2018年01月26日

「谷崎潤一郎原案 TANIZAKI TRIBUTE」舞台を現代に 耽美で濃厚な独自世界

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文豪・谷崎潤一郎の小説3作品を原案に、舞台を現代に置き換え、新進3監督が映画化したプロジェクト「谷崎潤一郎原案 TANIZAKI TRIBUTE」。2018年1月27日(土)から順次公開される。

「神と人との間」

 町医者の穂積(渋川清彦)と、親友で売れない漫画家の添田(戸次重幸)は、ともに熱帯魚屋で働く朝子(内田慈)に惚れている。穂積は朝子を譲り、添田と朝子は結婚する。しかし添田はすぐに愛人を作り、朝子を虐待し、穂積と朝子が不倫するようにけしかける。監督・脚本は「グレイトフルデッド」(14)、「下衆の愛」(16)の内田英治。

 谷崎が妻を友人の佐藤春夫に譲った「細君譲渡事件」を基にした短編小説が原案。屈折した愛情と奇妙な友情の間で、複雑に絡み合う三角関係を、監督は入念に描いた。いつもワイルド系な役が多い渋川が一転、ダサい衣装でとつとつとした抑えた演技。男の純愛を内面からにじみ出させ、哀愁を醸し出した。

「富美子の足」

 富豪の老人・塚越(でんでん)はデリヘルで見つけた富美子(片山萌美)を愛人にした。美しい足を偏愛して喜ぶ日々。フィギュア作家の甥・野田(渕上泰史)に、富美子の足の実物大フィギュア製作を依頼する。監督は「リュウグウノツカイ」(14)、「桜ノ雨」(16)のウエダアツシ。

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 女性の足に執着した老人のフェティシズムをでんでんが怪演する。老人の偏愛を受け入れた富美子だが、ストレスが限界に達すると、バッティングセンターで憂さ晴らし。しかし、センターは閉店してストレスの矛先は野田に向かい、眠っていたサディスティックな一面が開花する。富美子がマゾからサドへ変わり、リミッターが外れる後半が痛快だ。

「悪魔」

 大学入学のために上京した佐伯(吉村界人)は、閑静な住宅街にある林邸に下宿する。そこには大家の千枝と娘で高校生の照子(大野いと)、照子を偏愛する林家の親戚・鈴木(前田公輝)が住んでいた。監督は「オー!ファーザー」(14)の藤井道人。

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 谷崎の「悪魔」、「続悪魔」が原案。新しい環境に馴染めず、薬とアルコールに溺れる佐伯が幻覚から生み出す内なる悪魔。佐伯は照子や同級生・あゆみに惑わされ、小悪魔ぶりに翻弄され、崩壊していく。ホラー映画を思わせるダークなトーン、エロティシズムが融合したおぞましい作品だ。

「谷崎潤一郎原案 TANIZAKI TRIBUTE」で描かれる世界は、「鍵」、「痴人の愛」、「白日夢」、「卍」など、エロティシズムな作品群に近い。男の女に対する偏愛やフェティシズムなど、さまざまに屈折した愛を濃密に描いている。

(文・藤枝正稔)

「神と人との間」(2018年、日本)

監督:内田英治
出演:渋川清彦、戸次重幸、内田慈、山田キヌヲ、
萬歳光恵

「富美子の足」(2018年、日本)

監督:ウエダアツシ
出演:片山萌美、淵上泰史、武藤令子、山田真歩、福山翔大

「悪魔」(2018年、日本)

監督:藤井道人
出演:吉村界人、大野いと、前田公輝、遠藤新菜、山下容莉枝

2018年1月27日(土)、テアトル新宿ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://tanizakitribute.com/

作品写真:(C)「TANIZAKI TRIBUTE」製作委員会

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posted by 映画の森 at 13:25 | Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする