2012年11月27日

「ボス その男シヴァージ」 インド映画のスーパースター・ラジニ、大作ひっさげ現る

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 日本でも大ヒットした「ムトゥ踊るマハラジャ」(95)の主演でインド映画のスーパースター、ラジニカーント。その後日本でのインド映画人気は低迷していたが、今春公開された「ロボット(10)がヒットを飛ばし、第2の“ラジニ・ブーム”が起きた。「ボス その男シヴァージ」(07)は製作費約21億8000万円(当時)、上映時間3時間5分の超大作だ。監督は「ロボット」のシャンカール。

 主人公のシヴァージ(ラジニカーント)が警察に逮捕され、護送されるシーンで映画は幕を開ける。護送車を待ち受けるのは町を埋めた騒乱状態の群衆で、「ラジニカーントが逮捕された」と勘違いしているらしい。時はさかのぼり、米国帰りの実業家シヴァージの人生が描かれる。米で手にした資金を元手にシヴァージは親戚のおじさん(ヴィヴェク)と、南インドの故郷チェンナイで貧しい人々のため、無料の学校や病院建設を計画する。

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 そこに悪徳企業家アーディセーシャン(スマン)が登場。裏金を使って計画を中止に追い込もうとする。これに並行してシヴァージの嫁さん探しに奮闘する両親らの話が展開。シヴァージは街でタミル(シュリヤー)を見かけて一目ぼれ。家族総出でタミルの家への押しかけてお見合い、結婚にいたる。順調に計画を進めていたシヴァージだったが、アーディセーシャンの裏工作で破産に追い込まれる。丸裸にされたシヴァージはスキンヘッドの別人に化け、人々の前に再び登場。手段を選ばずのし上がる道を選択する。貧しい人々から「ボス」と呼ばれたヒーローはアンチヒーローとなり、悪徳企業家に復讐の刃を突き付ける。

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 インドの往年の名優、シヴァージ・ガネーシャの人生をモチーフに作られた。山あり谷あり、波瀾万丈の劇的な人生がインド映画流に料理された。マサラ・ムービーならではのコメディー、アクション、ミュージカルなど、観客の心をわしづかみにする娯楽要素満載だ。描き方は香港コメディーに通じるベタな手法で、ド派手なアクションは「マトリックス」以降のワイヤー、VFXを駆使するが、ハリウッドのそれとは一味違う。香港の周星馳(チャウ・シンチー)が描く「少林サッカー」、「カンフーハッスル」など、漫画的な特撮にどこか通じるものがある。

 インド映画恒例の圧巻のミュージカルシーン。物語と別次元である主人公の脳内世界を、音楽PV風ミュージカルとして表現。ミュージカルパートはエキストラ数百人を従え、スタジオの豪華セットや屋外で歌い踊る。大金を投じた豪華絢爛な映像に一見の価値がある。

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 しかし、なんといっても作品の肝はラジニカーントの存在だ。撮影時は50代後半のラジニが、劇中では20〜30代の青年役を演じ、若い女優と恋愛劇を展開。歌い踊ってワイヤーアクション、スタントまでこなす。手から手へコインを転がしポケットに入れるポーズや、ガムを口へ放り込むポーズは、効果音まで付けられ“決め”のシーンとして何度も披露。長尺だけにややだれるところもあるが、新たなインド映画の勢いを証明した作品である。

(文・藤枝正稔)

「ボス その男シヴァージ」(2007年、インド)

監督:シャンカール
出演:ラジニカーント、シュリヤー・サラン、スマン

12月1日、シネマート新宿ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.masala-movie.com/sivaji/

作品写真:(C)2007 Ayngaran International (UK)Ltd. All Rights Reserved.
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posted by 映画の森 at 10:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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