2017年05月17日

「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」イタリアにまかれた“日本カルチャー”の種、40年を経て開花 大人向けダークヒーロー作品

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 テロの脅威にさらされる現代のローマ。孤独なチンピラのエンツォ(クラウディオ・サンタマリア)は、ふとしたことで超人的なパワーを得てしまう。初めは私利私欲で力を使っていたが、世話になっていた“オヤジ”が残した娘アレッシア(イレニア・パストレッリ)の面倒をみるはめになり、正義に目覚めていく──。

 「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」は、永井豪原作の日本製テレビアニメ「鋼鉄ジーグ」(75)をモチーフにしたイタリア初のダークヒーロー・エンターテインメント作品だ。79年にイタリアでテレビ放送された「鋼鉄ジーグ」は、40年近く経った今も人々の心に深く刻まれているという。監督、脚本、音楽を務めたガブリエーレ・マイネッティの長編デビュー作となる。

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 ハリウッドの「ヒーロー映画」は現在、3つに大別できる。まずは肉体と能力を生まれながらに持った「スーパーマン型」。次に普通の人間がコスチュームで強化され、武器を駆使して戦う「バットマン&アイアンマン型」。最後に実験の失敗や事故で特殊能力が身につく「ハルク&スパイダーマン型」だ。今回のエンツォは3番目のパターンといえる。

 元になったアニメ「鋼鉄ジーグ」は巨大ロボットが活躍した。一方、エンツォは放射性物質を全身に浴び、特殊能力を身につける。アレッシアは熱狂的な「鋼鉄ジーグ」ファン。現実と妄想の境がわからなくなり、チンピラに襲われた窮地を救ったエンツォを、「鋼鉄ジーグ」の主人公・司馬宙(シバヒロシ)と重ね合わせてしまう。やや強引な解釈だが、エンツォはこれを機に力を正義のために使うようになる。

 エンツォはもともとヨーグルトとアダルトビデオが好きな中年の泥棒だった。ヒーロー物としては異色の主人公だ。一方、そんなエンツォにゴロツキたちのボス、ジンガロ(ルカ・マリネッリ)は敵意を抱く。エンツォの能力のうらやみ、妬み、強引に本人から能力を得た方法を聞き出す。自分も「力」をつけたジンガロは、私利私欲のため悪用する。

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 正義のエンツォと悪のジンガロ。対等の力を持った関係はコインの裏と表、もしくはバットマンと悪役ジョーカーのような敵対関係に。クライマックスではローマ市民を巻き込み、壮絶なバトルを繰り広げる。

 40年前、イタリアにまかれた“日本カルチャー”の芽が、時を経て1本の映画として開花した。ハリウッド映画とはひと味もふた味も違う、大人向けのヒーロー作品だ。

(文・藤枝正稔)

「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」(2015年、イタリア)

監督:ガブリエーレ・マイネッティ
出演:クラウディオ・サンタマリア、イレニア・パストレッリ、ルカ・マリネッリ、ステファノ・アンブロジ、マウリツィオ・テゼイ

2017年5月20日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.zaziefilms.com/jeegmovie/

作品写真:(C)2015 GOON FILMS S.R.L. Licensed by RAI Com S.p.A. – Rome, Italy. All rights Reserved.

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posted by 映画の森 at 10:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする