逢坂剛の短編小説「都会の野獣」を、「休暇」(07)の門井肇監督が映画化。原作のドンデン返しをさらに多重化したうえ、現金強奪、銃撃シーンを加えることで、映画的な面白さあふれる一級の娯楽作品に仕立てた。萌子役の佐藤江梨子、信治役の北村一輝、曽根役の杉本哲太、3人の火花散る演技合戦も見ものである。

(文・沢宮亘理)

「ナイトピープル」(2012年、日本)

監督:門井肇
出演:佐藤江梨子、北村一輝、杉本哲太、若村麻由美、伊佐山ひろ子

1月26日、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.u-picc.com/nightpeople/

作品写真:「ナイトピープル」製作委員会
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posted by 映画の森 at 08:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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