2016年06月22日

「ブレイク・ビーターズ」表現の自由なき東ドイツ ダンスに熱中した若者の軌跡

bp_main.jpg

 1985年、社会主義体制下の東ドイツ。18歳のフランクは、西ドイツのテレビが放送したブレイクダンスに驚く。それまで見たことがないおかしな動き。テレビの故障かと錯覚するほどだった。早速友人のアレックスを誘い、米国のダンス映画「ビート・ストリート」を見に映画館へ。フランクはすっかり映画に魅了され、友人たちと路上でダンスを踊り始める──。

 しかし、表現の自由が制限されていた東ドイツでは、常に当局が監視の目を光らせていた。「米国生まれの非社会主義的ダンス」はたちまち国家警察に見つかり、フランクたちは逮捕される。取り調べで機転を利かせ、なんとか釈放されるが、父との間に大きな溝ができてしまう。

bp_sub1.jpg

 一方、「ビート・ストリート」のせいで次々生まれる路上ダンスに、政府の「娯楽芸術委員会」は一計を案じる。「ブレイクダンスを社会主義化する」スローガンを掲げ、フランクのチームを招いて踊らせたのだ。委員会はブレイクダンスを「アクロバティック・ショーダンス」と命名。国の「人民芸術集団」として活動を認める。

 政府のお墨付きを得たフランクたちは、専属コーチに練習場、専用バスまで与えられ、国営クラブで巡業をスタート。またたく間にアイドル並みの人気を得る。しかし、チームを枠にはめようとする当局の圧力は次第に強くなり、見えない重石のようにのしかかり始める。

bp_sub2.jpg

 80年代東ドイツの実話をベースにした作品。ヤン・マルティン・シャルフ監督の長編デビュー作だ。ダンスを通じて生まれる友情、恋愛。青春の光と影が90分でコンパクトに、テンポよく描かれる。俳優がスタントなしで演じたダンスの高揚感に、観客が素直に共感できる。東ドイツが自由を得た今だからこそ、当時を振り返って描けた作品だ。

(文・藤枝正稔)

「ブレイク・ビーターズ」(2014年、ドイツ)

監督:ヤン・マルティン・シャルフ
出演:ゴードン・ケメラー、ゾーニャ・ゲルハルト、オリバー・コニエツニー、セバスチャン・イェーガー

2016年6月25日(土)、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.break-beaters.jp/

タグ:レビュー
posted by 映画の森 at 10:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする