2016年06月01日

「FAKE」佐村河内守氏とは何者なのか ラスト12分の展開に驚愕

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 聴覚障害のある作曲家として注目を浴びた。“現代のベートーヴェン”と称えられ、テレビにも出演。独特の風貌もあいまって、その名はたちまち日本中にとどろいた。ところが2014年、ゴーストライターの存在が発覚。メディアは一斉に手の平を返し、バッシングを浴びせる。一転して詐欺師へと堕(お)ちた「天才」は、トレードマークの長髪をカット。サングラスも外して謝罪会見し、騒動に自ら終止符を打った。

 その後、表舞台から遠ざかり、自宅に引きこもった佐村河内守氏。「FAKE」は素顔と本心に迫ったドキュメンタリーである。監督はオウム真理教信者たちを追った「A」(98)、「A2」(01)の森達也。「嫌なら撮影途中でカメラは止めてもよい」との条件付きでカメラを向けていく。

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 解消されていない疑問はいくつかある。「本当に耳は聞こえないのか」、「作曲はまったくできないのか」。これらの点について森監督は率直に質問し、佐村河内氏は誠実に回答していく。だが、それでも完全には納得できない。得心がいかない森監督。説得しきれない佐村河内氏。ともに焦れて疲れた2人は、ベランダに出てタバコを吸う。

 テレビ局から出演依頼のスタッフがやってくる。自分をどん底に突き落としたメディアに不信を抱く佐村河内氏は、オファーを蹴るが後日、放送された番組で自分がコケにされているのを見て愕然とする。モニターにはゴーストライターからタレントに転身した新垣隆氏が、お笑い芸人相手にはしゃぎまくっている様子も映し出されていた。

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 最もこたえたのは、海外メディアの取材だったろう。日本の記者と違い、遠慮のないストレートな質問が追い詰める。「作曲した証拠があるのか」、「なぜ家に楽器がないのか」。答えに窮する苦しげな表情を、カメラは逃さない。しかし、この場面が驚愕のラスト12分の呼び水になることを、森監督はもちろん、佐村河内氏自身もまだ知らないのである。

 もう一つ見どころがある。佐村河内氏の妻かおりさんの存在だ。手話通訳として夫をサポートしてきた妻。何が起ころうと動じない強さ。夫の才能を信じて疑わない盲目的信念。“大スクープ”ともいうべきラストの奇跡は、彼女の存在抜きには起こらなかったに違いない。

(文・沢宮亘理)

「FAKE」(2016年、日本)

監督:森達也

2016年6月4日(土)、ユーロスペースほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.fakemovie.jp/

作品写真:(c)2016「Fake」製作委員会
posted by 映画の森 at 16:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする