2017年10月18日

「セブン・シスターズ」ノオミ・ラパス、一人「7役」 変幻自在の役作り

1.jpg

 人口過多と食糧不足から、厳格な一人っ子政策が敷かれた近未来。2人目以降の子供は政府の児童分配局が親から引き離し、地球資源が回復する日まで冷凍保存する。セットマン家の7つ子姉妹は、唯一の身寄りである祖父に各曜日の名前が付けられた。それぞれ週1日ずつ外出し、共通の人格を演じて30歳まで生き延びた。しかし、ある日“月曜”が帰らず、姉妹の日常は狂い始める──。

 一度は「映像化は不可能」と判断されたものの、脚本が書き直され、ノルウェー出身のトミー・ウィルコラ監督が映像化した「セブン・シスターズ」。当初は男兄弟の話だったが、監督が「ラパスに演じさせたい」と希望。姉妹に設定を変えて実現したアクション・スリラーだ。

2.jpg

 近未来を描いたSF映画は、大きく二つに分けられる。当局による管理社会を描いたものと、核戦争などで荒廃した世界を描く「ディストピアもの」だ。今回は管理社会ものに分けられるだろう。

 遺伝子組み換え作物の影響で多胎児が増えたため、政府は一人っ子政策を徹底する。1人以外の子どもはすべて冷凍保存され、資源が回復した時に「解凍」される約束だ。人々の行動は厳しく管理され、いたるところに検問所がある。そんな中で生まれたのが、主人公の七つ子姉妹だった。

 母親が死んだため、七つ子は祖父テレンス・セットマン(ウィレム・デフォー)に引き取られ、アパートの隠し部屋で育てられる。曜日の名前を持つ7人は、共通の人格「カレン・セットマン」を演じ続ける。

 エリート銀行員となったカレンだったが、“月曜”が出勤したまま行方不明にに。足跡をたどった“火曜”もケイマン博士(グレン・クローズ)率いる児童分配局に連行され、残った5人にも当局の魔の手が迫っていた。

3.jpg

 「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(09)でブレイクしたスウェーデン出身のラパス。ハリウッド進出して活躍中だが、「プロメテウス」(12)、「ラプチャー 破裂」(16)と災難に見舞われる役が続く。性格の違う七姉妹を一人で演じた分けた変幻自在な役作りが際立ち、裏に人口増加に警鐘を鳴らす深刻なテーマが見え隠れする。不可能を可能にした斬新な映像技術と、ひねりが効いた切り口の近未来映画の佳作である。

(文・藤枝正稔)

「セブン・シスターズ」(2017年、英・米・仏・ベルギー)

監督:トミー・ウィルコラ
出演:ノオミ・ラパス、グレン・クローズ、ウィレム・デフォー、マーワン・ケンザリ、クリスティアン・ルーベク

2017年10月21日(土)、新宿シネマカリテほかで公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.7-sisters.com/

作品写真:(C)SEVEN SIBLINGS LIMITED AND SND 2016

タグ:レビュー
posted by 映画の森 at 15:26 | Comment(0) | 英国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする