2012年12月22日

「サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ」 古きは消える運命か キアヌ・リーブスが聞く 撮影技術の新旧交代

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 映画の撮影技術に、新旧交代の時期が訪れている。フィルムは消える運命なのか。デジタルの未来に不安はないのか。マーティン・スコセッシ、ジョージ・ルーカス、ジェームズ・キャメロン、デビッド・フィンチャー──世界の映画界を代表する作り手数十人に、俳優のキアヌ・リーブスが問いかける。

 監督たちの多くは、デジタル技術を歓迎する。カメラは軽くなり、撮った映像をその場で確認でき、特殊効果も容易になった。「新たな改革にわくわくしている」(スコセッシ)、「可能性の扉が開いた」(キャメロン)、「デジタルを見下す人は、金の卵を産むガチョウを殺すのさ」(フィンチャー)。ルーカス、スティーブン・ソダーバーグ、ウォシャウスキー兄弟、ラース・フォン・トリアー、ダニー・ボイル。監督たちはそれぞれに新技術を受け入れ、新たな表現の可能性に期待を抱いている。

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 一方で、フィルムの素晴らしさを強調する監督もいる。「ダークナイト」シリーズのクリストファー・ノーランだ。「デジタルでできることは、一見魅力的だが中身がない。焼きたては軟らかくておいしいが、数カ月たつとまずくなるクッキーのようだ」。厳しい言葉を並べる監督の表情に、フィルムへの愛情がにじむ。

 現場でカメラを動かす撮影監督の口からも、フィルムへの愛着がこぼれる。「フローズン・リバー」のリード・モラーノは「独特の質感が魅力。温かみある味わいに心が癒される」。ノーラン監督の「インセプション」を撮ったウォーリー・フィスターは「(デジタルを使うのは)油彩画を捨てクレヨンを使うようなもの。僕は一番最後までフィルムを使う撮影監督になる。でも10年以内にデジタルを使うだろう」と揺れる心の内を見せる。

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 題名の「サイド・バイ・サイド」とは「(フィルムとデジタルが)隣り合って」の意味。作品を企画・製作したキアヌ・リーブスは、どちらの側につくこともなく、監督たちの言葉を引き出していく。「僕はフィルムの黄金時代に映画界で育った。どちらがいいとはいえないが、フィルム撮影に郷愁を感じる」と打ち明けつつ、穏やかで公正な審判のように、撮影技術の劇的な変化を見届ける。

 観客はそうそうたる顔ぶれを眺めながら、彼らが生んだ傑作の数々を思い返し、少し感傷的になるかもしれない。しかし、デビッド・リンチの一言に、はっと我に返るだろう。

 「全員に紙と鉛筆を持たせたからといって、秀逸な物語がたくさん生まれるわけじゃない。今の映画界と同じだよ」

 (文・遠海安)

「サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ」(2012年、米国)

監督:クリス・ケニーリー
出演:キアヌ・リーブス、マーティン・スコセッシ、ジョージ・ルーカス、ジェームズ・キャメロン、デビッド・フィンチャー、デビッド・リンチ、クリストファー・ノーラン、スティーブン・ソダーバーグ、ラナ&アンディ・ウォシャウスキー、ラース・フォン・トリアー、ダニー・ボイル

12月22日、新宿武蔵野館、渋谷アップリンクほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.uplink.co.jp/sidebyside/

作品写真:(C)2012 Company Films LLC all rights reserved.
posted by 映画の森 at 10:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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