2017年09月27日

「ユリゴコロ」初日舞台あいさつ 吉高由里子「引きずられ、摩耗した作品。涙を絞り出した」

ユリゴコロ舞台あいさつ2.jpg

 沼田まほかるのベストセラー小説を映画化した「ユリゴコロ」が2017年9月23日公開され、東京・新宿で主演の吉高由里子、松坂桃李、佐津川愛美、清野菜名、清原果耶、熊澤尚人監督が舞台挨拶した。

 松坂桃李演じる亮介が、父の部屋であるノートを発見。記された「殺人者の告白」の真相に迫る。過去と現在、愛情が絡み合い、真実にたどり着くサスペンスだ。絶望的な喪失感を抱えながら生きる主人公の美紗子を、吉高由里子が体当たりで演じている。

松坂.jpg 吉高.jpg

 吉高は上映後「自分が引きずられ、摩耗した作品。多くの人に見てもらいたい」とあいさつ。最後のシーンは「2日かかって撮影した。こめかみが切れるんじゃないかと思うくらい涙腺を絞り出して、ずっと泣いていた。毎カット、毎カット、本当に大変だった」と振り返った。

 一方、現在のパートで亮介を演じた松坂。出来上がった作品をみて「過去のパートにも出演したかった。過去と現在は静と動。静かな流れの中で動いていく過去パート。感情と空気感を肌で感じたかった」と話した。

ユリゴコロ舞台あいさつ1.jpg

 熊澤監督は「見終わって言葉にできない人、揺さぶられてる人がいると思う。主人公は矛盾と葛藤しながら生きていく。見終わって一日引っ張ると思う」と熱く語った。

 さらに熊澤監督は「吉高さんなくしては『ユリゴコロ』は作れなかった。血と涙を流しながら熱演してくれた。彼女の100年残る代表作だと思っている」と締めくくった。

(文・写真 岩渕弘美)

「ユリゴコロ」(2017年、日本)

監督:熊澤尚人
出演:吉高由里子、松坂桃李、松山ケンイチ、佐津川愛美、清野菜名

2017年9月23日(土)、新宿バルト9ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://yurigokoro-movie.jp/

作品写真:(C)沼田まほかる/双葉社 (C)2017「ユリゴコロ」製作委員会
posted by 映画の森 at 09:55 | Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月20日

「望郷」貫地谷しほり、大東駿介ら舞台あいさつ それぞれの葛藤乗り越え「多くの人に届けたい」

「望郷」あいさつ1.jpg

 湊かなえ原作の映画「望郷」が2017年9月16日公開され、東京・新宿で貫地谷しほり、大東駿介、木村多江、緒方直人、菊池健雄監督らがそろって舞台あいさつした。

 瀬戸内に浮かぶ島を舞台に、2人の主人公、2つの物語を描いた作品。「光の航路」の主役を演じた大東は「皆さんに見ていただけて感謝している。そういうことを改めて考えさせられる作品」と語った。「夢の国」の主役・貫地谷は「今まで、明るく、前向きな役柄を演じることが多かったので、新しい一歩となるいいチャンスになった」と振り返った。

貫地谷.jpg

 閉鎖的な島に生まれた主人公が、それぞれ親との葛藤やわだかまりに向き合う作品。大東は「自分の内側から今まで出したことがないような気持ちを引っ張り出してこないといけない。ひとつの挑戦ができるのかと思った」と話した。貫地谷の母親を演じた木村は「重い役。絶対に苦しいと思った。幸薄い役はやってきたけれど、毎回苦しい。自分を削って苦しい時間を過ごさなければいけない。一歩踏み出す勇気がいった」と苦労を口にした。

 監督は「(主演2人とは)初めてだったが、因島で撮影すると決めていた。大東君は地元の人の中に入り込み、一緒に飲みに行ったりするほどなじんでくれた」。大東は「造船が盛んだった時の面影が残っていて、建物からも過去の息づかいを感じた。子どもたちとも話した経験は、今後の役者人生を作るうえで貴重な体験になった」と話した。

大東.jpg

 緒方は「大東君は『ふらついている野心家』。撮影中もふらふらと人の現場に来たり、スタッフにちょっかいだしたり。でも、そこから得るものは大きい。生活感がにじみ出ている。それは彼がふらついているからです(笑)」とエピソードを披露。大東は「いろいろな人の思いがあって一つの映画になる。この船(映画)が多くの人に届けばいいなと思う」と、船出を祝うような初日となった。

(文・写真 岩渕弘美)

b1.jpg

「望郷」(2017年、日本)

監督:菊地健雄
出演:貫地谷しほり、大東駿介、木村多江、緒形直人、森岡龍

2017年9月16日(土)、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://bokyo.jp/

作品写真:(C)2017 avex digital Inc.
posted by 映画の森 at 09:09 | Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月16日

「望郷」一つの島、二人の主人公、二つの物語 親子の葛藤と絆 丁寧に掘り下げ

b1.jpg
 「告白」(10)の原作者・湊かなえの短編集「望郷」。一つの島を舞台にした6編の中から、「夢の国」と「光の航路」の2編を交差させ、1本の作品として完成させた。監督は「ハローグッバイ」(17)の菊池健雄。

「夢の国」

 古いしきたりを重んじる家庭に育った夢都子(貫地谷しほり)は、故郷にしばられ生きていた。幼い頃から本土にある遊園地“ドリームランド”を自由の象徴として憧れていたが、祖母(白川和子)や母(木村多江)と暮らす現実とは縁遠かった。

b2.jpg

 しきたりに固執する祖母と、祖母に言いなりの母。二人を見て育った夢都子の憤りが、ある事件を起こしてしまう。事件は人生に重くのしかかり、事件を見過ごした自分を責め、母と修復できない亀裂が生まれる。後に母となった夢都子は、自分を束縛していた内面と向き合う。

「光の航路」

 本土から9年ぶりに島へ転勤してきた教師の航(大東駿介)。ある日、教師だった父(緒形直人)の教え子を名乗る畑野が訪ねてくる。畑野は航が知らない父の姿を語り始める。

b3.jpg

 航の亡き父に対する思いが、航の主観と他者の客観で埋められ、父への誤解が解けていく。父と同じ教職に就いた航だったが、クラスで起きる陰湿ないじめに憔悴していた。畑野は学生時代にいじめられ、航の父に救われたという。畑野が語る話に航は驚き、ある真実を知る。

 一つの島、二人の主人公、二つの物語。成長過程を描きながら、それぞれ親へ抱いた葛藤やトラウマに向き合う。「夢の国」は暗く重苦しい空気で、親子の心のすれ違いと絆を描く。「光の航路」は父と息子のドラマを通じ、ミステリーのように過去と未来をつなぐ家族の絆を描いていく。

 独立する二つの話に連続性を持たせるため、主人公同士を友人に設定し、最初と最後で二人を交差させた。島の一大イベントである豪華客船の進水式。華々しく出航する船に人間の一生を重ねて語る。感動的な描写だ。

 重苦しく始まった物語は、曲折を経て最後は晴れやかに終わる。俳優たちの好演、じっくり練られた脚本。人物の心情も丁寧に掘り下げられ、感動を呼ぶ作品となった。

(文・藤枝正稔)

「望郷」(2017年、日本)

監督:菊地健雄
出演:貫地谷しほり、大東駿介、木村多江、緒形直人、森岡龍

2017年9月16日(土)、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://bokyo.jp/

作品写真:(C)2017 avex digital Inc.
タグ:レビュー
posted by 映画の森 at 09:00 | Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月14日

「50年後のボクたちは」少年たちは疾走した 忘れ得ぬひと夏の冒険

b1.jpg

 クラスに気になる子がいる。その子は自分のことなんか眼中にない。あたりまえだ。彼女は美人で派手で、女王様的存在。それに対して、こっちは空気が読めずオタクっぽく、浮いた存在。そもそも住む世界が違うのだ。

 14歳の“イケてない”男の子、マイク。父親は不動産ビジネスで財を築き、プール付きの豪邸を建てたが、母親がアル中の治療で家を空けるや途端に愛人と旅行に出てしまう。

 夏休み。一人残されたマイクのもとに、ロシアから転校してきたばかりのチックが、どこかで盗んだオンボロ車を駆ってやってくる。子供が車を運転している時点でアウトなのに、盗難車。でもそんなの気にもかけない。少年だから刑罰の対象にあらずと涼しい顔なのだ。内気なマイクとは対照的にブッ飛んだ奴。

b2.jpg

 その日は、マイクが恋する女王様の誕生日。何とクラスで招待されなかったのは、マイクとチックだけだった。それならば、こっちから押しかけるまで。チックはためらうマイクを助手席に乗せ、誕生パーティに乱入する。マイクは心を込めて描いた彼女の似顔絵をプレゼントすることに成功。ささやかな達成感を胸に、二人はあてどないドライブに出るのだった――。

 性格も素性も異なる2人の少年。シャイなマイクは大胆不敵なチックにリードされながら、これまでに味わったことのいない、めくるめく出来事に身を委ねていく。

 ドライブが始まるや、GPS(全地球測位システム)で居場所がばれるからと、チックがマイクのスマホを窓から放り捨てる。「イージー・ライダー」(69)の冒頭、ピーター・フォンダが腕時計を外して投げ捨てる場面を思い出す人もいるだろう。体制からの決別宣言。

b3.jpg

 便利なスマホと引き換えに、少年たちが手に入れたとびきりの自由。とうもろこし畑に描く即興アート、風力発電所での野宿、廃墟の少女との出会い、貯水池での水浴び……。14歳の少年たちが、濃密な体験を重ねながら、人間的に成長していく。

 何か何まで管理され、もはや自由など存在しないかに見える現代っ子の世界。ところがスマホを取り上げるだけで、これだけ伸び伸びと生きることができるのだ。もしスマホを捨てさせなければ、こんなにワクワクするロードムービーなんか撮れなかったに違いない。加えて盗難車を運転させる設定。広大なドイツの国土を駆け抜ける姿が、少年たちの生命力、躍動感とよくマッチしている。

 監督はドイツの名匠ファティ・アキン。初期作「太陽に恋して」(00)を貫いていたダイナミズムとロマンチズムが、今回も力強く脈打っており、見る者の胸を熱くさせるとともに、爽やかな後味を残す。

(文・沢宮亘理)

「50年後のボクたちは」(2016年、ドイツ)

監督:ファティ・アキン

出演:トリスタン・ゲーベル、アナンド・バトビレグ・チョローンバータル、メルセデス・ミュラー

2017年9月16日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.bitters.co.jp/50nengo/

作品写真:(c)2016 Lago Film GmbH. Studiocanal Film GmbH

タグ:レビュー
posted by 映画の森 at 05:47 | Comment(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月09日

「三里塚のイカロス」代島治彦監督に聞く「あの時代の悪霊を、もう蘇らせたくない」

代島監督.jpg

 成田空港建設反対闘争に参加した三里塚農民の現在の姿を撮った「三里塚に生きる」(14)。その共同監督を務めた代島治彦監督が、今度は「三里塚のイカロス」で、農民と共に闘った若者たちの人生に迫った。代島監督は「あの時代の悪霊を、もう蘇らせたくない」と語った。

農家に嫁いだ“支援妻”の悲劇

 前作「三里塚に生きる」の姉妹編ともいえる「三里塚のイカロス」。製作のきっかけとなったのは、2013年5月に起きた痛ましい出来事だったという。

 「三里塚の農家に嫁いだ、いわゆる支援妻の一人が自殺した。空港反対同盟の夫とともに反対闘争を続け、ずっと土地を売らずに頑張っていたのですが、2006年4月、ついに移転を受け入れた。その7年後のことでした。移転したことを“同志たち”への裏切りと受け止め、自分を許せなかったのか。『三里塚に生きる』を撮っていて農民たちの心の傷の深さを感じましたが、支援妻もまた深い心の傷を負っていた。それで、次の映画のテーマとして“支援妻”はどうだろうと考えたのです」

 20人以上いた三里塚の支援妻。4、5人が離婚してこの地を去ったが、残りの十数人が今も三里塚で暮らしている。

 「『夫が移転を決めたときには自分も悩んだ』、『気持ちはよく分かる』。会って話を聞くと、みんな自殺した女性に同情的でした。作品には秋葉恵美子さんという女性が出ていますが、ご主人の義光さんが軽トラの運転席からインタビューに応じるシーンで、よく見ると、ローレックスの高級腕時計をしているのが分かる(笑)。石を投げたり、鎌を振り上げたりして、農地死守を叫んでいた夫が、何億という大金を手にした瞬間に豹変する。その姿を見ているのは、さぞ辛いだろうと思いますね」

イカロス_メイン.jpg

三里塚と連合赤軍との因縁

 支援妻をテーマにとの目論見だったが、出演依頼に応じてくれたのは、作品に登場する3人のみ。残りの女性には、『夫もいる、子供もいる、カメラの前では話せない』と断られたため、取り上げる人物の範囲を『外から入ってきた若者』に広げることに。人選にあたってリサーチを進めると、三里塚と連合赤軍との関係も浮かび上がってきた。

 「反対闘争の初期、ほとんどの新左翼のセクトは三里塚に団結小屋を持っていて、いろいろな人が入っていた。中には連合赤軍事件の森恒夫や永田洋子もいた。69年に赤軍派を結成、山梨県の大菩薩峠で軍事訓練をして、50何人かが一斉検挙されますが、このとき三里塚の農家の息子たちもかなり誘われている。また、連合赤軍の母体となった京浜安保共闘が雲取山に設けた山岳ベースには、三里塚から米や野菜が運ばれたりしている。作品では言及できませんでしたが、こういった事実が詳しく描ければ、三里塚の見え方もまた変わっていたかもしれませんね」

管制塔占拠事件は今も誇り

 作品で肯定的に語られる唯一のエピソードが、78年に起きた管制塔占拠事件。人質を取らず、誰も傷つけなかったこの闘いに、『義勇兵として参加し、勝利を収めた』ことを、元国鉄下請労働者の中川憲一さんは誇りに思い、当時着用していたヘルメットや足袋を今も大切に保管している。

 「あの闘いがあったからこそ今の自分がある。中川さんはそう思っている。しかし、当日は、奥さんにどう説明しようかという葛藤の中で管制塔に登っている。そういう人間的な面に迫れたのはよかった。一方、同じく管制塔占拠に加わった立命館大学の平田誠剛さんは、そこまで肯定的ではない。ともに逮捕され8年間収監されたが、82年に平田さんの属するセクトはレイプ事件で告発され、三里塚から追い出される。83年には反対同盟の分裂も起こる。刑務所にいる間に、状況はどんどん悪化していった。何のために自分は犠牲を払ったのか。彼らは情けない気持ちになったでしょう」

イカロス_サブ1.jpg

 平田さんの先輩の吉田義朗さんは、強制大執行を阻止するための塹壕を掘っていて落盤事故に遭い、下半身不随となった。だが、車椅子生活の不自由さを感じさせない明るいキャラ。トークも達者だ。

「吉田さんは現在、日本障害者カヌー協会の会長をしている。カヌーは引っ繰り返ると足を抜いて泳ぐしかない。だから下半身不随の人は乗ってはいけないことになっていた。彼はこの常識に逆らい、日本で初めてカヌーに乗った。もともと、吉田さんは高校時代に若者が警官にボコボコにされているのを見て、反権力に目覚めた人。義憤に駆られて、三里塚に来て、農民を助けるために、やれるだけのことはやった、という思いがある。中川さんもそうだが、三里塚闘争を肯定的にとらえて、今もポジティブに生きている。傷ついて自殺してしまう人がいる一方で、そんな人たちがいるということも知ってほしかった」

表情に滲み出る心の傷

 岸宏一さんは、元中核派で1981年から2006年まで25年間、三里塚の現地責任者を務めた人物だ。反対同盟を分裂させたり、テロを仕掛けたりして、反対闘争を過激化させた張本人。本作の完成を楽しみにしていたそうだが、2017年3月、谷川岳西側の東谷山で遭難した。

 「岸さんは、責任者という立場上、言えることと言えないことがある。最初からそう明言していた。だから、本作でも建前的な発言が多い。『記者会見じゃないんだから』ってツッコミを入れたくなるほど(笑)。しかし、映画とは面白いもので、表情や声音に、岸さんの苦渋というか、心に抱えているものが透けて見える。自分の人生を否定するようなことは言葉に出せない。彼のそういう思いは伝わってくるんですよ」

 ほかに、農民運動家の加瀬勉さんと、空港公団の前田伸夫さんという、当時すでに若者ではなかった人たちも登場する。

 「加瀬さんは外からくる新左翼の若者を指導し、反対同盟とくっつけた人。終戦まで軍国少年だったが、戦後は社会党の農民運動家になり、三里塚に入った。途中から社会党が去ると、離党し三里塚に居残った。農家の長男なのに結婚せず、今は一人で母親を介護している。前田さんは、用地買収の黒幕的な人物。自分が用地買収を進めたおかげで空港が完成したという自負を持っている。同時に自宅を焼かれ、かわいがっていた犬まで殺された恨みも抱いている。公団側の人間は、今まで三里塚を描いた映画には出てこなかったが、農民や支援者と同様に、反対闘争では心に大きな傷を負っているのが分かります」

イカロス_サブ2.jpg

天使に悪霊が憑いた

 登場する人々はいずれも三里塚という舞台で、それぞれが正しいと信じることのために、人生をかけて闘った。そして、多くの大切なものを失った。悲しみに耐えて生きている人、耐え切れずに命を絶った人、逆境をはね返してポジティブに人生を切り開いている人。それらの人々に共通するのは、結局は目的を成し遂げられなかったという敗北感だろうか。

 「新左翼の若者たちが支援に駆けつけたとき、三里塚の農民たちは、都会からゲバ棒持ってヘルメットかぶった天使がやってきたと思ったかもしれない。ところが、闘争のプロセスで、機動隊員3人が死亡する事件が起きたり、自殺者が出たりした。そのあたりから闘争に悪霊が憑いてくる。天使が悪霊に変じてくる。『三里塚のイカロス』というタイトルも、そこに結びついてくる。つまり、60年代から70年代にかけて政治の時代というのがあった。時代には翼が生えていた。その翼がもげて、墜落した。このとき、一度完全に死んでしまえばよかったのだが、ほそぼそと生き残り、80年代、90年代になっても内ゲバや爆弾テロは絶えなかった。あのとき、あの時代が完全に終焉していれば、若者も政治アレルギーになることなく、新たな時代にふさわしい形で政治活動を展開する動きも出ていたのではないか。あの時代を完全に葬り去りたい。悪霊よ、もう二度と蘇らないでくれ。そんな願いを込めて、僕はこの映画を撮りました」

(文・写真 沢宮亘理)

「三里塚のイカロス」(2017年、日本)

監督:代島治彦

2017年9月9日(土)、シアター・イメージフォーラムほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.moviola.jp/sanrizuka_icarus/


作品写真:2017 三里塚のイカロス製作委員会

posted by 映画の森 at 22:01 | Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする