2016年10月11日

「GANTZ:O」人気シリーズ、フル3DCGアニメで 非日常アクションと人間ドラマ融合

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 地下鉄で通り魔事件に巻き込まれ、命を落とした高校生の加藤勝(小野大輔)。次の瞬間、加藤はあるマンションの一室におり、死んだはずの人間たちによる「東京チーム」と出会う。加藤と東京チームが転送された先は、火の手が上がる大阪だった──。

 死んだはずの人間と謎の星人の死闘を描く奥浩哉の人気コミック「GANTZ」。シリーズの中でも人気が高い「大阪編」をフル3DCGアニメーションで映画化した。総監督は「TIGER&BUNNY」のさとうけいいち、監督は「エクスマキナ」(07)でCGディレクターを務めた川村泰。

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 冒頭から実写と見まごう映像クオリティーで、作品世界へ一気に引き込まれる。加藤は両親を早くに亡くし、弟とアパートで暮らす心優しい高校生だ。弟の誕生ケーキを買った帰路、通り魔に遭って死んでしまう。

 目を覚ました加藤がいたのは、家具のないマンションだった。部屋にはグラビアアイドルのレイカ(早見沙織)、生意気な少年・西丈一郎(郭智博)、中年男の鈴木良一(池田秀一)がいた。さらに巨大な黒い球体・ガンツも。ガンツは部屋にいる「プレーヤー」にミッションを与える。成果により付けられた点数で、特典3つが選択できるルール。強制的にミッションに参加させられた加藤と東京チームの3人は、大阪に転送されて謎の星人と戦う。

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 渋谷や大阪の町並みが忠実に再現された空間で、非日常的なアクションと人間ドラマが展開する。観客をうまく誘い込む上質な娯楽作品だ。フル3DCGのリアルな町で、日本の妖怪たちが攻撃してくる。ユニークな映像表現。最新兵器で妖怪と戦う東京チームは苦戦するが、大阪チームは傍若無人に暴れ回る。殺伐とした描写が続く中、大阪チームのシングルマザー・山咲杏(M・A・O)と加藤の淡い恋愛が作品に深みを与えた。

 フル3DCGアニメの分野で、日本は海外に先を越された印象がある。しかし、「GANTZ:O」の質は掛け値なしに絶賛できるレベル。ハリウッド大作「パシフィック・リム」や「アイアンマン」などの要素をうまく吸収し、徹底的に物語を絵で見せ切る。なにより「GANTZ」の世界観とフル3DCGの相性が抜群。ファンも納得の仕上がりだ。

(文・藤枝正稔)

「GANTZ:O」(2016年、日本)

総監督:さとうけいいち
監督:川村泰
声の出演:小野大輔、M・A・O、郭智博、早見沙織、池田秀一

2016年10月14日(金)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://gantzo.jp/

作品写真:(C)奥浩哉/集英社・「GANTZ:O」製作委員会

タグ:レビュー
posted by 映画の森 at 20:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

釜山国際映画祭、危機乗り越え開催 「表現の自由」めぐり市と対立も

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 韓国の第21回釜山国際映画祭が、釜山市で開催中だ。台風一過の秋晴れとなった初日の10月6日は、国内外のゲストがレッドカーペットに登場。詰めかけたファンを熱狂させた。2年にわたり表現の自由をめぐって映画祭側と釜山市が対立し、一時は開催すら危ぶまれたが、組織改編を行うなどしてなんとか初日を迎えた。15日まで69カ国・地域の計299本を上映する。

 オープニング会場の「映画の殿堂」には多くの市民が訪れ、次々に姿を見せるスターに声援を送った。開会セレモニーの司会を務めたハン・ヒョジュとソル・ギョング、新作「THE NET」を上映するキム・ギドク監督、「コーヒーメイト」で共演したオ・ジホとユン・ジンソらが登場。日本勢は「怒り」の李相日監督と渡辺謙、日活のロマンポルノ・リブート・プロジェクト作品「ジムノペディに乱れる」の行定勲監督と板尾創路らキャストが参加した。

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 オープニング作品は、中国朝鮮族のチャン・リュル(張律)監督が韓国で撮影した「春夢」。小さな酒場を経営する女性(ハン・イェリ)と、社会の底辺で生きる3人の男の心の交流を描く。3人の男を演じるのは「息もできない」のヤン・イクチュン監督、「ムサン日記 白い犬」のパク・ジョンボム監督、「許されざるもの」、「群盗 民乱の時代」のユン・ジョンビン監督。キャスティングのユニークさも話題を呼んだ。

 釜山映画祭は14年、旅客船セウォル号の沈没事故に対する政府の対応を批判したドキュメンタリー「ダイビング・ベル」の上映をめぐり、釜山市と対立。韓国の映画人は表現の自由と映画祭の独立性を訴え、海外の映画界からもエールが送られた。

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 映画祭側と釜山市側の交渉はなかなか妥協線を見いだせなかったが、女優のカン・スヨン執行委員長に加え、「釜山映画祭の父」と呼ばれるキム・ドンホ元執行委員長を新たに理事長に据えて開催への道筋をつけた。

 今年の映画祭は例年並みの規模で行われることになったが、この決着に納得しない映画人も多く、火種は残ったままだ。アジア最大級に成長した映画祭をどう維持していくか、試行錯誤はまだ続きそうだ。

(文・芳賀恵 写真・岩渕弘美、芳賀恵)

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写真1:司会のハン・ヒョジュ
写真2:司会のソル・ギョング
写真3:アン・ソンギ
写真4:チェ・ミンホ(SHINee)
写真5:(複数写真は左から)オ・ジホ、ユン・ジンソ
写真6:キム・ギドク監督とチェ・グィファ
写真7:オープニング作品「春夢」のチャン・リュル(張律)監督とキャスト
写真8:カン・スヨン執行委員長とキム・ドンホ理事長
写真9:俳優キム・ウィソンは映画祭の独立性をアピール
写真10:「怒り」の渡辺謙、李相日監督
写真11:「ジムノペディに乱れる」の芦那すみれ、行定勲監督、板尾創路、岡本いずみ
写真12:「嫌な女」の黒木瞳監督
写真13:「シン・ゴジラ」の樋口真嗣監督、長谷川博己=いずれも釜山市で6日
posted by 映画の森 at 08:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする