
アジアを中心に新たな才能を発掘する映画祭「第13回東京フィルメックス」が11月23日、東京・有楽町朝日ホールをメーン会場に開幕した。今年はコンペティション部門9作品、特別招待作品12作品を上映するほか、特別企画・木下恵介生誕100年祭なども開催される。初日は開幕作品「3人のアンヌ」の韓国ホン・サンス監督が舞台あいさつ。「私の映画は皆さんにとって見慣れないかもしれない。心を開いて自由に見てほしい」と語った=写真上。
開幕式典ではディレクターの林加奈子氏が「人生はいろいろあるから苦しいけれど美しい。映画に支えられ今日を迎えている。今年は新作だけでなくイスラエルの傑作4本、木下恵介監督特集も用意した。充実の10日間が始まります」と開幕宣言した。

また、審査委員長を務めるSABU監督は「毎年楽しみにしている映画祭。すごい審査員たちと一緒に見るのは、若干怖いけれど楽しみ」と話した=写真中。
「3人のアンヌ」上映後は、ホン・サンス監督が観客との質疑応答に参加。韓国の海辺を舞台に、仏人女優のイザベル・ユペールが主演。ユペール演じるアンヌが、同じ場所、同じ人々に異なる状況で出会う光景を、三つのエピソードでオムニバス的に構成した。

監督は「人は映画を見ることで“意味”を感じる。意味は世界を眺める時の道具だ。しかし私たちが人生を振り返る時、日常使っている“意味”を通すだけではつまらない。短編的な三つの要素を並べることで、新しい意味の誕生を狙った。一つのメッセージやテーマを伝えたいのではなく、構造のぶつかり合いの中から、別の意味を生み出したかった」と話した=写真下。
12月1日には最優秀作品賞、観客賞などが発表される。2日まで。上映スケジュールなど詳細は公式サイトまで。
http://filmex.net/2012/
(文・遠海安 写真・岩渕弘美)

「3人のアンヌ」(2012年、韓国)
監督:ホン・サンス
出演:イザベル・ユペール、ユ・ジュンサン、チョン・ユミ、ムン・ソリ、ムン・ソングン、ユン・ヨジョン
13年初夏、シネマート新宿、シネマート心斎橋で公開。