2009年02月25日

「マリア・カラスの真実」 波乱の歌と恋 記録映像でたどる

マリア・カラスの真実1_250.jpg

 2007年9月。マリア・カラス没後30年に、ミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座で上映されたドキュメンタリー映画が「マリア・カラスの真実」だ。20世紀最高の歌姫、マリア・カラスのドラマチックな人生が浮かび上がる。

 私はリアルタイムでマリア・カラスを知らない世代。CDや本、数少ない映像から彼女を想像してきた。これまでに恋愛や逸話をドラマに仕立てた映画も作られてきた。しかし、ドキュメンタリーである「マリア・カラスの真実」には、誇張も嘘もない。人生の完全な再現と見るば素晴らしい。貴重な音源、衣装、インタビュー映像などをもとに、生い立ちからオペラへの挑戦、恋愛など追っていく。偏りなく幅広いレパートリーを使用し、心情をのぞかせるような選曲はさすが。彼女自身が「洗練されすぎている」と評したモーツァルトや、「恋のために犠牲になる点が好き」と言ったベッリーニの「ノルマ」、ヴェルディの「椿姫」など全27曲が盛り込まれた。表現力豊かな歌声に身を委ねる、至福のひとときである。

 また、淡々としたナレーションも、“彼女自身が演じた”マリア・カラスというドラマチックな役柄を引き立てる。宝石でゴージャスに身を飾り、アイラインをきりっと引く。毅然とした態度を保ち、“歌に生き、恋に生きる”孤独を抱えつつ、壊れそうな内面を隠していた。時代を超えて多くの人に愛されながら、晩年「自分は必要とされていない」と語る姿は、なんとも悲哀に満ちている。

 オペラ初心者も、マリア・カラス崇拝者も、ぜひ見てほしい1本である。

(文・神崎奈緒)

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「マリア・カラスの真実」(2007年、仏)

監督:フィリップ・コーリー
出演:マリア・カラス、アリストレス・オナシス、ルキーノ・ヴィスコンティ、ピエル・パオロ・パゾリーニ、グレース・ケリー、ジャクリーン・ケネディ

3月28日、渋谷・ユーロスペースほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.cetera.co.jp/callas/

作品写真:(c) Publifoto - OLYCOM
posted by 映画の森 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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