2008年11月12日

「蘇る玉虫厨子」 飛鳥の輝き 名工の手で現代に

蘇る玉虫厨子1_250.jpg

 現代の名工たちが、飛鳥時代の巧みの技を伝承し、さらに昇華させていく。

 飛鳥時代に作られ、法隆寺金堂に所蔵されている国宝「玉虫厨子(たまむしのずし)」。仏堂形の厨子は、その昔、推古天皇が拝んでいたとされる。当時の最高の匠たちの技で作られ、玉虫色の輝きを放っていたであろう厨子は、1400年の時の流れの中で、美しさも色彩も失っていた。

 中学校や高校の歴史の教科書や資料集で、必ず一度は目にしたことがある「玉虫厨子」。修学旅行などで実物を目にした人も多いと思う。写真で見る厨子は、黒い部分が多く、色彩は失われている。名の由来である玉虫の羽は、わずか金具の隅に残っているのみである。

 「国宝を蘇らせたい」。一大プロジェクトが始まった。発起人の実業家・中田金太氏(故人)は私財を投じ、「玉虫厨子」を復元し、さらにオリジナルの「平成の玉虫厨子」を制作する二大構想を進めていく。設計士、宮大工、彫師、蒔絵師、塗師など平成の名工たち。復元作業を通して1400年前の匠の技を見出し、学びながら自分自身の技に磨きをかけ、オリジナルの「平成の玉虫厨子」を作り出していく。

 気の遠くなる作業の繰り返しだ。玉虫の羽を細かく切り、一枚一枚貼り付けていく様子や、ほとんど判別できない図柄を読み取る作業は、凡人には真似できるものではない。そして、匠の手から生み出される作品は実に美しい。ドキュメンタリー映画「蘇る玉虫厨子」は、地道な作業と復元された作品、そしてオリジナルの作品を、スクリーンで見ることができる貴重な機会だ。上映時間64分は、4年をかけたプロジェクトの密度を考えると短すぎるように思う。

 いつか「玉虫厨子」を三つ並べて見てみたい。このドキュメンタリーを見た後ならば、違う角度で「玉虫厨子」を眺めることができるだろう。

(文・山田直市郎)

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「蘇る玉虫厨子(たまむしのずし)」(2008年、日本)

監督:乾弘明
出演・語り:三國連太郎
出演:大野玄妙(法隆寺管長)、故・中田金太、立野敏昭(蒔絵師)、中田秋夫(設計施工)、八野明・改田剛(宮大工)、山田耕健(彫師)、坂本茂雄(塗師)、森本安之助(錺=かざり=金具師)

11月29日、銀座テアトルシネマで公開。

作品写真:(c)平成プロジェクト
posted by 映画の森 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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