2010年12月01日

第11回東京フィルメックス閉幕 最優秀作品賞は内田伸輝監督「ふゆの獣」

審査員特別賞はハオ・ジェ監督「独身男」 観客賞は想田和弘監督「Peace」

第11回東京フィルメックス閉幕.jpg

 第11回東京フィルメックスが11月28日、閉幕した。コンペティション部門の最優秀作品賞は内田伸輝監督の「ふゆの獣」、審査員特別賞 コダックVISIONアワードは中国・郝杰(ハオ・ジェ)監督の「独身男」、観客賞は想田和弘監督の「Peace」が受賞。東京・有楽町で同日、閉幕セレモニーと授賞式が行われた=写真1。

内田伸輝監督「日本の自主映画は高レベル。どんどん前へ出て」
 「ふゆの獣」は、内田監督=写真2=の長編3作品目。同僚同士の男女4人が、それぞれひかれ合い、激しく感情をぶつけ合う情景を描く。同監督は「(受賞は)予想できなかった。(コンペ出品作は)すごい作品ばかり。毎日楽しく勉強させてもらった一週間だった」と驚いた様子。「ふゆの獣」について「自主(製作)映画として、予算110万円で作った。日本の自主映画は本当にレベルが高い。この受賞を機に、どんどん前に出てきてくれれば」と話した。主演の加藤めぐみは、涙で声を詰まらせ「上映されて、皆さんに観てもらえるだけでうれしかった。素晴らしい賞を頂けて本当にうれしい。私たち俳優を信じてくれた監督にも感謝している」と語った=写真3・「ふゆの獣」の出演者ら。

「ふゆの獣」内田伸輝監督.jpg 「ふゆの獣」出演者たち.jpg

ハオ・ジェ監督 完成見ずに逝った父へ「あなたの息子は、頑張っています」
 中国の農村に存在する人間の性欲と社会問題を、中立の視点で描いた「独身男」。ハオ・ジェ監督=写真4=は北京電影学院出身で、長編第1作となる。「初めての長編で、出来が悪いところもある。足りない部分は、自分自身に不足しているところ。少しいい部分があるとすれば、作品に出てくれた村人たち、独身男のグループの人たちのおかげ。彼らといい関係が作れたことが、この映画のいいところでは」と話した。

「独身男」ハオ・ジェ監督.jpg

 さらに、ハオ監督は多くの関係者に感謝の言葉を述べた後、「個人的に一人の人に感謝することを許してほしい」と切り出し、一緒に脚本を書いたものの、製作準備中の2008年に他界した父への感謝の言葉を述べた。「別の場所から亡き父が見守り、応援してくれているのをいつも感じている」と監督。「お父さん、あなたの息子は大丈夫です。あなたの息子は頑張っています」と力強く語りかけると、会場は温かい拍手に包まれた。

想田和弘監督「観客賞は意外。出演した猫に感謝と土産を」
 観客賞「Peace」は、岡山で福祉関係の仕事に携わる夫婦の日常を、ナレーションや音楽を使わず、静かに追ったドキュメンタリー。自ら“観察映画”と名付けたスタイルに、想田監督は「作風が作風だけに、観客賞には縁がないと思っていた」と意外な表情。「出演してくれた猫たちのおかげ。今度岡山に帰る時は、好物の上等のアナゴを土産に用意しよう」とユーモアを交え、喜びの言葉を述べた=写真5。

「Peace」想田和弘監督.jpg

クロージング作品「詩」 イ・チャンドン監督「人生の美しさ描いた」
 続いて、クロージング作品の韓国映画「詩(仮題)」のイ・チャンドン監督=写真6=が舞台あいさつ。詩を書きながら孫と暮らす老女が、厳しい現実に向き合いつつ、自らの強さに気付く物語。今年のカンヌ国際映画祭で脚本賞を獲得した。「(前作の)『シークレット・サンシャイン』(07)以来3年ぶりに、皆さんにお会いできて本当にうれしい。きょう来ている皆さんは、映画を愛している人たちだと思う。同時に『詩』も愛してくれれば」と語った。「最近の人たちは詩を読まなくなったが、あえてタイトルにした」と説明。「映画には詩を教える場面、韓国で有名な詩人が講義や朗読する場面もある。突き詰めると人生の美しさも描いている。映画を見終えて帰るころ、『自分も詩を書いてみたい』と思ってもらえればうれしい」と話した。

「詩」イ・チャンドン監督.jpg

 また、ネクスト・マスターズ最優秀企画賞は、シンガポールの「Ilo Ilo」(アンソニー・チェン監督)、スペシャル・メンションはマレーシアの「IT MUST BE A CAMEL」(シャーロット・リム・レイ・クエン」が受賞した。

 第11回東京フィルメックスは11月20〜28日、東京・有楽町朝日ホール、東京国際フォーラム・ホールC、TOHOシネマズ日劇、東劇、銀座テアトルシネマで開催。詳細は公式サイトまで。

http://filmex.net/

(文・写真 岩渕弘美)
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posted by 映画の森 at 10:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京フィルメックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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